2013.06.20
《スターフェスティバル》岸田祐介氏に学ぶ、モチベーションが“激しく高い”職場の作り方。

《スターフェスティバル》岸田祐介氏に学ぶ、モチベーションが“激しく高い”職場の作り方。

モチベーションを高く保って仕事をするには、どうすればいいのか。エンジニアやクリエイターなら一度はぶち当たる壁じゃないだろうか。その1つの解になるのが、「ごちクル」を手がけるスターフェスティバルだ。同社の社員のモチベーションは、とにかく高いと社内外で評判。その秘密について、代表の岸田氏に伺ってみた。

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社員のモチベーションが高いのには、理由があった。

あなたの周りにもいないだろうか?いつもモチベーションが高い状態で仕事を進めている人。「モチベーションの高い、低い」というものは、その人が生まれ持った性格や志向性に依存するだけの問題なのだろうか。

今回、私たちが注目したスターフェスティバルは、何かが違う。法人向けの弁当宅配・ケータリングサービス『ごちクル』を手掛ける企業なのだが、社員の目の輝きが強く、仕事に対する姿勢がとにかく前向きなのだ。


ごちクル


社員の高いモチベーションを生み出す職場づくりとは?代表の岸田祐介氏に、その秘訣を伺ってみた。

一番大事なのは、自分のやりたいことができる職場かどうか。

― 単刀直入にお聞きします。岸田さんが考える、理想的な職場とは?


岸田祐介氏


うーん、そうですね。極端に言ってしまえば、自分自身で理想の職場像を持っているわけではないんです。社内にはエンジニアやデザイナー、コールセンターのスタッフなど、いろいろな職種の人がいますし、夢や目標も人それぞれです。社員全員の理想が一致した職場をつくるのは難しいですよね。

ただ、社員一人ひとりが仕事にやりがいを感じられたり、日々成長を感じられたりする職場にはしたいと思っています。きっと、それが自分の理想とする職場なんでしょうね。そのためには、社員一人ひとりが、“自分のやりたい仕事ができているかどうか”が一番大事です。

弊社は中途入社者が大半で、「自分のしたい仕事ができる」という志望理由で、入社しているスタッフが多いんですね。誤解を恐れず言うならば、現状、会社が成長フェーズにあることもあって、特別な仕組みを作らなくても、社員一人ひとりが頑張ってくれる風土が自ずと出来上がってはいるんです。

とはいえ、毎日の仕事がルーティン化していくと、モチベーションは徐々に下がっていく。それは絶対に避けられない、仕方のないこと。だから、社員のモチベーションが自然と上がるような“仕組み”が必要になってきます。


― 実際、社内を拝見して、社員の方々が楽しそうに働いている印象を受けました。スターフェスティバルでは、一体どんな仕組みを?


まず、オフィス環境のハード面でいきますと、部署間のパーテーションなどを一切なくし、一緒に働くスタッフの顔が見えるオープンな環境にしています。セクショナリズムはできる限り排除して、他の部署で行なう仕事が見えるようにしているのです。

パーテーションがなく、コミュニケーションをとりやすいオフィススペース。


私たちが手掛けているのは、ITサービスではありません。ITはあくまで、お客様に喜んでいただくサービスを提供するための手段です。弁当やケータリングサービスを自社で企画して、商品化して、サイトに掲載して、注文を受けて、お客様にお届けする…。そのサービスのすべてを自社一括で手掛けているからこそ、部署間の連携はとにかく大事です。

エンジニアがWEBサイトを作るにしても、社内コールセンターのスタッフが伺ったお客様の声を考慮したり、社内で新しいお弁当のデザインをするにしても、営業スタッフがレストランシェフから聞いた話を参考にしたり。社員が互いに顔を向き合わせて、気軽に情報共有できる環境こそが、仕事のクオリティをアップさせて、各個人の仕事の幅を広げていくのだと考えています。


― なるほど。部署間での情報共有を密にすることで、より、お客様視点に立ったサービスを生み出すアイデアが生まれていく。さらにより良いものを生み出すモチベーションになるという訳ですね。オフィス環境のハード面以外での工夫はありますか?


どこの企業でもそうだと思うのですが、基本、組織は役割ごとに縦割りですよね。弊社で言えば、お弁当を企画する部署、提携レストランを探す営業の部署、WEBデザインをつくる部署、お客様対応をするコールセンターの部署といった具合に。しかし、それだと端と端の部署での情報共有がしにくくなってしまいます。そこで、意図的に組織横断のプロジェクトを組ませるようにしています。

例えば、お客様に配布するお弁当のカタログを刷新する必要があれば、すべての部署から有志でメンバーを1名ずつ募り、各セクションの立場からの意見を考慮しながら、作成するようにしています。他にも、先日行なった社内イベントの大運動会や、新社屋への移転プロジェクト、社内のパーティーなどにしてもそう。常に、社員一人ひとりが通常業務とは異なる業務を並行して手掛けるようにすることで、他部署との連携や交流を通して、自身の仕事の視野を広げることに成功しています。

そうやって社内プロジェクトに参加してもらうきっかけをたくさん与えていくことが、自然と、社員一人ひとりのモチベーションの醸成にもつながっているみたいです。


― 社員のモチベーションをどうやって上げるのか、ではなく、モチベーションが自然とあがってしまうような仕事を与えていくということですね。


その通りです。

没頭できる仕事が目の前にありさえすればいい。

― 職場の雰囲気づくりに関して、 岸田さんご自身が影響を受けた出来事や経験は?


そうですね、起業する前に勤めていた楽天での経験が大きいと思います。特に一番影響を受けたのは、入社して2年ほど経った時に、楽天野球団の立ち上げプロジェクトに携わったことです。

上司からは「プロ野球チームを立ち上げる」というお題と、100億円の資金が与えられて。後は自由に考えてやってみろ、と(笑)


岸田祐介氏


とにかく与えられたミッションが面白すぎたんですね。プロ野球チームを立ち上げるなんていう経験は滅多にできませんし、プロジェクトメンバーは数名いましたが、全員が常に東奔西走している状態。もちろん想定外のトラブルも起こり苦労はしましたが、毎日が新鮮で楽しかったんですね。メンバー全員が愚痴も言わず、1つの目標に向かって、自分の役割をまっとうすることだけに打ち込む日々が続きました。

その時の経験が、今の私の考え方に大きく影響しているのだと思います。人間、没頭できる仕事が目の前にあれば、モチベーションは自然と上がるものなんです。


― よく分かります。ランナーズハイみたいな状態ですよね。


一人ひとりのモチベーションを上げるのに悩む時間があるならば、集団の中に面白い話題を1つ投げればいい。エンジニアやデザイナーが熱狂できる仕事を与えるだけでいい、と考えています。

今、世の中でヒットしているSNSサービスやアプリ、ゲームって、開発者であるエンジニアが、とことん熱中して、こだわり続けた結果、生み出されたものが多いと思うんです。「こういうモノをつくれば、皆が喜ぶかも」「こうしたほうがもっと面白い」といった情熱だけで、寝る間もおしまず、自分が手掛けたい製品開発に没頭することで、多くの人に愛されるWEBサービスやゲームが出来上がっている。

だから、エンジニアやデザイナーが「これがやりたい!」と思えるような仕事を、1つ生み出して与えてあげることが、モチベーションアップには一番大事なんだと思います。


― 自分が没頭できるような仕事に携われる環境をつくることが、大事なんですね。

「自分のやりたい仕事ができる会社」の見極め方。

― 実際、エンジニアやデザイナーが転職先を探す場合の質問です。自分が熱狂できる仕事を与えてくれる会社かどうかを、どのようにして見極めればいいのでしょうか?


まず、自分の中にある「やりたいこと」を、採用面接でぶつけてみるのが一番です。そして、その会社の最終的な意思決定者が誰なのかを聞くことをお勧めします。社長なのか、経営陣なのか、現場なのか。もしも社長が最終決定者であるならば、社長はどんな人なのかをチェックしてみればいい。その人の考え方を知ることで、自分の価値観とフィットしているのかどうかを確かめられるからです。

ちなみに弊社では、人材紹介会社や転職サイト経由の入社者よりも、社員の紹介で入社してきた人のほうが多いんですね。

日頃から、私は全社員に「自分よりも優秀な社員を連れてきてほしい」と言っています。社員の知り合いであれば、当社の良さが正確に伝わりますし、募集要項からでは分からない生の声も知れるわけじゃないですか。事前に会社のことを理解した状態で面接に挑めるので、「自分のしたいこと」を積極的にアピールできる。これは採用する企業にとっても、面接を受ける方にとっても、ハッピーなことだと思います。そういう意味では、気になる会社があれば、まずその社員に話を聞いてみるのが一番かもしれません。

SNS等で調べれば、その会社とつながりのある知り合いが見つかると思います。意外と世間は狭いので、友達の友達に知り合いがいたりすることも多い。実際に働いている人の声ほど有力な情報はないので、積極的に活用していったほうがいいでしょうね。



(つづく)
▼スターフェスティバルのエンジニア・デザイナーへのインタビュー。
スキルアップの近道は、業務外にある?!《スターフェスティバル》の社員が語る秘策とは。


[取材]上田恭平 [文]白井秀幸 [撮影]松尾彰大


編集 = CAREER HACK


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