デザインが好きで美大へ進学…ところが社会人で挑戦したのはエンジニアだった?「会社のことが好き」と語る女性エンジニア、圓増真衣(えんそうまい)さんのキャリアに迫る!WEB・IT・ゲーム業界で働く女性クリエイター・エンジニアを応援“HACK GIRL”企画第6弾をお届けします。
WEB・IT・ゲーム業界で働く女性クリエイター・エンジニアを応援!“HACK GIRL”企画第6弾では、美大卒ながらエンジニアになり、現在、プロジェクトマネージャーとして活躍する圓増真衣(えんそうまい)さんを紹介する。
圓増さんが働くロックオンは、6,000件以上の導入実績を誇る広告効果測定システム『AD EBiS』や、オープンソースECパッケージ『EC-CUBE』で知られる成長企業。
高校生の頃、まわりの友だちがカラオケやプリクラに夢中になるなか、圓増さんがハマったのは、WEB用の素材配布サイトの運営だった。自分で描いたイラストなどの素材をたくさんの人が使ってくれる。そんな楽しさに惹かれ、大学進学後もデザインに没頭した。
そのまま順風満帆、WEBデザイナーとしての道を…と思いきや、社会人になって選んだ道は、なんとエンジニア。
圓増さんにどんな転機が!?
― 美大でデザインを勉強されたのに、なぜエンジニアになったのでしょうか?
1ヶ月間、会社の研修でプログラミングを勉強したんですが、できないことが多すぎて、すごく悔しかったんですよね。
スケジュールの管理ツールを作ってみたのですが、ぜんぜん納得できるデキじゃなかった。
それに腹が立ったというか…(笑)
― え、それだけでエンジニアになっちゃたんですか!?
私、負けずギライなところがあって(笑)このまま中途半端で終わるのか?本当にこれでいいのか?と、モヤモヤし始めちゃったんです。
― 初めてプログラミングに挑戦してみて、面白さも多少はあったのでしょうか?
デザインって良いデザインか悪いデザインか、「答え」が出しづらいもので。
表現のアプローチも、アウトプットも、センス次第なところがどうしてもあると思うんです。
でも、プログラミングはキチンと順を追って組んでいけば、数学のように答えが出るから、「面白い」と思ったんです。パズルがピタッとハマった!みたいな、達成感があって。
ただ、その当時は社会人1年目の研修だったから、「こんな風にプログラミングすればこういうものができる」と、答えありきのカンタンな問題を解いていただけでした。
今だと、そもそもの課題が不明確だったり、プロセスが複雑だったりして…。システムの開発にも「答えなんてない」と気づきましたね(笑)
でも、正解がない中で、「どうすれば人に喜んでもらえるんだろう?」と考え抜く、ここってデザインもシステムも一緒かもしれないです。
『お客さんの役に立ちたい』、『製品が好き』、そんな気持ちがあるから、「デザイナー」「エンジニア」なんて職種は実はあんまり関係なくて、『やりたいと思えたから、努力できた』んだと思います。
ただ、システムはコミュニケーションのツールそのものが作れるから、デザインとは別の視点で、ユーザーとつながる喜びはあるかもしれません。
その点では、「より多くの人に喜んでもらう」という可能性は広がった気はします。
― 「人を喜ばせる」というところは共通している、と。ちなみに、どんなタイプの人がエンジニアに向いているってあります?
エンジニア、デザイナーに限ったことじゃないかもしれませんが、「気づかい」ってすごく大事ですよね。
たとえば、メンバーにいつもクチうるさく言っているのは、「設計書やコードはキレイに書こう」とか、ホントに細かいことで(笑)
私が見るだけならいいですが、お客さんやプログラマが設計書を見て、すごく雑だったら、それだけで読む気が失せちゃいますよね。
プログラミングにしても、コメントの入れ方とか、インデントの揃え方とか、すごく細かく言っちゃう。
もしかしたら、「圓増!うるさいわ!」と思われているかも(笑)でも、それって最終的なプロダクトの質にも影響すると思うんです。
― エンジニアに転向する時、正直、悩んだりしませんでしたか?
そりゃもうすごく悩みましたよ。
でも、ロックオンに入社した時に「この会社で働けるなら、どんな仕事でもいいや」という気持ちもあったんです。
― 職種ではなくて、会社軸で仕事を決めたんですか!?エンジニアやクリエイターだと珍しいタイプですね。
私の場合、職種に関するこだわりがあまりないんです。そこまで「自分の道を極めたい」という気持ちもない。
フリーでも、起業でも、自分で夢を持って、その道を突き進んでいる人はカッコいいけど、私が行きたい道とはちょっと違うなって思っています。
私は、今の仲間と多くの人に喜んでもらえるプロダクトを作りたい。会社として評価されると自分も嬉しいし、会社と成長したいんです。
たとえば、今すぐ社長がぜんぜん違うことをやりたいと言っても、「私もやりたい!」と言い切れる自信がありますね。職種が変わっても。
― そこまで会社に思い入れが持てるって、すごいことだと思います。
学生の時、「とにかく働きたい」とロックオンにメールを送って、社長直々に返信のメールをくれて。デザインのスキルが全然足りていないダメな学生に、とことんインターンで先輩たちが付き合ってくれたり。
学生時代から私のために、みんなが時間を割いてくれた会社なんですよ。時に厳しく、特に面白おかしく(笑)
全員が真剣に向き合ってくれたんです。恥ずかしげもなく言っちゃいますが、ロックオンで働くみんなが好きだし、会社のことがホントに大好きなんです。
― 入社6年目を迎えると伺いました。現在はどのようなポジションで仕事をしているのでしょう?
ECサイトの受託開発を担当する部署で、プロジェクトマネージャーとして働いています。
ちょうどクライアント企業のECサイトリニューアル案件を任せて頂き、進めているところです。他にもこまごまと任せて頂く中で、ベトナムのオフショア開発メンバーも含めて、様々な方たちとお仕事をさせて頂いてます。
― もともと現場での開発も行なっていたと思いますが、プロジェクトマネジメントにチャレンジされたんですね。
自分でプログラミングをして、プロダクトを作るのも楽しいですが、作れる範囲、手の届く範囲はどうしても限られてしまいます。
チームであれば、一人ではできないところまでできるし、大規模なシステムが作れる。そうすることで、より多くの人に喜んでもらえる。そんな大きい達成感がありますね。
ただ、まだまだプロジェクトマネージャーとして出来ていないことばかりで。もっと実力をつけ、大規模な受注があった時に「圓増にやらせよう」と思ってもらえる存在になりたいです。
― もっと高みを目指していくわけですね。最後に今後どんな働き方をしていきたいか教えてください。
働き方でいえば…じつは一昨日、結婚しまして。
― そうだったんですね!おめでとうございます!!
ありがとうございます(笑)だから、将来は家族をつくったり、子育てをしたり、仕事を含めたライフプランを考えていければと思っています。
ロックオンはまだまだ若い会社なので、「子どもを産んだ後も仕事している」という女性社員がいないんです。
結婚している女子社員は何人かいるので、みんなで「誰が最初に子どもを産むだろう」と話をしているところ(笑)家庭と仕事が両立できる、そんな会社をみんなで作っていきたいですね。
― 圓増さんの新しい働き方が、今後、ロックオンで働く女性たちのロールモデルにもなるかもしれませんね。本日はありがとうございました!
(おわり)
[取材・文] 白石勝也
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