ユニークな社名のスタートアップ『ドウゲンザッカーバーグ』。変わっているのは社名だけではない。学生時代にシェアハウスで作ったサービスがヒット。そのまま起業という道を選んだメンバーで構成される。異色なキャリアを歩む彼らの仕事観に迫るべく、CEO檜垣さんにお話を伺った。
大学3年になったら就活をして、内定をもらう。一般的に考えれば、これがキャリアにおける最初のステップだろう。
しかし、従来の価値観に縛られることなく、大学卒業・大学院中退後、そのまま起業した若者たちがいる。それがスマートフォンアプリを開発する『ドウゲンザッカーバーグ』だ。
23歳~24歳のメンバーで構成され、約1年で約200のスマートフォンアプリをリリース。早々に収益化を実現し、現在は事業の中核となるサービスを模索する。
なぜ彼らは「就職」でなく、あえて起業という道を選んだのだろう。そして起業から1年。彼らは何を思うのか?
WEB・IT業界における新しいキャリア観に迫るべく、CEOである檜垣雄介さんにインタビューした。
― WEB・ITでスタートアップを目指す人は増えていますが、いきなり起業するのは珍しいですよね。学生時代から起業しようと決めていたのでしょうか?
いえ、もともと起業する気はなかったんですよ。就職活動もしていましたし、はじめは普通に会社で働こうと考えていました。
ただ、大学4年の時に『ガイアックス』というソーシャル系のマーケティング支援を行う会社でインターンして、「起業」という考え方はかなり身近になりましたね。
配属されたのが、代表である上田社長の直属営業チームで、スタートアップの話を聞くことも多かったんです。
― 具体的に、どのような話をされたのでしょう?
資金がなくて困った話はおもしろくて、複数のクレジットカードで上限までキャッシングし、なんとか500万円をかき集めたとか(笑)
ゼロからイチを作る、その覚悟があって、実際に行動する。スタートアップの価値観に触れ、すごく刺激されましたね。
― 上田社長から薫陶を受けたというわけですね。
そうですね。上田社長から創業期のお話を聞いていて、自分はこのまま普通に就職していって人生満足なのだろうか、という疑問を感じていました。
ただ、アイデアも技術もなかったから、いつか起業を選ぶとしても、今はまだ無理だろうと考えていたんです。
だから、大学院に進学し、普通に就職活動もしていました。実際に、WEB系の企業から営業職で内定をもらい、はじめはその会社に行くつもりだったんですけど…。
修士課程1年の夏には内定をもらったので、卒業まで、1年半くらい好きに使える時間ができました。
ちょうど『ガイアックス』のインターンで知り合った仲間たちも同じ時期に内定をもらっていて、時間が空いていたんです。
全員が同じ歳で気が合うという背景もあり、「シェアハウスでプログラミングを勉強しよう」ということに。そこからどんどん話が前に進んでいきました。
― もともとWEBに興味のあるメンバーが集まったのでしょうか?
全員、興味はあるけど、プログラミングができない、という状態でしたね。ですので、まずは全員がプログラミングの基本をマスターするために、数をこなそうと「2週間に1個はサービスをリリースする」とルールを決め、シェアハウスをスタートさせました。そこで4個目くらいに作ったサービスが思いがけずヒットしたんですよ。
― 一般的に「起業」というとよほど覚悟がいることだと思うのですが、気負いなどはなかったのでしょうか?
もしかすると、インターン時代から「起業した人」が身近にいたので、「起業」が当たり前の選択肢に入っていたのかもしれません。気負いもなかったですし、普通の選択だったのかな、と。
内定先の企業で働くというキャリアにも不安があって、IT企業の営業として働き、一体どう将来にプラスに働くのか、正直、上手くイメージができなかったんですよね。
すでに自分たちで企画やプログラミングが何とかでき、仕事がもらえた。だったら、自分たちの会社のサービスを突き詰めたほうが得策だと。
― 起業は「すごい人」が壮大なビジョンやアイデアをもとに会社を立ち上げるイメージだったのですが、印象が変わりました。
僕らのように普通の選択として「起業」を選ぶ人がいていいし、一般的な価値観にしていきたいという思いもあって。これでもし成功したら今までにない例ですし、おもしろいですよね。「普通に起業して成功する」そんなモデルケースになりたいんです。
(つづく)▼ドウゲンザッカーバーグCEO・檜垣雄介氏の取材レポート第2弾はこちら
□自分だけの「企画の教科書」を作る。ドウゲンザッカーバーグ 檜垣雄介氏が語る、成功への道筋。
※一部記事を訂正させていただきました/CAREER HACK編集部(2016年12月2日)
文 = 白石勝也
編集 = CAREER HACK
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