《Pitapat》のサービス閉鎖を経て、合田氏率いるPitapatが開発を進めるのが実名制Q&Aサイト《Qixil》。彼らは新サービスをどう位置づけ、《Pitapat》での経験をどう活かしていくのか―。
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ビジコンとビジネスの圧倒的な差―Pitapat 合田武広CEOがサービス閉鎖から学んだこと[前編] から読む
― 自分たちがサービスで成し遂げたいことを開発中の新しいサービスで実現していくのですね。
はい。いまは《Qixil-キクシル-》という実名制のQ&Aサイトを開発しています。Google検索では対応できないリアルタイムで変化していくものや、属人的な悩みを、訊きたい人に相談・質問できるサービスです。
国内にも数多くQ&AサイトやHow toコンテンツがありますが、自分の質問に“誰が”答えているかが分からないですよね。《Qixil》が既存のQ&Aサイトと異なるのは、どんなバックグラウンドを持った“誰に”、答えをもらえるのかが明確な点です。
僕たちが《Qixil》で実現したいことは、『リアルな質問・回答のアクションをネットで可能にする』ということ。普段する質問でも、「どんな答えが返ってくるか」と同じくらい「誰に答えてもらうか」のほうが重要な場合が多々あると思います。
例えば、起業に関しての質問に対する藤田晋さんからの答えと、見ず知らずの人の答えがもし一緒でも、その答えの信頼性は全く異なりますよね。
質問者が本当にしたい質問を回答してほしい人に対して投げかけて回答してもらう。それによって人と人が出会い、つながりが生まれ、《Qixil》独自のインタレストグラフが形成される。そんな新しい体験を《Qixil》で提供できればと思っています。
― 《Pitapat》のクローズの決定打となったサービス構造などは、《Qixil》でも十分に検討されて開発されているのでしょうか?
もちろんサービスの構造はすごく意識しましたね。《Qixil》は質問と回答、つまりコンテンツが時間と共に増え続けるストック型のWEBサービスです。ユーザーが出入りを続けて滞留しづらかった《Pitapat》とは明確に異なるモデルですね。
また、サービスのプロモーションや広げ方にも気を使っています。現在、ベータ版を少数の試験者に使っていただき、実際に会ってフィードバックをもらいながら開発しています。ローンチも完璧な状態で出すのではなく、ユーザーの声に真摯に向き合いながら地道に改善していき、ユーザーと一緒にサービスの完成形を目指していきたいと思っています。
将来的にはあらゆる分野の質問・回答が投稿されるQ&Aサービスの展開を想定していますが、まずは、IT系のベンチャー・スタートアップのみに対象を絞って、サービスを成長させていく予定です。
― なぜ、IT系のベンチャー・スタートアップなんですか?
まずは、私たち自身が本当に使いたいサービスを作ろうと思ったからです。《Qixil》に関しても、サービス広げ方、マネタイズの仕方、分析方法、改善案など色々と相談したいことが沢山あります。そういったノウハウの共有・蓄積を盛んにしていけば、僕たちみたいに若いうちから新しいサービスを作っていく人や起業する人が増えていくと思うんです。
アメリカのシリコンバレーでは、すでに成功した人が次の世代にノウハウを伝えていく文化がありますが、《Qixil》を使っていただくことによって、日本にもそういった文化が根付いていくといいなと思っています。
― 他に《Pitapat》のときとは、違う点などはありますか?
チームの技術的な成長ですかね。一度大規模なサービスのローンチと運用を経験したメンバーがそのまま残っていますし、サイバーエージェントグループの一員として、社内で活発に意見交換をしたり、いろいろなアドバイスをいただきながら開発できるのは大きいです。
― 合田さんが仰っていた「人と人の出会いにおけるセレンディピティの提供」を《Qixil》で実現していこうとしているようにも感じます。
僕の手がけるサービスの根本は絶対に変わることはありません。そんなに難しいことを考えている訳ではなくて、普段の生活で普通にやっていることをWEBに移して、より手軽に広くできるのがサービスの理想形だと思っています。
その点で言えば《Pitapat》はいきなり異性と“恋愛”をするんじゃなくて、相手のことを気になるところから始まり、お互いに意識するようになった後に、数回“トーク”してからだんだんと親密になる。リアルの恋愛と同じですよね。
― 《Qixil》というサービスを通じて、新しい出会いが生まれ、それが恋愛に発展することだってありそうですよね。
たしかに…(笑)質問相手が親身に答えてくれたのをきっかけに親密になって…と、相談が恋愛のきっかけになることは、リアルでも違和感のない出来事ですよね。そういう敷居を下げた、生活とWEBの体験がかけ離れていない、でもWEBサービスだからこそ可能なモノを提供していきたいですね。
残念ながら《Pitapat》はクローズする決断をしました。でも、あくまで僕たちが目指すのは、「人と人の出会いにおけるセレンディピティの提供」です。それを実現するのがサービスであり、サービスは一つの手段なんです。マッチングアプリからQ&Aサービスと形を変えていますが、《Pitapat》から《Qixil》へ進化して、新しい出会いを提供していきたいと思っています。
そうそう、実はいま開発中なのは《Qixil》だけじゃないんですよ。《Qixil》とは正反対の非言語コミュニケーション分野で、アプリケーションも開発中です。これはPitapatのインターン生からのアイデアを僕たちが形にしているものなのですが、《Qixil》よりグローバルに展開していこうと思っています。
― へえ!それは興味深いですね!本日はありがとうございました!
ありがとうございました。
(おわり)
文 = 松尾彰大
編集 = CAREER HACK
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