2019.08.28
「読み進めたくなる文章」には仕掛けがある。推敲のためのポイント3つ

「読み進めたくなる文章」には仕掛けがある。推敲のためのポイント3つ

noteで自分なりのエッセイを書いてください。テーマは「私の素敵な人」。そんなお題だったら、みなさんはどんな文章を書くでしょうか。コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する『言葉の企画』のひとコマ。「読み進めたくなる文章」の仕掛けについて解説いただきました。

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>>>(関連記事:心構え編)noteを書きたいけど、何をどう書けばいいかわからない君へ。コピーライター 阿部広太郎さんと考える、書くことの楽しみ方

「入り口」で心を掴まれるか

文章の入り口となる「タイトル」と「サムネイル画像」は非常に重要です。今回『私の素敵な人』というテーマでエッセイを書いてくださいというお題に対し、ストレートに記事のタイトルを「私の素敵な人」にしてくれた人もいました。

それが悪いというわけではありません。ただ、たとえば、50個このタイトルの記事が並んだらどうでしょう?読者に「お、なんだろう」「気になるな」と感じてもらうことが難しくなりますよね。どう目立つか、を考えてほしいんです。

文章中にある象徴的な言葉を一行抜き出したり、文章全体を総括した上で俯瞰したタイトルをつけたり。方法は様々ですが、「素敵」という言葉をタイトルに使うか使わないかはもう少し揉んでも良かったのかなと思います。

内容が素晴らしいのに、中身を見てもらえないなんて悔しいじゃないですか。タイトルやサムネイル画像は、やっつけで決めていいものではありません。中身のいちばん外側をつくる気持ちで。自分の文章を見つけてもらいやすくするためにも、この「入り口」は適切か?を常に意識しましょう。いかに目を引くかという点では、タイトルと同じくらいサムネイル画像も重要です。シェアする時に表示される画像ですね。

誰かの文章を読んでみて「ついつい読み進めちゃうな…!」と思うものと出会ったら、まずタイトルのつけ方やサムネイル画像の選び方を自分なりに取り入れてみると良いと思います。

ストレスなく読み進められるか

心地よい文章量って、やっぱりあると思うんです。論文のようにガーッと文字が塊になっていたら、なんだかちょっと読みづらいと感じませんか?

特に今はスマホで文章を読む時代ですから、たとえば改行を意識して入れたり、一定の文章量を超えたらブロックを変えたり、読む人にストレスを与えない工夫が必要です。今読んでくれているこの記事にも、適度に余白がありますよね。

今回提出いただいた中の『あの日の、消えぬ人』『老人と海と私』といった作品は、文章量や改行含め心地よいリズムで読み進められました。それぞれのエッセイを読んでほしいのですが、冒頭からいきなり情景を想像させる掴みとなる表現が入っていたのもすごく良かったです。

「読みにくいな」「まだ続くのか」と感じてしまうと、途端に読む気が失せてしまうもの。みなさん自身も読むプロだと思うんです。ストレスを感じた瞬間に読み飛ばすこともあるドライな自分自身を知っているはず。たくさんの文章に触れて、ストレスを感じた部分があればチェックしておくと良いかもしれませんね。

読み終わった後に感情を味わえるか

ポジティブな気持ちになって欲しい、寂しい気持ちを共有したい、それぞれ感じて欲しいメッセージを込めて文章を締めくくるはずです。読後感というのは、読んだ後にどんな感情が再生されるかということだと思うんです。読者に感じて欲しい気持ちはどんなものであっても構いません。その上で、どんな文章の締めくくり方をすれば、感情を味わうように読み終えてもらえるのでしょうか?

たとえば、その記事はシェアされる時にどんなコメントが添えられるのか、をイメージしてみても良いですね。

『似た者同士だからこそ、素敵だと思える人。』という作品は、「似たもの同士ってこういうことなんだろうな」って、読み手自身の経験と重ね合わせながら想像して読むことができて、読み終わった後に友だちに会いたくなるような、読めて良かったなと純粋に思えたエッセイでした。

どれだけ入り口が良い文章でも、読み終えた時に違和感を感じたり、何も印象に残らないと思われてしまったらもったいないです。出口にどんな景色を用意するか、どんな感情を味わってほしいかも、ぜひ考えてもらいたいポイントです。

※本記事は、大人のための街のシェアスペース・BUKATSUDOにて、コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する連続講座「言葉の企画」の模様をキャリアハックにて再編集したものです。
*「言葉の企画」の記事一覧はこちら

 

撮影:小田周介


文 = 千葉雄登
編集 = 長谷川純菜


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