注目の教育系スタートアップ《schoo》CTO 篠原祐貴さんの考える“理想のエンジニア像”に迫るインタビュー。「プロダクトを作る際、まず手と頭、どちらを先に動かすか?」という点に大きな差が出ると語る篠原さん。目的を理解し、その手段としてコーディング技術を用いるエンジニアこそ優秀に見えるという。
▼《schoo》CTO 篠原祐貴氏へのインタビュー第1弾
スモールチームのCTOに求められるサービス設計能力―schoo 篠原祐貴氏のCTO論。
大型の資金調達を成功させ、順調にサービスを成長させている注目の教育系スタートアップ《schoo》。
アーリーステージのスタートアップのCTOが考える優秀なエンジニア像とは一体どういうものなのだろうか?その問いをschooのCTO 篠原祐貴さんにぶつけてみた。
「プロダクトを作る際、まず手と頭、どちらを先に動かすか?」という部分にエンジニアとしての大きな分岐点があると語る篠原さん。目的を理解し、その手段としてコーディング技術を用いるインテリジェンスを兼ね備えているエンジニアこそ優秀に見えるという。
― schooではエンジニアを絶賛募集中とのことですが、篠原さんが考える優秀なエンジニアとは?
まず、エンジニアの定義からいくと、開発からリリース、運用まで一体となって考え実行していける人こそエンジニアなのだと思います。
一方で個人的には、プログラマという職業は文字通りプログラムを書くだけの人という認識です。
その前提の上でエンジニアとして秀でている方というと、何かの技術分野に特化していたり、新しいことをやりたいという飽くなき好奇心を持っている人だと思います。
また、ひとつの機能開発をするにしても、その部分だけしか見ないのではなく、サービス全体を見れるか、その機能を実装することで実現したいことは何なのかというところまで、腑に落ちて開発できるのもエンジニアとして重要だと思います。
つまり、仕様書や上司の指示を正しく理解し、まず手を動かす人はプログラマ思考。逆に自分で仕様書を考えられたり、実現したいことの手段から考える、一つ上のレイヤーで物事を理解し判断できる人はエンジニア思考。自分はエンジニア思考の方のほうが、やっぱり優秀だなと感じますね。
― 技術力という点に関しては?
もちろん、高いスキルや知識は優秀なエンジニアとしての要件には必ずあがってくると思います。
ただ、知的欲求が高く、サービスに新しい技術をどんどん実装していればそれで優秀か?というと必ずしもそうではないのかなと。
―といいますと?
目的と手段の履き違い…ではないですけれど、サービスの開発や機能の追加って、何のためにするかというと、「ユーザーによりよい体験を提供するため」なわけです。
ユーザーにとっては裏でどんな技術が使われているかなんてどうでもいいことですし、schooのサービスでいえば、いかに安定して放送できるか、リアルな授業感、学校感をサイトで演出できるかが大事。
目的の達成のためにとるべき手段をきちんと選択できる。それを実践できることがポイントになると思います。
― 目的志向のエンジニアが優秀であると。では、エンジニアが自分のキャリアを考えた時、どんな準備や行動をするべきだと考えますか?
そもそも優秀かどうかを決めるのって、本人ではなく周りのエンジニアたちですよね。
だから、採用する側としては、結構エンジニア周りの評価や噂のほうが本人の言葉よりも信憑性がある気がします。
じゃあ、どうしたらそういう「いい噂」が立つかというと、結局、勤めている会社で、目の前にあることに全力で取り組むであったり、勉強会に積極的に参加して、新しい技術に貪欲になったりコネクションを広げていくしかないと思うんです。
そうすれば、別に転職どうこうではなくとも、社内でまず新しい事業にアサインされたり、いろんな声がかかるようになるはずです。
そうなってくると仕事の幅も広げていけるしキャリアの面でも間違い無くプラスだと思います。何より自分で選択肢を持てるわけですから。
― 篠原さんの目に留まるエンジニアになるには?
SlideShareなどでプレゼン資料をアップしている人や技術ブログを書かれている人の多くは、そこにTwitterアカウントも記載しているんですね。
最近、Twitterを技術情報の収集目的で使い始めたのですが、やっぱりいい情報を出している人はフォローするし、目にも留まりやすいということはありますね。
― 情報発信も重要だということですね。貴重なお話、ありがとうございました。
(おわり)
[取材]梁取義宣 [文]松尾彰大
編集 = 松尾彰大
4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を参考にしてみてください!
経営者たちの「現在に至るまでの困難=ハードシングス」をテーマにした連載特集。HARD THINGS STORY(リーダーたちの迷いと決断)と題し、経営者たちが経験したさまざまな壁、困難、そして試練に迫ります。
Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。