2015.06.26
「長時間働く人が偉い」空気やめません?Googleが取り組む”ママが働きやすい職場づくり”

「長時間働く人が偉い」空気やめません?Googleが取り組む”ママが働きやすい職場づくり”

「女性が働きやすい社会」の実現に向け、Googleが取り組みを進めている。女性が働きやすくなるアイディアを募集してサイト上に可視化し、実践する企業や個人を増やしていこうと目論む。なぜこのような取り組みをするのか?Googleが考える、「働き方の未来」とは。


現在Googleは、女性が働きやすい社会を目指し「Women Willプロジェクト」を進めている。これは単に自社の環境改善をするということでなく、社会全体として問題を解決していこうという取り組みだ。

なぜ、今、Googleがそういった取り組みをするのだろうか。そして「女性が働きやすい社会」は、どうしたら実現するのだろうか。それらを探るべく、筆者は6月13日に行われたGoogleのワークショップを取材した。

「女性の働き方のこれから」を考えるGoogleワークショップ

今回のワークショップは、働く女性を応援するイベント「ELLE Women in Society」の中で行われた。ファシリテーターは、Googleでブランド&サーチマーケティング統括部長を務める平山景子さんと、Women Willプロジェクト パートナーシップ統括の藤本あゆみさん。40人ほどの女性参加者とともに、「女性の働き方のこれから」について考えた。

ママが働きやすい環境を作れば、みんなが働きやすくなる

最初に、彼女たちが現在どのような働き方をしているのか、一日のスケジュールが紹介された。2児の母である平山さんの場合、基本的に9時から18時で仕事をこなす。仕事の後は子どもの迎え、夕食の準備と家事に追われるため、早朝のわずかな時間が、唯一の「自分時間」だ。仕事が長引くときは、シッターや夫の協力も得ながら、やりくりしている。

続いて藤本さんから、GoogleのWomen Willプロジェクトについて説明がなされた。

「Women Willというのは、女性の働きやすい環境作りを目指したアジア太平洋地域全体の取り組みです。特に日本の場合、6割以上の女性が出産を機に仕事を辞めていく現状があります。これは深刻な社会問題です。ママが働きづらい状況があるなら、それは改善していかなければ。そこで私たちは『Happy Back To Work』というサイトを立ち上げて、女性が働きやすくなるアイディアをみんなから集め、それを社会全体に広めていこうと考えました」

Google Women Willプロジェクト_藤本あゆみさん

Women Willプロジェクトについて説明する藤本あゆみさん


ここで藤本さんは、実際の「Happy Back To Work」サイト画面を前方スクリーンに映した。「投稿されたアイディアを人気順に並び替えると、長時間労働をやめましょう、というのが上位にきていますね」

たしかに見ていくと、「会社にいる時間が長いのを偉いことと美化するのをやめよう」「『残業する従業員が良い社員』という組織風土の撲滅」など、長時間労働改善に関するアイディアが複数並び、多くの支持を得ている。

先ほどの説明にあった通り、もともとWomen Willは、女性が働く環境を改善する目的でスタートしている。ただ藤本さんは、「ママが働きやすい環境を作ることは、みんなにとって働きやすい環境を作ることにつながる」と強調する。そもそも、子育ては女性だけが背負うものではないし、介護の問題だってある。「女性の働きやすさ」を考えることは、私たちがより良い働き方を実践していくための、最初の一歩。このプロジェクトが将来的に目指すのは、「子育て中の人も含めた”みんな”が働きやすい社会をつくること」なのだ。

「長時間働く人が偉い」という空気、ありませんか?

「ここで、アンケートをやってみましょう。あなたの働き方をチェックしてみてください」と藤本さんが参加者に呼びかけた。

配布された「働き方に関するアンケート」には、「長時間働く人が偉いという空気がある」「出産を機に仕事を辞めていく女性が多い」「職場の男性が育児休暇をほとんどとっていない」などの7つの項目が並んでいる。筆者も、IT業界での会社員時代を思い出して、当てはまると思うものにチェックを付けていった。


Google Women Willプロジェクト


回答が終わると、「当てはまった人は、手を挙げてください」と藤本さんが項目を順に読み上げていった。「長時間働く人が偉いという空気」には6割強が挙手。「職場の男性が育児休暇をほとんどとっていない」については、参加者の9割近くが「当てはまる」と手を挙げた。


Google Women Willプロジェクト


「この7項目、1つも当てはまらないような職場になれば、素敵だなって思いませんか?アイディアだけで終わらせず、実践するパートナー企業を社会にどんどん増やしていきたいなと思っています」と藤本さんは語った。

働くママ、全部一人でやろうとしないで

最後に、平山さんと藤本さんが、自身の「女性が働きやすくなるためのアイディア」を発表した。

Google Women Willプロジェクト_藤本あゆみさん

藤本さんは「『できない!』と周りに言ってみる」と発表。


「『女は、母は、こうあるべき』という理想にがんじがらめにならない方がいいな、と思います。もちろん努力することは大切だけど、できないことは、『できない』と自分から発信してみたらいい。『察して』ではなく、自分からオープンに。そうすると、『そのことなら、あの人が助けてくれるかも』と情報が自分のところに集まってきます。うまく周囲の力を集めてやっていけたらいいと思う」

続いて平山さんは「子育ても仕事も全部一人でやろうとしない」と提案。藤本さんのアイディアにも通じる考え方だ。

「家事や育児は『やろうと思えば自分でできる』微妙なものがいくらでもある。だからつい自分でやってしまったり、『ママが全部やるべき』と気負ってしまったりします。でも、仕事も子育ても、周囲に助けてもらうことで、学べることも多い。他人の視点が加わることで、よりよいアウトプットにつながります。『全部自分一人でやろうとしない』っていうのは、子育てだけでなく、仕事にもつながる大切な考え方です」

Google Women Willプロジェクト_平山景子さん

「仕事も子育ても全部一人でやろうとしない」とアイディアを語る平山景子さん。


人材の多様性はイノベーションに必要不可欠

ワークショップ終了間際、参加者からこんな質問が出た。「Googleで女性が働くメリットってなんですか?」

これに対して平山さんは、Googleがダイバーシティ(多様性)を重要視する企業であることを挙げた。「イノベーションを起こすには人材のダイバーシティが必要不可欠、という認識を会社がしっかりと持っている」

さらに藤本さんは付け加えた。「グローバル企業なので、世界中いろんなロールモデルに身近に触れることができるのがGoogleならでは。日本文化の中だけ、日本女性だけにロールモデルを求めず、世界に目を向けることができます

平山さんによれば日本のGoogleは、海外に比べてまだまだ女性リーダーの割合が少ないなど、課題もある。ただ上述の言葉通り、イノベーション創造に重要な価値を置くGoogleの場合、ダイバーシティ推進の重要性を、真に実感として認識している。建前として”ダイバーシティ”や”女性活用”を掲げているだけの企業とは違う。子育て中の女性も含め、みんなが働きやすい社会に向けて。Women Willプロジェクトのさらなる広がりに期待したい。


*「働く女性をハッピーにする」アイディアはWomen Will Japanのサイトから誰でも投稿ができる。
*CAREER HACKでは、今回のワークショップが行われたイベント「ELLE Women in Society」の中から、3人の女性ビジネスリーダーたちによるトークセッションの模様も後日掲載予定。


文 = 柳澤明郁


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