2015.08.12
パパママ社員がたくさん! 米Automattic社のファミリーフレンドリーな社風とは|高野直子

パパママ社員がたくさん! 米Automattic社のファミリーフレンドリーな社風とは|高野直子

米Automattic社でレンタルブログ「WordPress.com」の国際化を担当する高野直子さんは、昨年第一子を出産し、3ヶ月の育休から復帰した。彼女がフルタイムの仕事と子育てとを両立している背景には、会社のワークスタイルや風土があるようだ。

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▽インタビュー第一弾はコチラ
WordPress.comに携わる唯一の日本人女性、高野直子のワークスタイルとは?

3ヶ月の育休を経て、リモートワークに復帰

レンタルブログサービスWordPress.com等のサービスを手がける米Automattic社は、世界各地にいる社員がほぼ全員リモートワークをしている。東京の自宅やコワーキングスペースで仕事をしている高野直子さんは、同社でただひとりの日本在住社員。世界各国にいるメンバーとチームを組んでWordPress.comの国際化に取り組んでいる。

全員がリモートワークをしながらのチームワークのコツや高野さんのキャリア観を伺った前回のインタビューに続き、今回は子育てと仕事の関係についてお話いただいた。

昨年第一子を出産、育休を経て復帰した高野さん。「子育て」という要素が加わって、ワークスタイルにはどのような変化があったのか? 会社の出産・育児に特化した支援制度は休業に関するものだけという状況ながら、フルタイムで仕事を続けられているのには何か理由があるのか? そんなことを知りたくて、高野さんの現在進行形の働き方やAutomattic社の文化について伺った。

この1年は、チーム内で出産ラッシュ

― 産後は3ヶ月の育休を取られたということですが、出産前はどのくらい休みましたか?


会社は有休の日数制限がなく、体調や家族の都合などで自由に休みをとれるので、身体がきつくなったら休もうと思っていました。でも、つわりも少なく調子が良かったので、結局出産のために病院に行く前日まで働いていました。


― すごいですね! 会社では、子育て中のメンバーはどのくらいいるのでしょう?


若くて独身の人もいますが、家族がいる人が結構多いですよ。社内ブログには子供に関する雑談専用のものもあります。

私が所属する「チームグローバル」は、6人のメンバーのうち、ひとりを除いてみんな子供がいます。しかも、この1年の間に私も含めて3人の社員の家庭で子供が生まれ、もう1人奥さんが妊娠中の人がいますね。


― 出産ラッシュですね!育休を取るのは女性だけですか?


男性も取りますよ。1ヶ月とかそのくらいが多いですが。


― それはすばらしい!でも、そうなると高野さんのチームでは次々に育休に入る人が出てくることになりますね。育休の間は、代わりの人が入るのですか?


はい。私と、翌々月出産したもう一人の女性が育休に入ったタイミングで、フルタイムの代替要員として他のチームから人が来てくれました。

普段から、チーム間でメンバーを交換したりすることはよくあるんですよ。例えばデザイナーなら、いつも担当しているのとは別のプロダクトのチームでデザインをするとか……。会社としては複数のチームを経験していろいろな仕事を知ってほしいと考えていて、こういうところは日本の会社に似ているかもしれないですね。

状況に応じて勤務時間を柔軟にシフト

Automattic社_高野直子さん


― 復帰後もフルタイムで仕事されているということでしたが、そもそもリモート勤務で労働時間の管理はされているんですか? 子育てのために時短勤務、という選択肢もあるんでしょうか?


そんなに厳密に時間を申請したりとかはないんですが、週40時間働いている場合はフルタイムとみなされます。

個人的には、子供との時間をもっと取りたいという思いはあったんですけど、会社の方針でパートタイムはあまり認められていないんです。病気など、やむを得ない場合の一時的なパートタイムは可能ですけどね。


― かなり自由なイメージがあったので、その点は意外です。


会社としては、できるだけコミットできる人に働いていてほしいということでしょうね。だから副業も禁止されてるんです。

でも、会社が社員の生活を大事にしようという姿勢はすごくあって、何かあった時にはどんどん休みなさいと言ってくれるし、一時休業してもお給料や待遇は変らないので、それはとても助かります。


― 仕事をする時間帯についてはどうですか? 子育てしながらどのようなスケジュールで働いているのでしょうか?


時間帯は自由に決められるので、助かってます。出産前は、基本的に日本の時間に合わせて仕事をしていましたが、子供が生まれて今年の4月に保育園に入園するまでは、昼間や夜、子供が寝ている間にやっていましたね。あまり夜泣きもしない子だったので、ありがたかったです。場所はほとんど自宅でしたが、ときどき子連れで行けるコワーキングスペースを利用していました。子供用のスペースがあって遊んでくれるスタッフの人がいるのですが、当時はまだ自分で動けない赤ちゃんだったので、私の横にバウンサー(揺れるベビーチェア)を置いて、座らせたり抱っこしたりしながら仕事をしていました。

自分で動き始めると子供を見ながら仕事するのは難しいと思うので、ちょうどハイハイし始めた頃に保育園に入れたのは良かったです。

保育園に行くようになってからは、預けている昼間の時間に仕事を済ませるようになりました。ときどき夜にあるオンラインミーティングに参加するときは、旦那さんに抱っこしていてもらいますが。


― 子供が生まれて、何か困ったことはありますか?


うーん、あえて言うなら、自分の自由なスケジュールでは動けない、ということでしょうか。

以前は知り合いに会うためやイベントの準備のために夜に出て行くことも多かったけど、そういう予定はすごく減って、リモートでのやり取りが増えました。でも、そういう時期もあるんだと思って、自分で行かないと決めてしまえば、意外と何も問題はないですね。

子育てとの両立に役だったこと

Automattic社_高野直子さん


― 仕事と子育てを両立するために、何か工夫していることはありますか?


引っ越したことですかね。子供が生まれたのでもう少し広いところに住みたいと思ったことや、以前住んでいた地域では保育園に入れられなかったこと、夫の職場が移転したことなどが理由です。その結果、運良く保育園には入れたし、夫は会社まで歩いて行ける距離になって、家族で過ごす時間が増えた。これは本当に良かったです。


― 生活や家族の都合に合わせて住む場所を自由に選べるというのもリモートワークのメリットですよね。


はい。私個人の工夫というのはそれくらいで、あとは会社のサポートによるところが大きいです。私と夫の両親はそれぞれ遠方なので頼れませんが、Automatticは有休の制限日数がないので、何かあれば私が休んで対応できるというのは助かります。


― 日本のワーキングマザーがより働きやすい環境を実現するには、どうすればいいと思いますか?


リモートワークをできるようにするとか、個々の事情に柔軟に対応できるようにすることでしょうか。

Automatticでは、子供がいる家族に向けた制度が特に充実しているというわけではないですけど、育休から復帰するとき、どうしてもできないときは会社がサポートするという姿勢が感じられて、とてもありがたいという気持ちになりました。お給料だけ比較したら他の会社のほうがよくても、そういう面を魅力に感じている社員は多いでしょう。リモートワークや自由な勤務時間で社員の時間的余裕をなるべく確保することが、長期的に見ると会社にとっても良い結果をもたらすのだと思います。


― 会社と働く側、双方にメリットがある形が理想的ですし、日本の会社でも実現できることはまだまだありそうですね。本日はありがとうございました。



文 = やつづかえり


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