2014.01.29
「どんな時代を生きたいか?」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[2]

「どんな時代を生きたいか?」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[2]

ユーザー参加型コンテンツで世間を驚かせているバスキュール。彼らはクリエイティブの未来をどう捉え、何を思うのか?彼らが思うデジタル時代を生き抜けるクリエイターとは?バスキュール代表の朴氏とプロデューサー西村氏のインタビュー第二弾!

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▼バスキュールインタビュー第1弾
「クリエイターよ、ルールをつくれ」|バスキュールと考える“デジタル時代を生き抜くクリエイター”[1]

クリエイターは、何をデザインする存在になるか。

テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、WEB、スマートフォン…広告やクリエイティブの未来は一体どう変わっていくのだろう。デジタルの進化によって、オフライン、オンラインといった区分さえも意味はなくなっていくのかもしれない。

こういった時代、クリエイターたちは何を考えて、何をデザインしていけばいいのか。そして、どういった存在になっていくのか。

クリエイターのキャリア未来予測…といえば大袈裟かもしれないが、デジタル時代にクリエイティブに求められる役割について、バスキュールの朴正義氏、西村真里子氏と共に考えてみたい。

クリエイターにはビジョンが必要。

― これからの時代、クリエイターに求められるスキルや資質は、どのようなものになっていくのでしょう。


西村:エンジニアにせよ、デザイナーにせよ、「良いモノがつくれます」「作品単体のクオリティが高いです」だけでは厳しいと思いますね。「派手な仕事をやった」ということで次につながるわけでもないですし。

今、あらゆる産業がデジタルのチカラで変わっている時期だから、時代のことやテクノロジーのこと、全体を俯瞰して見られる視点が必要だと思います。


朴:たとえば、「こんな時代に生きたいなぁ」という思いが先にある、ここも必要なのかなと思います。世界を変えるなんて大それたことは言えないですが、少しはビジョンがないと「単に作業ができる人」で終わってしまう。

PARTYの伊藤さんが「今、空港のことを考えているんですよ」と話をされていて。どういった仕事かはわかりませんが、新しい空港はどうあるべきか?と考えていくということかな、と思って。

たとえば、設計や土木など異業種の人たちをつないで、枠を越えて人を巻き込んでいく。「これをやろう」「絶対楽しくなる」と説得したり、調整したり。ビジョンがあってこそ、チームが構成されてドライブする。そこまで想像することが「これからのおもしろい仕事」なのかもしれません。



エンジニアにもデザイナーにも必須となるプロデュース力。

― 単に「つくる」だけではなく、「つくって世に出す」までをプロデュースするということでしょうか。それはプロデューサーやディレクターがやればいいのでは?という気もするのですが。


西村:私はもともとアドビにいて、2007年くらいまでは、見た目が美しい、動きが気持ちよい、面白いライブラリを作った、などのインタラクティブ体験の一部分だけに注目して評価されていた牧歌的な時代だったと思うのですが、…現在はエンドユーザーの体験をちゃんと考え抜いた作品でないと評価されない。また、作った作品に対して何をエンドユーザーに伝えたいのか、が見え無いと埋もれてしまう。

もしかしたら、プロデュースには二つの意味合いがあり、ひとつはプロジェクトやプロダクトのプロデュース。もうひとつは自分のプロデュース。どう自分の存在を打ち出して、まわりに見てもらえるようにするか。

小さいサービスをつくるでも、おもしろいネタで記事を書くでもいいけど、まずは「自分が何者である」と言えるヒトの作品ほど人々を惹き付ける。個々人がソーシャルで発信している時代なので、クリエイターも作品を通して、もしくは自身の発言で「自分はどういうものを作りたいのか」発信しつづけ、地位を確立して行くのが成功への近道かな、と思っています。逆に言うとセルフプロデュースができるだけで一気に注目される時代でもあるので、良い時代なのかな。

自分の作品を広める方法がいくつも身近にある。この時代をチャンスと捉え、作品を作ってそれを広めるところまで出来るクリエイターは強いですね。


― もしかしたら、クリエイター自身がプロデュース力を身につけたほうが、物事が早く進むという部分もあるのでしょうか。


西村:そうですね。自分が発信したものがキーパーソンの目に留まり、すぐにやりたい仕事に結び付く。それがすごいスピードでカタチにできる世の中だと思います。

朴:誰かが強烈に旗を振ってくれて、これに乗ればいいよ、と言ってくれるわけじゃない。もちろん全てひとりで作れるわけじゃないから、自分の立ち位置を決めて、まわりを巻き込みつつ、自分はこういったパフォーマンスを示すのがいいんだとプロデュースする。特にフリーでやっていく人など自己プロデュースのチカラが必要なのかな、という気はします。


― ただ、一朝一夕で身につかないスキルでもありますよね。現場で身につけていくものという気もしますし。それでも、バスキュールさんは後進に伝えていこうとしている。


朴:「そういう時代なんだ」という認知や感覚はすごい大事だと思っているんです。マインドセットがされれば、どこにチカラを入れるべきか変わってきますよね。市場が小さくなっているところを目指すのか、ロールモデルはないけど、未来を予測して可能性が広がってる世界にいくか。「もしかしたら自分にもチャンスがあるかもしれない」と考えるきっかけになればいいんです。

デバイスや技術が変わろうとエモーションの根源は変わらない。

― 今、バスキュールさんだとテレビとスマホを連携させた、インタラクティブなコンテンツを作っていますよね。テレビにチカラを入れている理由とは?


朴:大きなお金が動いている業界なので、そのお金がもらえるかな、と(笑)。でも、Webとはケタの違う数の人々に同時にインタラクティブ体験を提供できるかもと考えるのはすごく刺激的です。

実際に技術的なところでいっても、WEBでその規模のストリーミングをやると重くて同期させられないので、映像はテレビで一気に送ったほうがいいんですよね。双方向のやり取りはWebに頼ってもらって、テレビとスマホの長所をうまく上手く組み合わせた体験を追求してます。テレビとスマホのそれぞれのデバイスに、どんな思いを委ねるのか、毎回、試行錯誤しています。


西村:デバイスにしても、ウエアラブルが出てきたり、将来的にはデバイスを体に埋め込むことも当たり前になるかもしれません。

日常生活にデバイスが溶け込んで、ほとんど意識をせずにつながっていくようになる。そうなった時、デジタルでつくる物はどんどん直観的になって、「インターフェイス=エモーション」に近いものになるのではないでしょうか。

今はPCやスマホ、テレビというデバイスに縛られたデザインですけど、「人にとって何が楽しいか」をズラさなければいい。どんな体験ができたら面白いだろう?って考えていけばいいだけなんですよね。




朴:たとえば、大好きな人と二人で過ごす時間を超えるコンテンツって、テレビや映画だって、なかなかつくれないですよね。大事なのは、その瞬間、どんなエモーションで人は揺れ動かされているのか。ぼくらはたまたまネットを使っているというだけで、人がもともと持っているエモーションを動かしたいというのは同じ。


― いい例えかわかりませんが、中学校の頃の部活ってすごく熱くなれたんですよね。そういう感覚に近い気がします。土俵が違うだけで根本にある「みんなでやるって楽しい」というエモーションは一緒というか。


朴:そうですね。ただネットというだけでそのコミュニケーションをネガティブに捉える人もいますが、部活を否定する人はいない。「みんなで目標に向かってがんばる」「体験や感動を共有する」ということは一緒になのに。

それは同じ年齢の若者が通う「学校」というルールというか文脈があって、そこに人の集まりがあるからだと思うんです。

ネットでのコミュニケーションは、まだルールや文脈が成熟していない。だからこそ今は、コンテンツの中身より、もっと大枠のルールみたいなものをつくる作業のほうがカッコいいんじゃないかなと思うんです。

デジタルやテクノロジーの進化は止まらないし、もっと加速する。だったら、もっとポジティブに捉えて「こんな世界になったらいいね」っていうものを生み出していければいいな、と思います。


― クリエイターが理想の世界を思い描き、多くの人を巻き込んでカタチにしていく。そんな未来の姿を想像することができました。今がその一歩を踏み出すチャンスなのかもしれませんね。本日はありがとうござました!



(おわり)



[取材・文]白石勝也



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[BAPA概要]
http://bapa.ac/
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回数:全10回(予定)
時間:隔週水曜日 19:00~21:00
会場:バスキュール(神谷町) / パーティー(代官山)
人数:30名
受講条件:29歳以下の学生、社会人 
受講料:88,000円(バパ価格) 
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(現在募集は終了しております)

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