2001年より、3年に一度横浜市にて開催される横浜トリエンナーレ(通称:ヨコトリ)。2014年は美術家の森村泰昌氏を迎え開催しています。芸術の秋到来!ということで、CAREER HACK編集部が7つのオススメ作品をご紹介します!
2014年8月1日、3年に一度開催される現代美術の国際展『ヨコハマトリエンナーレ2014』が開幕した。今回は、美術家の森村泰昌氏をアーティスティック・ディレクターに招聘。展覧会自体をひとつの物語として仕立て、森村氏が自ら選んだ作家の作品をストーリーのなかに位置づけることで独自の世界観を創り出している。
…と、述べると非常に敷居が高い印象を受けるかもしませんが、カンタンに言ってしまえば“3年に一度、横浜で開かれる現代アートのお祭り”。森村氏は「本物の芸術を子どもたちにも味わってほしい」と発しており、大人だけではなく子どもも気軽に芸術に触れられる、うってつけの機会だと言えます。今回、CAREER HACK編集部では実際に会場へ足を運び、五感を刺激する大小さまざまな作品のなかから独自の目線で作品を7点チョイス。今までアートに触れてこなかった方でも気軽に楽しめる作品をご紹介します。街を抜ける風が心地よくなってきた9月。『ヨコハマトリエンナーレ2014』で、”芸術の秋”を満喫してみるのはいかがでしょうか。
メイン会場のひとつ、横浜美術館。その正面広場から、物語の序章は始まります。
巨大なインパクトと共に迎えてくれたのが、こちら。トレーラーをモチーフに、鉄骨がゴシック建築風に組まれた作品です。全長15m以上ということもあり、遠目から見るとまるで本物のトレーラーかのような錯覚を起こします。しかし、作品に近づいていくと、徐々に作品が錆びているということがわかるはず。このトレーラーがどのような旅を経て、横浜にたどり着いたのか――。想像力が掻き立てられる作品です。ちなみに、こちらは屋外に展示されているため無料で見られます。迫力ある存在感、ゴシック様式の美しさ、連結部分の作りこみなどをぜひご覧ください。
横浜美術館に一歩足を踏み入れると、そこには巨大な“芸術のゴミ箱”が。
実は、このゴミ箱こそが作品。作者は「創造的失敗のモニュメント」と称しており、森村泰昌氏をはじめさまざまな作家(プロ・アマ問わず)の失敗作や忘れ去りたい作品などが投棄されています。参加申し込みを経て、来場者が自身の作品を投棄することも可能(条件あり)。自分の作品がトリエンナーレの一部になるということを実感できると同時に、この後の鑑賞を楽しむためのリセットができる作品です。
≪アート・ビン≫の脇にあるエスカレーターを上ると、いよいよ物語が幕を開けます。作品に触れるなかで疑問や驚きを感じることはあるかもしれませんが、まずは言葉は発することなく静かに耳を傾けてみてください。
展示スペースを進んでいくと、鮮やかな配色の4枚の言葉たちに目を奪われます。
「あっ、そうか。」「このことについては、黙っていることにした。」「はい、わかりました。」「心のなかで、そっと舌を出した。」実際に口にしたことははないけど、一度は心の中でつぶやいたことがあるような4つの言葉たち。ついつい言葉の背景を想像させられてしまいます。心に残る言葉と目を引く配色によって、少しずつ森村ワールドに引き込まれていくことでしょう。
順路に沿って進んでいくと、不規則に鳴り響く楽器の音色が聞こえてきます。
展示室に鳴り響く楽器の音色は、こちらの自動演奏装置が奏でています。作家の毛利氏は、2012年に死去した音楽家ビクター・C・セアルの自作楽器『MIKUNE』をモチーフに、解体されていたバンド・オルガン(ひとりで鍵盤とドラムを演奏できる楽器)を再構成。来場者が持ち込んだほこりを感知して楽譜を自動生成するシステムと合体させることで生まれた演奏装置として再生させました。来場者は、必然的に音の創り手になります。作家と、そして音楽家セアルとの協演を楽しんでください。
聴覚を刺激されて進むと、その奥にあるのが真っ赤な法廷です。
来場者を待ち受けているのは、赤い法廷、緑のテニスコート、そして青い監獄です。弁護士と検事の席にはDJのターンテーブルが置かれ、ラッパーによる「日本国憲法をラップする」というイベントも行なわれました(10月にも2回イベントを開催予定。詳細は公式ウェブサイトまで)。空間のなかを行き来することで、裁判官、被告、弁護士、検事、傍聴人、プレーヤー、審判、さらには監視人、囚人までを疑似体験することができます。
横浜市美術館内を見終えたら次は、もうひとつのメイン会場・新港(しんこう)ピアへ足を伸ばしてみましょう。横浜美術館からは、無料のシャトルバスが出ています。
新港ピア内に入ると、ド派手で巨大なステージに驚かされると思います。実はこのステージ、台湾で制作された移動舞台車。スパンコールやLEDが施されたインパクト抜群の巨大トレーラーは目を見張るものがあります。台湾から横浜にたどり着いた移動舞台車は、2015年より実際にやなぎ氏の新作演劇公演の舞台として使用される予定。舞台作品が気になったら、今後の公演スケジュールを要チェックです。
会場をさらに歩み進めていくと、移動舞台車と同じくらいのインパクトを与えてくれる巨大な作品が待っています。
車のような、本のような、小屋のような…なんとも形容しがたい様式の作品。有機的な色づかい、さらには蒸気が発せられる様子などから、今にも動き出そうとする息づかいのようなものさえ感じられます。新港ピアの最奥部、物語のクライマックス。こちらから海を望むと、今まで知っている横浜港とは少し違う景色に見えるかもしれません。
新港ピアの最奥部「カフェ・オブリビオン」から望む横浜港
いかがでしたか?すべてをご紹介することはできませんでしたが、『ヨコハマトリエンナーレ2014』は見どころ満載。「アートなんて…」と敬遠してきた方も、充分に楽しめる展覧会になっています。「頭の体操をする」くらいの軽い気持ちで、足を運んでみてはいかがでしょうか。
■展覧会タイトル
ヨコハマトリエンナーレ2014
「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」
Yokohama Triennale 2014 “ART Fahrenheit 451: Sailing into the sea of oblivion”
■アーティスティック・ディレクター
森村泰昌
■会期
2014年8月1日(金)- 11月3日(月・祝)
休場日:第1・3木曜日(9/18、10/2、10/16)
■主会場
横浜美術館 横浜市西区みなとみらい3-4-1
新港ピア(新港ふ頭展示施設)横浜市中区新港2-5
■開場時間 10:00 ― 18:00
[ 月1回土曜日(9/13、10/11、11/1)は20:00まで開場 ]
※入場は閉場の30分前まで
[取材・文]田中嘉人
編集 = 田中嘉人
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