2016.11.28
20歳のデザイナーも登壇!若手はキャリアをどう考える?ペロリ×THE GUILD×Goodpatch

20歳のデザイナーも登壇!若手はキャリアをどう考える?ペロリ×THE GUILD×Goodpatch

「デザイン×キャリア」について若手デザイナー3人の持論って? 登壇者した最年少はGoodpatchで働くマッカートニーさん(20歳)。加えてペロリの山本さん(27歳)、Chocolu.net/THE GUILDの小玉さん(24歳)の発表と併せてお届けします。

0 0 24 0

「自分が進むべき道」はどこにあるんだろう

※2016年10月25日に開催された「UI Crunch U25」よりレポート記事をお届けします。

多様化していくデザイナーのキャリア。選択肢が広がっているなかで、自身はどんな道を進むべきか、迷ってしまうことも。

きっと同世代のデザイナーたちの考えは参考になるはず!そこで2016年10月25日に開催された「UI Crunch U25」、若手デザイナーが3名たちによる講演をレポート。

なぜ今の働き方を選んだのか?
キャリアのターニングポイントは?

登壇者3名の視点と共に、「これからの時代を生きていくデザイナー」のキャリアについて考えてみたい。


[登壇者]
● 山本 麻友美(株式会社ペロリ)
● 小玉 千陽(Chocolu.net / THE GUILD)
● マッカートニー龍馬(株式会社グッドパッチ /株式会社ookami)

「目的」から出発する|ペロリ 山本麻友美

ペロリ 山本麻友美

「どうやってデザインするか?(手段)」、「何を届けるためにデザインするか?(目的)」。どちらに重きを置くかで、人生のあり方は大きく変わるんじゃないかと思っています。

こう語るのは、オシャレに敏感な女子から絶大な支持を得ている「MERY」を手掛けるペロリの山本 麻友美さんだ。

現在、同社でCIデザイン・ブランディングを担当する彼女は2012年に新卒でDeNAに入社。無料通話アプリ「comm」やゲームのUI/UXデザインを担当してきた。デザイナーとして順調なキャリアを歩んできているように見える彼女。しかし、本人の中では葛藤があったそうだ。

DeNAで働いていたとき、上司から「◯◯と言えばこの人というような存在になれ」とよく言われていました。当時、私は「comm」の仕様決めやマニュアル作成、運用など幅広く仕事をしていたのですが、「私は一体何職人になりたいのか」とずっと決めきれずにいたんです。

ふとまわりを見渡してみるとDeNAにはすばらしい職人がたくさんいたんです。かわいい女の子からフランケンシュタイン、ドラゴンまでさまざまなキャラクターデザインができる"キャラデザ職人"や、町中で看板を見ると文字詰めしたくなる"タイポ職人"など本当にスゴい人ばかりで。

スライド資料

悶々とした思いを抱えていた時、ペロリへの出向が決まった。「デザイナーが必要だから行ってきて」。この一言が彼女のターニングポイントとなる。

DeNAと大きく違ったのは組織。未完成であるが故に幅広く仕事をこなした。

ペロリに行ってから、アプリだけではなく、グッズ製作、イベント運営など、本当に色々なことをやらせてもらいました。人数も少なくて、大変だったんですけど、ユーザーの声が直接聞ける。「この仕事やっていて良かったな」と思う瞬間が多くありました。自分の携わったCMが「すごくかわいい」と言われたり、自分の製作したグッズが「MERYのグッズを見て疲れがふっ飛んだ」と言われたり。ユーザーに何を届けたいのか、ここを考えることが自分の原動力だとわかったんです。

以前は「どうやってデザインするか」と手段に目がいっていたという山本さん。「何を届けるためにデザインするか?」と目的を起点に、デザイナーとしての在り方を考えるようになったそうだ。

「目的から出発するデザイナー」として歩んでいけば、今までなかった手段を見つけられるかもしれないし、今まで出会ったことのなかった職業に出会うかもしれません。私はMERYで"キュン"や"ワクワク"という感覚を届けたい、ここを突き詰めてデザインを考えています。“キュン”や“ワクワク”を届ける手段は一つではありません。グッズ製作やイベント運営もやれる。もしかしたらUI/UXもワクワクの要素になるかもしれない。さまざまな手段があります。もちろん自分で全部つくることはできないので、チームで協力し、MERYの世界観をつくり上げています。

※使用されたスライドはこちら

"理系出身"の生きる道|Chocolu.net / THE GUILD 小玉千陽

THE GUILD 小玉千陽

Chocolu.net / THE GUILDの小玉千陽さんは理系のバックグラウンドを持つデザイナーだ。東京工業大学工学部に在籍していた彼女。当時、まわりの友人からは「変わり者」という見られ方をされていたという。

東工大からデザイナーになる選択は、私にとってはすごく大きな壁でした。まわりの友人に「デザイナーになりたい」と話しても誰もわかってくれない。「服のデザインをするの?」と言われることがほとんどで、デザイナーへの理解がない環境でした。ただ、その一方で個人的には「デザイン」と「プログラミング」の知識を身につけ、実力を磨けば価値があるのではないかと思ったので、学生時代から密かに経験を積んでいくことにしました。

スマートフォンが普及しはじめ、"UI"という言葉が頻繁に使われるような時代だったこともあり、小玉さんは気になったUIをとにかく研究。何が良くて、何が悪いかをノートに書き出し、検証を続けていった。その勉強熱心な姿勢は、仕事に活きたという。

スライド資料

新卒で働きはじめて、直接クライアントから依頼を受ける立場になったんですけど、あまりアプリに詳しくない人と打ち合わせをすることが多くなりました。なかなかお互いの意識を擦り合わせることができなかったので、意思決定プロセスを明確にするためにペーパープロトタイピングを導入していました。全体の設計をペーパープロトタイピングで共有し、そこから細かくUIを改修していく。提案と修正を繰り返しながら、アプリを作成。この経験により、デザインの考え方が大きく変わりました。

学生時代は「(デザインとは)スクリーンや紙などを通して、見る人に伝えるためのもの」と思っていたのですが、クライアントと働くことでデザインは「問題解決のための最適解を見つけて媒体にアウトプットするもの」と思うようになりました。

スマートフォンの登場から約6年。現在、デザインは問題解決のための最適解のみを見つけるだけではなく、「プラスアルファ」が求められていると語る小玉さん。仮設、検証、問題解決という思考のフレームワークこそが重要だと語る。

学生時代は理系出身がデザイナーになるキャリアは、けっこう馬鹿にされたのですが、今は逆に理系出身であることが重宝される。ペロリの山本麻友美さんも東大の理系出身なので、周りに理系のバックグラウンドを持つデザイナーが増えてきたなと感じています。

※使用されたスライドはこちら

デザインの勉強よりも人間活動|Goodpatch マッカートニー龍馬

Goodpatch マッカートニー龍馬

フランスに8年間住み、現在は東京で働くGoodpatch & ookamiのマッカートニー龍馬さん。彼はデザインの勉強をしてスキルを磨くよりも、人間活動に注力した方がいいと語る。

デザイナーとして働いていると、似ている仕事をしている人がまわりに集まる機会が増えていくと思うのですが、僕たちはデザイナーのためにデザインをしているわけではありません。まだ見たことも、話したこともない"誰か"のためにデザインをしている。だから、色んなバックグラウンドを持っている人と関わりを持った方がいいと思うんです。

Appleのジョナサン・アイブが「Human centric design(ユーザー中心設計)」が大事と語ったように、大切なのはユーザーは何を欲しがっているのか理解すること。

若くて時間があるうちは、もっと海外に行って異なるカルチャーや、人を知る。そうやっていろいろな経験をすることで、視野が広がり、デザインの幅も広がってくると思うんです。僕もまだ20歳と若いので(笑)もっと外に出て、人間活動をしていきます。

これからのデザイナーは否応なく、世界を視野にキャリアを考えることになるだろう。当然のことながら多様な価値観、生活様式、文化、デザイナーに求められるのは単純なスキルだけではないはずだ。多く人と交流し、インスピレーションを得る。そして人間としていかに成長ができるか、こういった視点も大切になるはずだ。

※使用されたスライドはこちら


文 = 新國翔大
編集 = CAREER HACK


特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから