TWDW2日目に行なわれた公式プログラム「働かないで、働く。 ー For Your Life's Workー」イベントレポート。「働くことは創ること」と語ったピンタレスト・ジャパン コミュニティマネジャーの大石結花さんの仕事観を書き起こし形式でお伝えします。
【登壇者】
ピンタレスト・ジャパン株式会社 コミュニティマネジャー
大石 結花
ピンタレストの日本支社でコミュニティマネージャーをやっています大石結花と申します。同時に、ずっとファッションが大好きで、ファッションブロガーとしてこんなブログをずっと続けています。
WantedlyとOpen Network Labというインキュベーションファンドでインターンをして、2012年に新卒で入社したのがDeNAです。
Tokyo Work Design Weekということで、私にとっての「働く」ってなんだろうってすごく考えたんですけど、「創ること」なんじゃないかなと思いました。創るっていうのは、お金をもらうだけじゃなくて、何か価値があると自分が思えることを生み出すっていうことが、働くことじゃないかなと思っていて。
私は上司に「今期はこれだけのKPIでコミットします」という約束をして、お給料をもらいながらピンタレスで働いています。でも、同時にやってるブログってもちろん上司はいませんし、半年更新しなくても誰からも怒られるものではありません。でも、その中でこれだけは更新しようとか、こういう記事をかこうとかっていうのを自分で課して何かを創っています。つまり、「働く」っていうことはお金をもらうもらわないにあまり依存しないのではないかと思ってきたんです。
なんでそういう風に考えるようになったのかちょっと考えてみました。
すると、幼少期に原体験があるんじゃないかなと思いはじめたんですね。私は小学校2年生から中学校2年生までアメリカのケンタッキー州っていう、本当にど田舎に住んでいました。本当に何もないので、自分で遊びを作ったりとか面白いこと探さなきゃいけなかったんです。小学校の時はたまごっちとか流行ってたんですけど、たまごっち全然買ってもらえなくて、自分で粘土で作ったりとか(笑)。後は自分で物語をつくって、そこに出てくる主人公に弓矢を、紙と輪ゴムでつくってみたりとかそういうことを小学校の時にやっていました。
中学生になってからは、月曜日から金曜日までは現地の学校に通って、土曜日は日本人学校みたいなところへ通ってたんですけど、州の色々なところに住んでいる日本人の同級生たちが集まってきてくるんですね。中には2時間とかかけて通学してるような子もいて。すごくそこの友達が好きだったんですが、会えるのは週末だけ。平日はそれぞれ現地校にいくわけです。すごく遠いところにいってるので、この子たちともっとコミュニケーションとりたいってずっと思ってたんです。
そういう中で私はインターネットにすごく興味を持ちはじめたのかなと思います。当時、メッセンジャーとか流行っていたので、8ウィンドウぐらい開いてて、ずっとチャットしていました。そのおかげでタイピングがめちゃくちゃ早くなりましたね(笑)。
そういう事をやってる中で、もっと皆と1対1じゃなく、色んな方法でコミュニケーションをとりたいと思いはじめました。すごくベーシックなHTMLを自分で調べて、簡単なホームぺージを友達だけのためにつくったんです。
チャットルームとお絵かき掲示板とかがある、ちょっとしたソーシャルネットワークとかを作って友達を招待して、平日はネット上でみんなと遊んでいました。土曜日に会ったときに、あの投稿面白かったよねとかリアルでも連続的なコミュニケーションが生まれたりしてすごく面白いなって感じて。そんなバックグラウンドから創ることとインターネットをすごく大好きになったのかなと思います。
『「オトナ」になってからの働き方』についてのお話をさせていただきたいと思います。私はあまり“社会人”っていう言葉が好きじゃないんですね。働くことを創ることと考えるんだったら、社会に出なくても創ることはできると思いますし、創ることができるなら働く事ができるかなって思っていて。あえて「オトナ」になってからという表現にしてみました。
先ほど少しお話しさせてもらったんですけど、まず2011年ぐらいにWantedlyとOpen Network Labでインターンさせてもらいました。その後にDeNAに新卒で入社して、今はピンタレストで働いています。
インターンした時に「ゆかちゃんはなにやりたいの?」ってすごく聞かれたんですね。特にWantedlyの仲さんという方がいるんですけど、「結花ちゃん、肩書き何がいい?」って最初に言われたんですね。私に何ができるかも分からないし、何していいかわかんないんだけど、かっこいいからって理由で「クリエイティブディレクターで」っていって(笑)。名刺までつくっていただいたんです。名刺交換するときに「クリエイティブディレクターです」って。全然クリエイティブでもディレクターでもないのに!っていう感じで、後々になってすっごい恥ずかしくなる思い出ですね(笑)。
スタートアップなので何でもやることはいっぱいありました。私はとりあえず、サービスのデモビデオを撮ってみようと、自分でカメラを回しながら出演して、編集までやってみたり、広報みたいなことやイベント運営をしてみたり、いろんなことを経験させてもらいました。
そんな感じで「何ができるのか」「何がやりたいのか」全然分からないまま、DeNAに入ったんですけど、DeNAは2年弱くらい在籍して、ソーシャルゲームの部署にずっといました。でも3ヶ月に1回は必ずチーム異動がありました。タイトル毎にチームがあるのですが、大小さまざま、本当にいろんなチームにいましたね。去年はアメリカに3ヶ月くらいいかせてもらって、DeNAが買収した子会社で多国籍なチームで働いてみたりとか、本当に喋りきれないくらい色んな事をやらせてもらいました。
そして今いるピンタレスのお話です。私は日本で2人目のメンバーとして今年2月に入社し、コミュニティマネージャーという仕事をしています。
「好きで得意なことで、結果を出し続けないと死ぬ」って書いたんですけど、毎日すごく危機感があるんですね。一瞬でもだらけたら死ぬみたいな、綱渡り状態です。この状態はネガティブな意味ではなくて、すごく心地いい緊張感がある毎日だということです。
ピンタレストのコミュニティマネージャーは各国にいるんですが、フランスや英国のメンバーはコミュニティマネージャーのプロみたいな感じです。すごく経験値もあるし、知見もあってキャリアが豊富なんですね。
私はピンタレストではじめてこの仕事をしているんですが、実はDeNAでの経験がすごく強みになっています。例えば、ガチャで培ったエクセル計算とかデータ抽出とか。彼女たちにはそんなスキルないので、意外な強みになって面白いなと感じています。
ピンタレストでの働き方を紹介させてください。これが私の所属するインターナショナルチームなのですが、なんでも「ピン」ってつける風習があり、ピンターナショナルチームと言います(笑)。
アメリカと英国、フランス、ドイツ、ブラジル、そして日本のチームです。みんなそれぞれの国にいるのですが、3ヶ月に1度サンフランシスコに集まって情報交換したり、そのクオーターのプランニングとかを行ないます。
メンバーがこれだけの国に散らばってるので、否が応でも絶対リモートで働くことになります。その中で、どうすれば効率的に働けるのかっていうことについて最近すごく考えています。
私がいま思ってるのは、「情報の蓄積と非同期型コミュニケーション」ということです。まず「情報の蓄積」についてですが、私が今年2月にピンタレストに入社してから、会社も組織も大きくなり、メンバーの出入りが激しくなってきたんですね。その中で、どうやって今まで蓄積した知識を共有していくか、体系的にナレッジをためたり整理したりすることがすごく大事だなぁと思っていて。
結構こういうことは、日本人が得意としていることなので、私たちが率先して情報をためていくフローを導入したりしています。
「非同期型コミュニケーション」というのも似た感じなんですね。メンバーとなかなか会えないので、SkypeやHangoutを利用したり、もちろんメールとかチャットも使いながらコミュニケーションするしかないのですが、その中でどういう風にコミュニケーションしたら効率がいいのか探り続けています。
リアルタイムに会うというのは必ずしもいいことばかりではないような気がしています。というのも、すごく集中してる人に「ねえねえ」と声をかけるだけで、プツンと集中が途切れてしまうじゃないですか。お互いが効率よくコミュニケーション取れるベストな方法がなんなのかなっていうのを最近考え続けています。
最後にピンタレストの企業文化を伝えさせてください。ピンタレストにはいろんなバリューがあるのですが、皆がすごく大切にしてることの1つが「Knit」。日本語で言うと「編む」というものです。
組織がピラミッド型になっていたり、エンジニアが一番偉いとか、この人の言った事が全てとかではなくて、全ての機能がニットのように皆がつくっていくっていう考え方です。
バックの写真はカフェテリアなんですけど、こんな感じでワイワイやりながら情報交換しています。このカルチャーを表すいい例が、メイカソン(Make-a-thon)というものです。
ハックしたい人はハックしていいし、エンジニアじゃない人たちはレゴでなんか作ってみたりとか、紙でなんか飾りを作ったりとか壁に絵を描いたりとかして、皆でオフィスをよくしようとか、プロダクトをよくしようと考えてやってます。
私はこれからも好きで得意なことを、もっと好きになりたいしもっと得意になりたいんですよね。「これをやり遂げたい」とか「世界を変えたい」とかではなく。好きで得意なことでできることが広く深くなっていくようなことをこれからもしていけばいいなと思っています。
ということで以上です、ありがとうございました。
編集 = 松尾彰大
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