セカイカメラで知られる頓智ドットの新サービス《tab》。CMOの井口さんへのインタビュー後編では、《tab》の高いプラットフォーム性について語っていただき、その先進性と可能性を探った。
― WEB版とiPad版の《tab》、iPhone版の《tab light》。その3つがすごく上手く連携していますね。集めた情報をPCやiPadで編集したり閲覧するだけでも楽しそうですし、何よりiPhoneを持って外に出かけてみたくなります。
全く同じ情報を見るにしても、例えば外に出て、自分の目線で情報を確認したい人はiPhone版の《tab light》を使って“ARビュー”で。編集が好きな人はWEBの編集機能やiPadアプリを使って“リスト”(一覧)で。近くにどんな情報が集まっているのか、俯瞰で確認したい人は“マップ表示”で。用途に合わせてフレキシブルに楽しむことができるのも、《tab》の特徴の一つです。iPhone版の《tab light》は、街を歩いていて気になったスポットやアイテムの写真を撮ってそのまま投稿できる機能があるので、外に出て行動する他にも現実世界を切り取って覚えておけます。
例えば FUJI ROCK FES に行って、みんなが写真を撮ってリアルタイムで《tab》に投稿していくとする。そうすると、周りにいるいろんな人の目線で切り取られた FUJI ROCK FES が、次々にアップされてくるわけじゃないですか。ライブ感覚をみんなで共有して盛り上がるような、そういう体験もできますよね。今までのWEBのライフログでは成しえない、もっとダイナミックで即時的な共感・共有が《tab》で実現できると思います。
先日、六本木ヒルズで《tab》を使った「大人のための夜ピクニック」というイベントをやったんですね。参加者にヒルズ内を自由に散策してもらって、気になったものや新しい発見を《tab》でキュレーションしていただいたのですが、人によって切り取り方が全然違うんです。人目線で切り取る方もいれば、美味しいものばかり集めている人もいる。キレイなアート作品だけクリップする人、お店に置いている商品を撮っている人、実にさまざま。それを参加した人みんなでシェアするのも面白いし、また参加してない人でも、例えば「建築」という切り口で情報をピックアップして再度まとめ直すなど、全く別の切り口でキュレーションできるのも面白い。
こうしたフレキシブルな機能を備えたアプリをWEB・iPad・iPhoneという特性の違う3つのデバイスできちんと網羅していて、しかもその3つが上手く連携しているサービスというのは、世界レベルでみてもかなり珍しいと思います。
― 改めてお話を伺ってみて、《tab》は単なるキュレーションサービスや、ロケーションサービスとは一線を画していると感じます。
それは僕らが《tab》をプラットフォームと考えているからかもしれませんね。今でこそWEB版・iPad版・iPhone版とありますけど、実は《tab》をリリースする時に僕らが何を最初に出したかというと「API」なんです。まだサービスもアプリもローンチしてない段階で(笑)
実はもう、APIを使って面白いアプリを作った方もいらっしゃいます。これが結構すごい。《tab》にはグルーピングされた情報がたくさんありますよね。先ほどお話しましたが、僕が個人的にやっている「世界の兵器ツアー」や「読書案内」もそう。で、そのグルーピングされたスポットを、どう移動したら一番効率よく回れるのか割り出してくれるマッピングアプリなんです。僕の「世界の兵器ツアー」も、そのアプリを通すとどのルートで回るのが一番早いかすぐ分かる(笑)。想像力や考え方次第で、まだまだいろんなことができるでしょうね。
― 今後はどのような展開を?
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まずは、東京で大ブレークしなければいけないと思っています。もちろんAndroid版も考えていますが、まずはiOSで大ブレークする。そのためにも、もっとUXを改善し、より多くの情報が投稿されるようにしたい。コンテンツプロバイダに関しても、ローンチ時点では50社だったものが数ヶ月で80社程度にまで増えてきています。が、こちらももっと増やしていくつもりです。キュレーターコミュニティには、今200名くらいいらっしゃるのかな。キューレーターの参加や活躍も重要ですね。もっと実用的な情報や趣味に走った情報など、いろいろあるべきだと思っているので。
もちろん世界展開も視野に入っています。東京だけでなく、ニューヨークなどの大都市では相性がぴったりです。SXSW2013にも、《tab》をもって乗り込んでいく予定です。海外での反応も楽しみですね。
ソーシャルなインタレストグラフに「ロケーションデータ」をつけた《tab》というものには、きっと僕らが思っている以上の面白さがあるんじゃないかと思うんです。ロケーションデータつきの情報には、リアリティがある。だから Fancy や Pinterest 、Tumblr と違って単にシェアして終わりじゃなく、「実際に行ってみよう」というアクションにまでつながる。そのリアリティの重さというか、ゴツンとした手応えがあるのが《tab》の良いところなんじゃないかと思います。
僕らは《tab》を単なるWEBサービス、WEBアプリケーションとは考えていません。これは、使う人の世界の見え方や感じ方、さらには行動の仕方や体験の仕方を変えるサービスです。《tab》を使えば、なんの変哲もなかった毎日の風景が違って見えてきます。極端な話、例えば海外生活をしている人が気になる思想書を《tab》にクリップしたとする。帰国したときにたまたまその本をチェックしようと《tab》を開くと、この思想書に影響された革命集会をやっているという情報が飛び込んでくる。そこで、気になって足を運んで、そこから革命運動に身を投じることになってしまう...なんてことが現実に起こるうるかも知れません。
《tab》という名前には、2つの意味を込めています。一つは文字どおり「付箋をはる」「目印をつける」という意味での「tab」。そしてもう一つは「take action book」。“見て終わりではなく、行動に移せるサービス”という意味です。世界中の人が《tab》を使っていろんな場所に「意味」や「価値」を与えていけば、世界が今よりもっと魅力的に見えてくるでしょう。魅力的な世界は、人をリアルな行動へとかきたてます。それが、僕らが《tab》を通して一番伝えたいメッセージでもあるんです。
(おわり)
編集 = CAREER HACK
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