2013.06.28
有力スタートアップ続出!シェアオフィス《BOAT》に見る、企業の枠を超えて生まれるシナジーとは?

有力スタートアップ続出!シェアオフィス《BOAT》に見る、企業の枠を超えて生まれるシナジーとは?

trippieceやU-NOTEなど、VOYAGE GROUPの運営するシェアオフィス《BOAT》出身企業の成長が著しい。なぜBOATから有力スタートアップが続出しているのか?VOYAGE GROUP CCO青柳氏とBOATに入居するスタートアップの方々に成長を促す仕組みについて伺った。

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有力スタートアップを輩出し続ける“夢のような”シェアオフィス

スタートアップにはお金も信頼も経験もない。オフィス使用料を主とした固定費の削減は、サービスの成長と同じくらい大きな課題だ。

今回取材を行なったのは、“入居費”“設備の24時間利用”“メンタリング”が、すべて無料のシェアオフィス《BOAT》

VOYAGE GROUPが運営するこのシェアオフィスの特筆すべき点はこの夢のような環境だけではない。成長著しいスタートアップがBOATから次々と生まれているのだ。開設から3年半の運営で、《ソーシャルランチ》を手掛けるシンクランチ、《WishScope》を手掛けるZawatt、そしてCAREER HACKでもお話を伺った石田言行氏率いるtrippieceなど、多数の有力なスタートアップを輩出。現在では会議室大の広さの1室に、U-NOTEAzitら14社が入居している。

BOAT

BOATはいかにして、スタートアップの成長をサポートしているのか?また、その狙いはどこにあるのか?VOYAGE GROUP CCO・青柳智士氏。そしてBOATに入居中の本のフレーズ共有サービス《Booklap》を手掛けるProsbee、サブスクリプションコマースサービス《Box To You》を運営するGrow! Inc.のメンバーにお話を伺った。

“気軽なコミュニケーション”からシナジーが生まれる

― BOATは既に3年以上運営されているそうですね。どのような背景から設立に至ったんですか?


青柳(VOYAGE GROUP CCO):
僕自身がインターネット業界全体を盛り上げていくためにまず、WEB・ITスタートアップを応援して、若くて面白い企業が集まる“基地” のようなものを創りたいなと考えていたのがきっかけですね。当時はシェアオフィスという言葉もあまり浸透していない状況でしたので、まずは認知してもらうというところからのスタートでした。


青柳智士氏

VOYAGE GROUP CCO 青柳智士氏


― BOATは入居費無料でメンター制度まである、スタートアップには夢のような場所ですね。


青柳:
BOATは“事業”としてやっているわけではないんです。いち事業としてしまうと、どうしても「1デスクあたりいくら」と、費用計算しければいけません。私たちは第一にBOATの入居企業の成長を考えて運営しています。彼らが成長することで、「事業開発会社」という文化を持っているVOYAGE自体も刺激されてシナジーが生まれる。Win-Winの関係を構築出来ればと。


― BOATの同窓・入居企業には、VOYAGE GROUPから出資を受けているスタートアップもありますね。有力なスタートアップを見つけるという狙いもあるのでは?


青柳:
投資実績はあくまでも結果ですね。こういってしまうと後付けのようですが(笑)時系列的に言っても、弊社の投資専門の子会社であるVOYAGE VENTURESを立ち上げたのは、BOAT設立の1年後です。

例えば、《ECナビ》というサービスやSEOのノウハウなど、弊社事業との高い相関性のあるスタートアップ企業には、一緒にやってみようと声をかけています。ただ投資実績の有無で扱い方が大きく変わることは全くありません。


池田(株式会社Prosbee COO,フロントエンジニア・デザイナー):
青柳さんがよく仰っているのは「お見合い結婚ではなくて、恋愛結婚がしたい」って(笑)


池田知晶氏

Prosbee COO,フロントエンジニア・デザイナー 池田知晶氏


私たちも1年間BOATで開発して、ずっと面倒を見て頂いているのですが、VOYAGE GROUPの持つノウハウや資産を、よりうまく活用していこうと考えています。


― Grow!さんはBOATに入居する前にも別のシェアオフィスを利用されていたそうですね。BOATと他のシェアオフィスとの最も大きな違いは?


一ツ木(Grow! Inc. CEO):
施設の利用が24時間無料であること、メンター制度があることはもちろんですが、やはり同じ部屋に入居しているスタートアップの存在が大きいですね。以前利用していたシェアオフィスは自分の席があるというだけで、周りは“他人”。それ以上でも以下でもない。でもBOATでは多種多様なサービスを手がけるスタートアップが同じ部屋にいて。「仲間」という感覚が強いです。


佐野(Grow! Inc. エンジニア):
僕はこの春にWEB系の開発会社を辞めてGrow! Inc.にジョインしたんですが、自由な雰囲気のBOATはすごく開発しやすいです。フリードリンクで、会議室も自由に利用できたりして、できればココにずっといたい(笑)


左:Grow! Inc.CEO 一ツ木崇之氏 右:Grow! Inc.エンジニア 佐野友一氏


― 同窓企業や入居企業には成長著しい企業も多いですね。BOATのスタートアップを成長させる仕組みについて伺えますか?


青柳:
僕自身、BOATに入居しているスタートアップのメンターとなっているのですが、設立当初から週に1回の定例報告は必ず組んで行なっています。ただメンターの立ち位置としてはあくまでも“良き理解者”となること。というのもBOATに入っている企業とは資本関係があるとは限らないんですね。他のVCさんから出資を受けている企業もある中で、ステークホルダーでもないのに事業に口出しするのはおこがましい。

なので、あくまでもフラットな関係性。どの入居スタートアップに対しても、気軽に話せる相談相手、“兄弟”のようにメンタリングを行なってます。私たち自身、ECナビなどの事業を起こして成長させてきた中での経験やノウハウを持っており、相談されればどんなことでも答えていますよ。


池田:
青柳さん自身、デザイナーなんですよ。BooklapでもページのデザインからUIまで、経験を踏まえた上で、アドバイスいただけてとても参考になります。


一ツ木:
定例のメンタリングを通して、青柳さんがVOYAGE GROUP内外の人と僕らをつなぐハブになってくれています。SEOについて相談すると、ECナビのSEO責任者の方に繋いでもらったり、社外の方を紹介してもらって、Box To Youに協力してもらったり。


小さな相談事から細かいメンタリングだけでなく、関係性づくりという意味でも、BOATに入るメリットは大きいですね。ココにいなかったら今のBox To Youはない。なんでも相談して、ホントに“使い倒す”感じです(笑)


― 入居企業間での交流も活発なんですか?


青柳:
月に1度、BOATミートアップという企業のピッチ、新しく入った企業やメンバーの紹介を兼ねた飲み会がありますね。


meetup


笠井(株式会社Prosbee CEO,エンジニア):
ピッチの後に質疑応答もあるんですが、結構突っ込んだものも多くて(笑)同じ空間で切磋琢磨している他の企業のピッチを聞くと、刺激にもなるしコミュニケーションを通じてサービスも成長させられる。

エンジニアとしては開発の裏側を聞ける機会にもなっています。「あの新機能ってどのAPI使ったの?」とか。飲み会も兼ねてるから気軽に聞けちゃうんです。


笠井レオ氏

左:Prosbee CEO,エンジニア 笠井レオ氏


青柳:
様々な企業・人と結びつくことで、BOAT内に新しい生態系、エコシステムのようなものが生まれてきているんだと思います。

起業家・エンジニアの卵を育て、裾野を広げる。

― BOATの今後の取り組みは?


青柳:
インターネット業界を盛り上げていくためにはじめたBOATですが、現状、BOATに入居しているのはスタートアップ企業が中心です。



これをもっと下のレイヤーの人たちも活躍できるような、新しい関係を構築できる場所として提供していきたいと思っています。

いま始めているのはBOAT Studentという、まだチームを組んでいない大学生・エンジニアの方に2ヶ月の期間でサービスを提供していくものです。

BOATに入居しているスタートアップと、同じ空間に身をおいて開発することで、新しいシナジーが生まれてくるのではないかと。


― 裾野を広げていく、ということですか?


青柳:
その通りです。

また、BOATに協力してもらっているリーン・スタートアップ・ジャパンの和波さんと一緒になって、この夏にでも何か始められないか、と考えているところです。

例えば、更にBOAT Studentよりもレイヤーを下げて、プログラミングを学びたいと考えていたり、起業を志している学生向けにプロジェクトを発足させたり…。何をやってもVOYAGE GROUPには一銭も入ってこないんですけどね(笑)

いろんな形を試してみることで、インターネット業界を盛り上げ、一緒になって面白いWEBサービスを生み出していけたらと思います。


― これからもワクワクするスタートアップがBOATから輩出されるのを楽しみしています!ありがとうございました!


(おわり)


[文・撮影]松尾彰大


編集 = 松尾彰大


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