クライアントワークを中心事業としたWEB制作会社ながら、自社求人コンテンツ『伝説のWEBデザイナーを探して』や、ブログエントリー『夏期休暇の予定をお知らせ致します。』など強烈なバズコンテンツを生み出す《LIG》。WEBにおける“笑い”のつくり方とその未来について、広報担当のジェイ氏に伺った。
テレビにおける“笑い”ともリアルなライブでの“笑い”とも、その環境を異とするWEBでの“笑い”。そんな中、自社コンテンツで圧倒的なバズを生んでいるのが株式会社《LIG》だ。自社リクルートページ『伝説のWEBデザイナーを探して』ではSNS上での急激な拡散から、1万以上のツィートと5000以上のいいね!数、70万近い月間PV数を記録。アクセスが集中し、サーバーがダウンしてしまう事態にも発展した。
WEB上でさまざまなコンテンツが氾濫する現在、“笑い”というジャンルをWEB制作会社という立ち位置で実践する《LIG》。彼らはいかにして“笑い”を生み出しているのか。その制作術と制作意図に迫るべく、同社広報担当ジェイ氏に話を伺った。
― まず《LIG》が“笑い”にこだわる理由を教えてください。
俺たちが笑えるコンテンツを制作する一つの理由としては「そもそも“笑い”はビジネスとして成立する」と信じていることが大きい。
TVではどのチャンネルにもお笑い芸人が出ているし、漫才や落語、喜劇なんかは世代をこえて愛されている。“笑い”には必ず需要があると思っているんだ。
だからこそ、俺たちはWEBにおける“お笑い業界”みたいなものがあってもいいんじゃないかと考えている。そして、まだ確立していない笑いの形を常に追求していかなければならないと思っているんだ。まさにブルー・オーシャンだな。
近年、どんな人でもインターネットに触れる時代になって、SNSやブログを使って自分自身で簡単にコンテンツを作れるようになって久しい。ただ、誰もが発信者になれる世の中だからこそ無制限にインターネット上にコンテンツが溢れかえるようになっているとも感じる。
10年ほど前、テキストサイトが流行していた時代があったんだが、当時は何かを発信しようと思ったら、自分の手でHTMLを書くのが当たり前だった。俺自身も、元々は個人でテキストサイトを立ち上げて運営していたからよく分かるんだが、ネット上にコンテンツを出す敷居は今よりずっと高かったように思う。
それが今では障壁が低くなったお陰でコンテンツは莫大な数になった。それなのに、面白くて“笑える”ようなコンテンツがネット上でかなり減ったように感じる。実際のところは、目立ちにくくなっただけなのかもしれないが…。
― 漫才やコントなどとは違う、WEBならではの“笑い”というものはあるのでしょうか?
WEBでの笑いの基本は「写真」と「テキスト」だ。その上で、ストーリー性のあるコンテンツにして読者を笑わせることが重要だ。
文字の間隔で“タメ”を作り、文字サイズを大きくして“落とす”という手法は古くからあるが、それを実践し、想像以上の効果が出たのが『伝説のWEBデザイナーを探して』だ。これはある意味、往年のテキストサイトの基本に忠実なやり方だとも言える。
― 『伝説のWEBデザイナーを探して』ではどんなことを意識して制作されたのですか?
いくら面白いコンテンツを作っても、まずは見てもらわないことには話にならない。子供でも理解できると思うが、いかにページに来てもらうかが何よりも大切なんだ。そしてそのコンテンツがユーザーの想像を超える事で、ソーシャル上でバズが生まれ、広がっていくんだ。
ページに訪れてもらうために絶対に必要なことは「ヒキの強さ」だと俺たちは考えている。インパクトがあり、かつクオリティの高い写真を当てること、魅力的なタイトルを付けること。
『伝説のWEBデザイナーを探して』というタイトルなのに社長が浜辺に埋まってる写真を見たら、誰だってクリックしたくなるだろう?俺の婆さんだってクリックするさ。
WEBコンテンツで写真は非常に重要だ。きれいな写真を見ただけで目にとまる、クリックしたくなる。俺たちLIGは写真に関してはかなり気をつかって撮影しているんだ。
実際のコンテンツで重要なのは「ギャップで笑いを取る」こと。そのためには「内容とのリンク」をどう持たせるかが鍵になってくる。
『伝説のWEBデザイナーを探して』でいえば、「こんなにバカな事をやっているけどホントに募集してる!」というギャップでの“笑い”を狙っていたとも言えるな。
― ストーリー性のあるコンテンツをつくる上でのポイントは?
「出オチ」からの「ボケの連続」で「スクロールするワクワク感」を読者に持たせることをいつも考えている。
脚本のようなストーリーを、「イメージ写真」と「テキスト」で表現していくんだ。『伝説のWEBデザイナーを探して』は、かなり長いページであるにも関わらず、実に多くの人が読んでくれた。ストーリーの中に細かくボケをはさんでいくことで、「スクロールするワクワク感」を維持させられたことが成功のポイントだったんじゃないかな。
― 《LIG》だからできるという部分はあるのでしょうか?
これはしっかりと記事に書いてもらいたいんだが、俺たちLIGはあくまでも“WEB制作会社”なんだ。だからこそ、確かなものをつくれる力がある。
俺たちが持つサービスの一つに、《LIGLIS》というリスティング代行を宣伝するページがあるんだが、無駄に写真が凝ってるし、過剰なほどきれいに動く。
そんなことができるのも、技術をきちんと使えるメンバーがいるおかげだ。
俺たちは「技術の無駄遣い」「無駄にハイクオリティ」って言葉が最高に好きなんだ。だからこそ、今後も技術力の追求には社員総出で取り組んでいくつもりだ。
― WEBだからこその“笑い”の良さはどういったところにあるのでしょうか?
“笑える”コンテンツは圧倒的にシェアされやすい。“面白いもの”ってのはつい人に教えたくなるだろう?「おい、見てみろよコレ、ウケるぜ!」ってね。
既存のお笑いである漫才やコントといった動画の場合、その動画の長さだけ受け手が時間を割かないと見ることはできないが、写真とテキストのWEBサイトだと、ちょっとした時間で見ることができるし、外にいる時でもスマホで容易にアクセスできる。
また、音に頼らないので、オフィスでひっそり見るという事も可能だな。実際にこの記事も、仕事中にこっそり読んでいる奴らもいるんじゃないかな。
やはり笑いの需要はいつの時代だってあるし、人間は生まれ持って、面白い事、笑えることを求めていると俺は信じている。その尽きない需要を、まだ確立されてない「WEB上の笑い」でいつか満たしたいと俺たちは思っているんだ。
― WEB上で面白いコンテンツを作る《LIG》の存在感は、着々と高まっているように感じます。
そう感じてくれているのであれば、まずは「ありがとう」と言いたい。
俺たちは今、WEBにおけるお笑いの形について試行錯誤している最中だ。色々な形があって当然だとは思うが、受託制作+お笑いという形でひとつの成功事例を作れたらと思っているよ。
俺たちが一つの形を示すことによって、「こんなことやって食べていけるんだ」と思う人もきっと出てくるだろう。そういったことが少しずつ積み重なっていき、「WEBのお笑い業界」みたいなものが出来上がっていくといいなと感じているよ。
― 本日は色々とありがとうございました。最後に、読者の方々へ一言お願いします。
柄にもなく“お笑い論”なんかを語ってしまったが、こんなものはあまり真に受けなくていい。俺たちはいつだって、深く考えずにやっているだけさ。
今日はありがとう。
あと、最後にひとつ…
「俺が欲しいのは金じゃない。みんなのその笑顔なんだ。」
(To Be Continued)
編集 = 松尾彰大
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