2020.04.20
大好きなあの店を応援するために。「みらいの食券」で繋ぐ、飲食店支援

大好きなあの店を応援するために。「みらいの食券」で繋ぐ、飲食店支援

好きな飲食店の回数券を事前購入、お店を応援できるサービス「みらいの食券」が、4月20日リリースされた。開発者である古庄伸吾さん(プレオデザイン合同会社・代表)にサービス詳細について伺った。

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「みらいの食券」とは?
・飲食店の食券(回数券)を購入できる
・購入したユーザーは、来店時に「プラスα」の特典が受けられる
・加盟した飲食店(※以下、加盟店)は、回数券の売上を週単位 or 月単位で手にできる
・加盟店は、初回2ヶ月間は無料トライアルで利用可能
※3ヶ月目以降は「売上の5%を支払う従量課金プラン」もしくは「月額5000円で利用できる月額制プラン」のいずれかを選択
・4月20日現在、加盟店400以上
・さらに加盟店が集まったエリアから順次チケットを公開予定

まちの飲食店を応援する「みらいの食券」

手打ちパスタが絶品のイタリアン。
名物店長がいる焼き鳥屋さん。
小さい頃から家族で行った鰻屋さん。

取材者である私にも「無くなってほしくないお店」がいくつもある。

首都圏を中心に、新型コロナウイルスの影響で飲食店の営業停止が相次いでいる。そんなニュースを耳にするたび、「あのお店はどうなるんだろう」と心配に。私にも何かできないか。もしかしたら「みらいの食券(旧Ticketime)」は、この声を「なくなってほしくないお店」に届け、守る一助になるかもしれない。

事前に食事券を買って、あのお店を応援しよう。

開発した古庄伸吾さん(プレオデザイン合同会社・代表)にお話を伺った。


【プロフィール】古庄伸吾 ブランディング事務所PREO DESIGN代表。熊本出身。STUDIO公式アンバサダー。カフェ経営や半農半デザイナーの経験から食に関わるブランディングを中心に商品・サービス・企業のサポートに携わる。

「常連さん」が少ないお店にも使ってもらえるように

ー「みらいの食券」のサービス詳細について教えてください。

飲食店の食券(回数券)を、スマホで事前に購入できるサービスです。購入した食券はマイページで管理され、有効期限内であればいつでもご利用いただけます。

より詳細な仕組みとしては、食券を購入すると「商品代金」が決済代行会社に一度集約されます。そこから加盟店料、決済手数料、振込手数料等を差し引いた金額が「売上」として加盟店さんに入金されます。

3月上旬にティザーサイトは公開していて、今回β版リリースしました。β版の広まり具合を見つつ、早ければ夏~秋頃までには正規版のリリースできればと思っています。

ー なぜ、「回数券」にされたのでしょうか?

どうしてもお客さんを「常連化」できていない飲食店って多いですよね。回数券なら何回か来店してもらうことが前提になる。そうすることで常連さんを増やせないかと思ったんです。

もうひとつ、ポイントにしたのが、「お礼の気持ち」としてお客さんの来店時にはプラスαの「特典サービス」を提供してもらうことを想定しています。

たとえば、来店してこそ得られる特別な体験があるといいですよね。「新メニューをいち早く試食できる」とか「特別なお酒が飲める」とか。 

より利用してもらえる食券を企画できるように、私たちの方でもコストをかけて忙しい店長やスタッフの皆さまに寄り添っていくつもり。「特典サービス」をコーディネートし、サポートします。それを担える人材も確保しなくちゃと考えています。この「お店による特典サービス」こそ、「みらいの食券」の一番の肝になると思っています。

「ファンを作ることが必要」って口でいうのはかんたん。でも現実的に悠長なことを言ってられないし、ノウハウもない。入れるところに入って全力で支援したいです。

ー現在、Twitter上で飲食店の方々自らが動き始めて資金を調達しているケースもあると思います。とくに小さな個人店だとSNSでの発信力、フォロワーが少ないところもありますよね。

そうですね。「みらいの食券」の場合、お店の知名度やオーナーさんのインフルエンス力とかより「日頃のお客様とのつながり」が重要になってくると思います。

というのも、お客さんとして想定されるのは、もともとお店に来たことがある方が大半だと思っているので。あの店長とまたおしゃべりしたいといった日々の「関係性」だったり、人知れず通う中で湧いてきた「愛着」だったり。そういうものから、「応援したい」気持ちが生まれるんじゃないかと。

飲食店の方々が独自で動くことには大賛成なのですが、その場合、応援したいと思っている人たちに届かない可能性もありますよね。なので、「みらいの食券」がそこをつなぐ役割を担えればと思っています。

また、新規のお客さんが利用することも、ゼロではないはず。たとえば、 3枚綴りのチケットを購入して、誰かと一緒に来店してチケットで払えます。「一度行ってみたかったお店」の3枚綴りチケットを買う、といった使い方もしてもらえると嬉しいです。

+++かつてカフェを経営した経験も持つ古庄さん「現在、本業は飲食店のブランディングやコンサルをしています。クライアントさんと関わる中で、店舗運営の大変さは痛いほど感じていました。客足が途絶えるとひとたまりもない。回数券販売で未来の収益を得られたら、飲食店を少しでも支えられるんじゃないか。この構想はもともとあって。1日でも早く力になれたらと、リリースを早めました」と古庄さん。

もし食券を購入したお店が閉鎖してしまったら?

ーみらいの食事券を買ったけど、お店が閉鎖してしまったら…というのは利用者として不安があります。

この度このサービスを財務局の担当者に確認をしてもらい、法的に有効期限の延長が可能になりました。4/13にこれまでの180日から1年間有効にしたので、有効期限内に収束するのか、使い切れるのか不安だった方には安心してご利用いただけるようになりました。

ジレンマとして、応援しなければ閉じてしまうまでの時間は絶対的に短くなります。そして、応援したとしても閉じてしまう可能性もある。この「外出できない」という状況がいつまで続くかもわかりません。それでもなお「あの店を応援したい」「できるだけ長く続くようにできることはやりたい」といった人たちのプラスな気持ちが少しでも長くつながるようにしたい、そう考えています。

ーもうひとつ、どうしても加盟店が増えないと「いつも行っているあのお店」は見つからないですよね…。

はい。正直、どれだけのお店に加盟いただけるか次第です。それでも私たちにできることは何でもやりたいし、加盟店さんを増やしたいです。

たとえば、飲食店に対して加盟案内をしてくれる販売パートナーを拡充させています。現在、私たちが拠点を構える九州を中心に、少しずつ全国各地からもパートナーの問合せが入ってきています。いかに全国の各エリアにパートナーをつくれるか、今後はここが鍵になってくると考えています。

ーたとえば、利用者側にもできることはあるのでしょうか?

全国のみなさまから「このお店を応援したい」とリクエストをぜひいただきたいです。

サイトの下の方にリクエストフォームがあるので、いただければ私たちからお店に「こんな声が来ています」とお声がけします。確かに最初は近隣のお店が見つからない状態もあるかもしれない。ただ、みなさまから声をいただき、一つずつ加盟店さんを増やしていければと思っています。

4月9日にプレスリリースを出してからは1日で100件ほどのペースで集まり、12日時点で400件超え。20日のリリースでさらなる増加が見込まれる。リクエストがあったお店と、リクエストメッセージも、サイト内に順次掲載していく予定。「ここでのメッセージも、飲食店の方々の励みになるのではないかと思っています」と古庄さん。

全国からメンバーを集め、1週間でチーム結成。

ーちなみに開発はどのくらい期間、どんなメンバーで?

3月3日に募集開始して3月9日にはチームに入ってもらった感じです。1週間で10名のチームができました。私以外は全員外部のメンバーです。

社員たちは、本業のブランディングデザインの仕事に専念しており、このサービスに関してはイチから募集しました。メンバーの居住地はバラバラ、東京の方が多いです。ZoomやSlackを使って、リモート開発を進めています。

ー即席チームでも、開発はスムーズに進められるものですか?

特に問題なく、スムーズですね。まず「想い」に賛同してくれている方が集まってきてくれたことは大きかったと思います。一番はじめに、Zoomで顔を見ながら「こんなサービスがつくりたい」とお話しして。足並み、方向性が共有できたのが良かったと思います。

全国にサービスを広めるために

ー最後に「こうしていきたい」「こんな協力を得たい」などあれば教えてください。

とにかく飲食店は「今」を乗り切らなきゃいけない厳しい状況です。とにかく力を合わせ、協力していく、できることは全部やるべきだと考えています。もちろんサービスとしてどこまで成立するのか、成功するのか、私たちも挑戦しているところ。正解もない。ただ、それでも今、やらなくてはいけないと思っています。

とくに加盟店さんたちからいただいた声で忘れられないのが、「コロナの影響で春先までの予約が全てキャンセルとなりました。このようなプロジェクトにとても嬉しく感謝しております」というもので。

そのほか、行政や商店街からも反響をいただきました。こういった声をいただいている以上、できるだけ早く応えて、つなげていきたい。

また、このサービスを全国的に広めたい。知見や経験をお持ちの方がいれば、ぜひ何でも力をお借りしたいです。気軽に事務所まで問合せ(リンク)をいただけると嬉しいです。

おそらく、コロナが収束したとしても、飲食店が以前と同じように経営できるまでにはかなり時間がかかると思っています。当たり前ですが『みらいの食券』にできることはごく一部。さまざまな形で飲食店の方々を支えるサービスがどんどん立ち上がってほしい。まずは動くこと。その前例になれたいいなと思います。

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取材 / 文 = 林玲菜


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