2013.07.01
『自分のストーリー』を生きる―《ココナラ》南章行氏が語る、これからの時代の仕事観。

『自分のストーリー』を生きる―《ココナラ》南章行氏が語る、これからの時代の仕事観。

金融業界、海外でのMBA取得、2つのNPOの立ち上げ―。様々な経歴を持つ、ウェルセルフ代表の南氏。『一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる』という彼の考え方は、これからの時代に即した新しい働き方への大きなヒントとなるのではないか。インタビューを通じ、その真意を探る。

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経験・スキル・知識を活かした、新しい働き方を。

一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる。

これは、注目のWEBスタートアップ「ウェルセルフ」が掲げる企業ビジョン。そして同時に、代表の南章行さん自身の人生観でもある。

このビジョンを体現しているのが、ウェルセルフが手がける話題のWEBサービス『ココナラ』だ。ココナラは、自身の“得意なこと”をオンライン上で売買できるという、スキルベースのオンラインフリーマケット。現在“1回500円”という一律の価格設定で運営されているが、出品されているサービスの質はかなり高く、バラエティに富んでいる。一般ユーザーはもちろん、「プログラミングや開発の相談に乗ってほしい」というエンジニアからの支持も集め、盛り上がりを見せている。


ココナラ


『ココナラ』を通じて、南さんたちが見据える新しい世の中のあり方とはどんなものなのだろうか?またその世の中において、私たちの仕事観や労働観はどのように変わっていくべきなのだろうか?

自分の存在価値を感じる瞬間が、幸せに結びつく。

― ウェルセルフのホームページを拝見すると、『一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中を作る』というメッセージが最初に目に入ってきますね。


そうですね。僕たちが運営している「ココナラ」も、それに基づいたコンセプトがあります。


― 具体的には、どういったコンセプトなんですか?


特定の関係性、グループ、組織の中、どこででもいいんですが、“自分が機能している”って感じられる時が、人間、最も幸せを感じられる瞬間だと思うんです。自分には役割がある、誰かの役に立っていると思えると、人って生きていける。その感覚を、ココナラを通じて提供できたらいいな、と思っています。

人って、自分で気づいているかいないかに関わらず、それぞれ何かしら得意なことを持っているものです。困っている人がいて、自分が少しだけそのことについて詳しく知っていたり、経験があったりして、手助けができる。結果、困っている人を救うことができる。すべての人が100万人に売れる技術やスキルを持っているわけではないけれど、それが100人くらいであれば、誰もがその可能性を持っていると思うんです。



そして、そのギブ&テイクって、規模の大小に関わらず、すごくハッピーなことなんだと思います。サービスを受ける側はもちろんですが、何より提供する側がハッピーになれる、という部分が非常に大きい。自分の知識やスキル、経験が誰かの役に立ったということは、それが意味のあるものだと証明されたということ。自分の存在が肯定してもらえたという幸せな感覚を、強烈に感じられるんですね。そういうハッピーをいろんな方に体験してもらいたいという想いがココナラの原動力であり、僕らの言う『一人ひとりが「自分のストーリー」を生きる』ということなんです。


― 確かに、自分自身の存在意義を感じられる瞬間ってなかなかないですよね。


社会の仕組みがそうさせている部分もあると思います。僕らが生まれた時には、もう既に今の社会の仕組みって完成されていたじゃないですか。人生のレールというか、小・中・高と進学し、大学に行って、就職する、みたいな。それが当たり前になっているし、多くの人がそこから大きく外れることなく生きている。

そうすると、どうしても自分という存在が、社会の仕組みの中のすごく小さな1パーツでしかないと感じられてしまう。自分の人生にコントローラブルなものはほとんどなく、なぜ自分は生きているのか、分からなくなってしまうんですよね。そんな時代環境のもとで生きなければならない今だからこそ、自分が“機能している”という強い感覚・体験が必要なんだと思うんです。

興味・関心があることを、仕事に変える。

― ココナラを使って誰かの役に立つ経験をすることで、“自分が機能している”という感覚を手にすることができる。自分の存在価値を改めて発見する場所として、ココナラがある、と。


そうですね、そういう存在になれたらいいなと思っています。さらに言えば、「自分の好きなことを仕事にする」ためのきっかけを、ココナラで掴んでもらえるようにしていきたい。

やっぱり、自分の興味・関心を軸に仕事ができるって幸せなことだと思うんです。“好きを仕事にする”ということに対して、ネガティブに捉えられることも少なくないですが、僕自身は、もっとみんな前向きに考えられるようになるといいな、と思っていて。本業は本業で、好きなこととは別に持っていてもいいと思うんです。その上で、人の役に立てるちょっとした副業を持つ、というのもいいじゃないですか。

そんな可能性も含めて、“働く”ということに対する充実感というか、心から満足できる生き方をするためのきっかけを、ココナラで提供したいんですよね。

ココナラ誕生のベースとなった、2度のNPO立ち上げ。

― なるほど、「きっかけを作る場」を生み出したいということですね。南さんご自身に、そう考えるようになったきっかけはあったんですか?


直接的なきっかけは、NPOを2つ立ち上げたことですね。

1つ目は「ブラストビート」。音楽・マルチメディアを用いた社会起業プログラムを通じて、高校生を中心とした10代の育成・教育を目指す国際的なNPOです。その日本法人立ち上げを主導させてもらいました。

ウェルセルフを立ち上げる前、MBAを取得するためにイギリスへ留学していたんですが、そこで出会ったのがブラストビートでした。当時、海外から日本を見たり、ソーシャルアントレプレナーという世界に触れたり、ソーシャルネットワークサービスが一気に普及してきたり、色んな意味で、自分自身の世の中の見方が変わってきていたんですね。そんなタイミングだったこともあって、ブラストビートとの出会いは大きな衝撃でした。ブラストビートにいた若者たちは、単に社会のレールに乗って生きることでは得られないない何かを多かれ少なかれ感じとっていたんです。すぐに「コレだ!」と思い、日本法人を立ち上げました。

2つ目は、NPOの立ち上げ支援・コンサルティングを行なう団体「二枚目の名刺」です。ブラストビートを始めたとき、僕個人としてもすごく学びが多かったんですね。NPOって、会社とはまた違った特性のあるコミュニティなんです。同じ価値観を持った人たちが会社という枠を超えて集まっているので、スキルも十人十色。お互いに学び合い、刺激を受けることの純粋な楽しさを感じることができました。その感覚をより多くの人に味わってもらおう、というのが「二枚目の名刺」のきっかけ。一枚目が本業の名刺だとしたら、社会貢献の活動をやって二枚目の名刺を持ちましょうと。


― おもしろい取り組みですね。


そうなんですよ。会社の中では当たり前すぎて何の価値も感じられないスキルが、一歩会社の外にでると、ものすごく大きな貢献につながったりするんですね。例えば、ちょっとWEBサイトを作ったり、Excelをいじってみたりしただけで、「そんなことできるの!?すごい!」と言ってもらえたりする(笑)自分では「え、こんなことで?」とか思ったりもするんだけど、その一個一個が発見だったり、自分も価値提供できるという自信になるんです。



ココナラのベースはそこなんですよ。ウェルセルフを立ち上げるとき、創業メンバーの一人から、“マイクロサービスプラットフォームをやってみたい”という提案があがってきたんですね。でも僕自身、最初は正直ピンとこなかった。ビジネスとしてスケールが小さすぎると思っていました。

でもよくよく考えてみると、そのプラットフォームが目指すところはまさに「二枚目の名刺」と同じなんです。自分の知識を活かして人の役に立つことで、自分の価値を再発見する。そのためのプラットフォームになり得るという可能性に気付いてから、僕たちこそが、このビジネスを一番上手くやれるはずだと思いはじめました。

仕組み的には、ココナラもECサイトの一つではあるんですよ。でも今のココナラには、コミュニティサイトの空気感もあるんじゃないかと感じています。なぜそうなっているのかというと、それはひとえに僕たちがココナラを「おこづかい稼ぎのためのサイト」と表現していないからなんですよね。プチ起業です、ミニバイトです、主婦のこづかい稼ぎサイトです、そう位置づけることもできるのですが、そうするとどうしても商売の色が強くなって、コミュニティ感はなかなか出せません。

あくまで「自分の得意で誰かの役に立つ体験を」というメッセージに徹していること、やはりこれが一番のポイントだと考えていますし、誰かの役に立てる、“好き”や“得意”を仕事につなげるきっかけを掴むためのサービス、という軸をぶらすつもりはありません。ココナラを通じて、みんなが「自分のストーリー」を生きる社会に近づいていけばいいな、と思います。


(つづく)
▼《ココナラ》南章行氏へのインタビュー第2弾はコチラ
家と会社と“もう一つ”を持とう―《ココナラ》南氏に学ぶ、心ふるえる生き方のススメ。


[取材]上田恭平 [文]高橋梓 [撮影]松尾彰大

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