スマホ用アイコン無料きせかえアプリとして、国内はもとより海外からも注目を集めている《CocoPPa》。1,800万ダウンロードを記録しているこのアプリのチーフプロデューサーが梶原彩菜さん。屈託のない笑顔とは裏腹に力強く言葉を発する彼女の“芯”にあるものとは――。
スマホ用アイコンきせかえアプリとして、独自の存在感を放っている《CocoPPa》。ユーザーの9割が10~20代の女性、海外でのダウンロード数は国内を凌ぎ、アメリカApp Storeにおいて「App Store Best of 2013」の「Top Free(無料アプリ部門)」100アプリにも選出。2013年12月には、累計1,800万ダウンロードを突破したという。
今回は、新卒でユナイテッド(前身であるスパイア)に入社し、20代で《CocoPPa》のチーフプロデューサーを任される梶原彩菜さんを紹介する。小学生時代の夢は、女子プロレスラー……。中学生になると行政書士に憧れ、大学では法律を専攻する。しかし、早々に違和感を覚え違う道を探すことに。就職活動を始める頃にWEB業界を志す。特に知識はなかったため、面接でアピールしたのは「ラーメン二郎を全店制覇するために…」というエピソード。
平たく言えば、変り者だ。
彼女の経歴を知ればなおさら、自らが飛躍的な成長を遂げなくては、想像の遥か上を行く《CocoPPa》と同じ成長曲線を描くことは難しいと想像できる。梶原さんはどのように向き合い、どのような想いを抱きながら奮闘しているのだろうか。
― …非常に変わった経歴というか、学生時代を過ごしていたようですね。
小学生くらいのときは女子プロレスラーになるんだと本気で思っていました。家族が根っからのプロレス好きだったので、どの団体に入って、どんな技を極めて…くらいまでは考えていましたね。武藤や三沢といったプロレスラーは、イチローや中田英寿と同じくらい有名だと本気で思っていましたし。でも、“現実を見た”というか(笑)。大柄なほうではないし、流血したら痛いし…。
その後、法律家に興味を持ったのは、中学生時代に行政書士をテーマにしたドラマを見たから。法律を駆使して社会的な弱者を助けていくというストーリーに心を奪われまして。新たに行政書士という夢ができたので、女子プロレスラーへの道はドロップアウト。法学部への進学を志すようになりました。
― でも、法律の道ではなくWEB業界を選んだんですよね?
…はい。入学した4月、5月くらいのタイミングで“コレ、違うな”と思ってしまったんです。そこからは完全に就職活動にシフト。そうすると、自然に自分自身と向き合う時間が増えましたね。
ちょっと変わった人間だという予感はあったのですが…(笑)、その頃に確信しました。変わった人間でも受け入れてもらえそうな環境はどこか試行錯誤したら、WEB業界だったんですね。
とはいえ、WEBの知識に長けていたわけではないので、面接では行動力をアピールしようと思いました。“ラーメン二郎を全店舗制覇するために、この間栃木まで行った”というエピソードを面接で話したのを覚えています。
― 楽しい取材になりそうな予感がします(笑)
― 梶原さんが《CocoPPa》に携わったのは、リリースから2ヶ月が経過した頃だそうですね。それまでの仕事と、《CocoPPa》に関わることになった背景を教えてください。
新卒で配属された新規事業室で、別のスマホアプリの開発や運用に関わっていました。オリジナルのアプリを企画・開発する機会もあり、やりがいも大きくありました。その後、上司に「エンジニアとプロデューサー、どっちをやりたい?」と聞かれ、プロデューサーを選択。それが、《CocoPPa》に携わることになった始まりですね。
― 《CocoPPa》にジョインしたときはどんな気持ちでしたか?
私が《CocoPPa》のプロジェクトに入ったのは、ローンチして2ヶ月後だったんです。最初からプロジェクトにも入っていないし、右も左も分からない状況。もう、“とりあえず、やってやろう!”という腹をくくったような気持ちですね。当時のユーザーは一部のコアな方たちのみでしたが、反応があると嬉しいもので、徐々に思い入れが強まっていったのを覚えています。
その後、ダウンロード目標が設定され“今後伸ばしていくサービス”という意志決定がなされたこともあり、“《CocoPPa》に集中したい”と申し出て、そこから専任です。
― 多くのアプリが、まずは国内やローカル国で展開した後、世界に打って出ていますが、《CocoPPa》が最初からグローバルに展開したワケは?
特に“何がなんでも海外展開を”という始まりではなかったのですが、イラスト中心のアプリで、非言語コミュニケーションができるということもあり、“いけるかな”と。社内からも“グローバルに挑戦したいよね”という声が多く、最初から国内には限定せずリリースしていたんです。
当社には、“やらなきゃわからない”“まずやってみよう”という風土があるんですよね。だから、ネガティブな発想を持たずに、スピード感を持ってサービス開発できる。アプリ開発には欠かせない要素だと思います。
― 《CocoPPa》のブレイクは、梶原さんの心境にどんな変化をもたらしましたか?
プロデューサーとしての意識が芽生えたと思います。構想や開発から関わっていたわけではないけど、育ての親として“もっとヒットさせたい”と考えるようになりました。
女性向けアプリということもあり、今では企画・開発まで関わらせて頂いています。責任はありますが、あまりかしこまるのではなく、“やってみる”という姿勢は大事ですよね。
― 2013年9月には《CocoPPa》初のメジャーアップデートを担当したと伺っています。
順調にユーザーが増加する中で、初めてのメジャーアップデートの話があがったんです。それに向けて、1ヶ月程度の集中した時間を頂いて、新たなコンセプトを作成しました。
インターフェースの大幅な変更など、かなり挑戦的なアップデートだったのですが、いい効果を出せている点も多くあると思いますし、細かな調整は継続して行なっています。
― 初めてのメジャーアップデートは、かなりパワーのかかる業務だったと思います。乗り越える原動力となったのは何だったんですか?
アプリにとっても自分にとっても初体験だらけのことで、一筋縄ではいかない仕事でしたが、何よりも、エンジニア・デザイナー・CSなどのチームメンバーの協力があったからだと思います。
またこの仕事を通して、いまの自分には足りないところが見えてきたんです。エンジニアたちに言われるのは、“あまり現実を見過ぎるな”ということ。プロデューサーには、時として現実よりも理想を描ける力が求められます。そのほうが有利になることもあるくらい。達成感と共に、この仕事の難しさに直面しましたね。
― 困難に立ち向かうために、大切にしてる想いとか、自分を支えたモノはありますか?休日の過ごし方、オンとオフの切り替えだったり。
休日は…ちょっと照れくさいんですけど、アイドルのライブへよく行っています(笑)。まだテレビなどメディアにはあまり出ていないような、マイナーなアイドルばかりです。
― それがリフレッシュになる、と。オンとオフを切り分けて。
いや、そうでもないんです。たとえば、《CocoPPa》の画面とかをアイドルの子たちに見せてフィードバックをもらうなど、ユーザーテストの場としても活用していますよ。《CocoPPa》のメインユーザー層である10代の子たちばかりですので、マーケティングにもなりますしね。
― 生活の中心に《CocoPPa》があるという印象ですね。変わった経歴や趣味など、興味があるとか好きなことをやれているという実感が、自分を奮い立たせる力になっているんですかね。
そうですかね(笑)。
とにかく、本格的な海外展開が進んでいて、ますます楽しみが増えました。“全世界の女の子がスマートフォンを購入したときに、最初にダウンロードしてもらえるアプリにしたい”という目標があるんですが、夢物語ではないかな、と。
そして、今後の大きな目標が、ダウンロード数だけでなく、事業的にも成功をおさめること。まだ、日本初のモバイルアプリケーションで、世界的に成功した例ってあまりないじゃないですか。《CocoPPa》がその最初の事例になって、業界をより一層盛り上げられる存在になればと。
でも、まずは目の前の仕事に全力で取り組むということは忘れないようにしています。今までもそうでしたし、その積み重ねで《CocoPPa》が大きくって、自分も成長できればいい。そして、いつか自分自身がWEB業界で働く女性のロールモデルになれたら、すごいことですよね(笑)。
― これからがプロデューサーとしてのウデの見せ所ですね。
はい。チームとしても、今は約20名。エンジニア中心の組織で、チームワークも抜群。《CocoPPa》のダウンロード数の増加を受け、今もまさに拡大の一途をたどっています。ただ、正直なところ人材が不足しているのは事実。現在も、サーバーサイドエンジニアを募集しています。さらなる成長が見込まれる《CocoPPa》を一緒に育てていきたいと思っていただける方がいらっしゃったら、ぜひ声をかけてください!
― 長時間にわたり楽しいお話をありがとうございました。
(おわり)
[取材] 松尾彰大 [文] 田中嘉人
今回お話を伺ったユナイテッドが、エンジニア職の募集を行なっています。
DL数1,800万を突破し全世界で注目を集める『CocoPPa』のみならず、様々な事業を展開している同社だからこそ得られる経験も多いはず。気になる方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?
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