2012.08.22
「《tab》が世界を更新する」頓智ドット 井口尊仁が語る、新サービスの全貌。[前編]

「《tab》が世界を更新する」頓智ドット 井口尊仁が語る、新サービスの全貌。[前編]

セカイカメラで知られる頓智ドットが、新たなサービスを発表した。その名も《tab》。今、世界中で最もホットな関心分野である「ソーシャル」「ロケーション」「モバイル」の三要素をすべて満たしたサービスだ。その魅力と可能性を、CMOの井口尊仁さんに伺った。

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《tab》は、誤解されている。

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頓智ドットから《tab》というサービスがローンチされた時、正直に言えば「またか」という印象が強かった。インターネットビジネスの次のトレンドとして「SoLoMo(ソロモ)」という言葉が使われ始めたのは、2011年あたりだっただろうか。ソーシャル・ロケーション・モバイルの頭文字をとって「SoLoMo」。その3要素、特に「ロケーション」をおさえたものが次世代のインターネットサービスの覇権を握るだろうと言われるようになってから、ロケーション系の機能をウリにしたWEBサービスが続々と生まれては、消えていった。

その多くは、単に気になった情報をマップにタグづけできるとか、チェックインアクションをFacebook上でシェアできるといったものであり、実際のところ「ユーザーをリアルな行動にかきたてるサービス」と言えるものではなかった。だから《tab》が「興味・関心を行動に変えるWEBサービス」という触れ込みで世に出てきたときも、きっとまた似たようなサービスなのだろうとたかを括ってしまったのだった。

でも、それは間違いだった。もしあなたが《tab》というサービスをご存知で、筆者と同じような印象を持っておられるならば、それは誤解だ。《tab》というサービスをきちんと理解しさえすれば、それがいかに今までにないサービスであり、人と世界との関わり方を変えうる可能性を秘めているか、きっとお分かりいただけるのではないか思う。

《tab》の革新性 ― 興味・関心をいかにして行動に変えるのか?

― 《tab》のWEBアプリとiPadアプリ、それからiPhoneアプリ《tab light》のリリース、おめでとうございます。《tab》とはどんなサービスなのか、改めて井口さんの言葉で伺えればと思うのですが?

端的に説明すると、「WEB上のみならずリアルまで含めたあらゆる場面で遭遇した情報を、集めて編集して共有できるソーシャルキュレーションサービスであり、その情報をユーザーの“リアルなアクション”につなげるロケーションサービス」ということになるのですが、それだけでは《tab》の本来的な価値をなかなかご理解いただけないんですよね(笑)

具体的に言うと、まずWEBで見つけた気になる情報を《tab》にクリップすることができます。情報には位置情報が付いているので、後でその場所の近くに行ったときに《tab》やiPhone版の《tab light》を立ち上げると、自分がクリップした情報が近い順番で出てくるので、「そういえば気になっていたんだった!」と思い出すことができます。さらに、クリップした情報を編集して共有できるというのが、キュレーションサービスとしての楽しみ方。例えば、Fancy を見ています。そこで何か好きなモノをみつけたとする。今までのソーシャルサービスだと、そのページをフォロワーにシェアするだけで終わっていたんですよ。《tab》はそこでは終わりません。「tab it ! 」というブックマークレットを用意しているので、それを使って、クリップする画像を自分でチョイス。その画像にタイトルとコメントと位置情報をつけてシェアすることができます。もちろん「tab it ! 」したページに位置情報が入っていれば、それをそのまま引っ張ってくることもできます。

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かつ、そうした情報を単発でクリップ・シェアするのではなく、自分でグループ分けして一つのストーリーとして扱うことができます。例えば僕がいまハマっているのが、YouTubeにアップされている「YMO」のライブ映像に、会場のロケーションデータをつけてクリップしていくこと。好きな人にはたまらないでしょう?「こんなところでやってたんだ!?」っていう発見もあるし。

それから「世界の兵器に会おう」シリーズ。完全に自分の趣味なんですけど、戦闘機や空母、戦車とか結構好きでして。どこにどんな兵器があるのかって、地図情報をつけてクリップしているんです。そうやって並んだ画をみていると、リアリティが出てくるんですよ。ここに行けば実際に見れるんだなあって(笑)

他にも、マニアックにウケがいいのが「地図情報つきの読書案内」。例えば、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の最後のシーンって「外苑前」なんですよ。だから「外苑前」の地図情報をつけてクリップ。三島由紀夫は「市ヶ谷」。三島を読むなら駐屯地、彼の最期の場所で読むんだと。エヴァンゲリオンだったら「箱根湯本」だと。第三新東京市でシンジ君の想いにシンクロしてくれと。司馬遼太郎なら「三笠公園」だと。戦艦三笠を見ながら、坂の上の雲のあのパッションを味わってくれと(笑)

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これが《tab》の「編集」と「共有」という観点での面白さです。各情報には自動でレコメンドがついているので、関連する情報をササッとチェックすることもできます。

とはいえ、これだけでは「ロケーションデータつきのインタレストグラフ」どまりですよね。《tab》は違います。GPS付きの端末でアクセスすると、興味のある情報で「自分が今いる場所」に近いものをズラーッと表示させることができるんです。雑誌やテレビで東京駅近辺のお店を紹介していたとします。それを見てふと「今度行ってみようかな」と思ったとしても、それを覚えておくのは難しい。人間の記憶は2時間が限度だと言われています。「お店の場所」と「行ってみようと思った気持ち」が記憶として定着する可能性は、ほんの数パーセント。ほとんどはすぐに忘れてしまう。

でも、その情報を《tab》に入れてシェアしておけば、たまたま東京駅に出かけた時にパッと雑誌を眺める感覚でiPadの《tab》を開いた瞬間、「気になっていたお店が近くにある」ことに気づけるわけです。iPhone版の《tab light》では、表示させる情報をお好みで絞り込むこともできます。「自分でクリップしたものだけ」にもできるし、「他の人がクリップしたものを含めて全部」という選択もできる。さらに距離に関しても自分のいる場所から100m圏内とか、もっと広げて5km圏内とか。あるいは今いる場所だけじゃなくて、任意の場所も指定できます。例えば渋谷に出かける前に、渋谷駅周辺の情報を予めチェックしておくこともできる。

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しかも、そこで表示される全ての情報は「マップ」にそのままリンクしているので、関連している情報すべてがタグ付けされたマップを見ることができるんです。

iPad版のバードビュー表示や《tab light》のマップの上で横フリックすると、気になるエリアのイケてる情報が次から次に出てきます。動作もクイックです。マップ系のアプリってすごく重いことが多いと思うんですけど、《tab》はサクサク動きます。だから、まるで「特集記事が永遠に続く、絶対に読み終わらない雑誌」を読んでいるかのような感覚を味わうことができるんです。

さらに、iPhoneアプリ《tab light》にはAR機能もあります!iPhoneのカメラでうつしだしたリアルな映像に、周辺のイケてる情報がARで表示されるんです。その情報がタグ付けされている場所がどこにあるのか、方向と距離が分かるんですね。どうです、ヤバいと思いませんか(笑)?


(後編につづく)


[後編]はこちら


編集 = CAREER HACK


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