2016.03.18
「世界に向けた私の挑戦」Peatix.com共同創業者 竹村詠美|Hack Osaka2016

「世界に向けた私の挑戦」Peatix.com共同創業者 竹村詠美|Hack Osaka2016

2016年2月17日に開催されたHackOsaka2016「グローバルチャレンジャーズトーク」の様子をお伝えします。イベント管理・チケット販売サービスPeatixを立ち上げ、グローバル展開を行う竹村詠美さん。自身の経験、グローバルマーケットで挑戦することの意味や意義などをお話されました。その内容を翻訳・書き起こし形式でお伝えします。

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[記事ハイライト]
・父と叔母が訪れた世界をこの目で見たかった。
・夢を追いかけて、コンサルへ。そこで出会ったインターネット。
・自分のプロダクトを持ちたい。だから起業した。
・約200万人のユーザーを獲得するまで。
・シンガポールという小さな国に秘められた可能性。
・独りでやればバカなことでも、周りを巻き込めばムーブメントに。
・長期的なブランドを構築することだけを考えて。


父と叔母が訪れた「世界」をこの目で見たかった

HackOsaka2016「グローバルチャレンジャーズトーク」に登壇したPeatix.com共同創業者 竹村詠美さん。当日のプレゼンの様子を主催元である大阪イノベーションハブ協力のもと、書き起こし形式でお伝えします(元動画はコチラ)。プレゼンは竹村さんがインターナショナルなキャリアを歩むきっかけ、育った環境のお話からスタートしました。


竹村詠美さん

今となってはインターナショナルな経歴を持つ私ですが、特別、インターナショナルなバックグラウンドがあるわけではありません。大阪で生まれ育ち、18歳まで英語との接触は、学校で習ったこととNHKのラジオ講座でした。当時はアプリもインターネットもなく、それしかなかったのです。受験勉強で忙しくて、英語学校に行く時間もありませんでした。

私は大阪以外のことは何も知りませんでした。

ただ、父と叔母は世界中を旅していて、世界中の写真を見せてくれたのです。私はとても刺激を受けました。父がピラミッドを見たり、叔母が香港の喧騒のなかを歩いたり、パリの美しい街並みを訪れたりした時の話を私にしてくれたのです。そういった話のすべてが私の脳裏に残り、「いつか自分でそこへ行って自分の目でみてやろう」と思いました。

大学入学後には、1年間休学してシアトルの小さなカレッジに行き、ホームステイをしました。そこで、現在使っている英語を学んだのです。卒業して何年か後に、フィラデルフィアの大学院に進みました。この3年間で、海外でビジネスをする競争力を身につけることができました。また、この経験によって、インターナショナルなキャリアに進む自信をつけました。好調なスタートだったと思います。

夢を追いかけて、コンサルへ。そこで出会ったインターネット。

私のファーストキャリアについてです。よりよい世界を作るための潜在的効果をもったインターナショナルビジネスのキャリアが欲しいと考え、私はまずコンサルティング会社に入りました。その仕事ではアジア、北米、ヨーロッパの10カ国以上のいろいろな国に行きました。

そんな中、転機が訪れます。ファックスがデータ通信の王様だった90年代の初めに、会社でe-mailを使い始めることになったのです。皆がどうしてe-mailアドレスが必要なの?何に使うの?と思っていたんです。でも、私はe-mailの価値に気づきました。なぜなら、世界中にメッセージを送ることができ、NASAだろうがMITだろうが行ったことがない所へアクセスできるのです。

その時、「私はインターネットで何かしたい」ということに気付いたのです。そしてテレコミュニケーションネットワーキングに関わるプロジェクトに参画しました。「インターネットで何かをしたい」ということに焦点を絞ったマルチメディアプロジェクトであり、とても曖昧なものでしたが、インターネットに触れるきっかけとなったのです。そして99年に私は5年間勤めたコンサルティング会社を辞めて、インターネットの世界へ踏み込んだのです。

自分のプロダクトを持ちたい。だから起業した。

私の中の何かがいつも、「自分のプロダクトを持つ必要がある」と語り続けていました。私は自分たちでコントロールできるプロダクトで消費者に直接的な影響を与えたかったのです。Peatixを3人で創業したのですが、その3人の共同創業者も同じように感じていたようです。

夢を実現する最初の小さな一歩として、何ができるかアイデアを出し合ってブレインストーミングをするような、週末起業サークルのようなものを立ち上げました。そこで出たアイデアを元に、2007年にOrinocoという会社を始めました。とても楽しい滑り出しでした。脱サラした私たちは、少しですが蓄えもあったので自己資金で会社を始めました。週末サークルからプロダクトを有する会社へと移行することは良いアイデアに思えたのですが、それほど甘いものではなく、上手くいきませんでした。

しかし、自分たちのプロダクトを作るという夢をあきらめたくなかったし、世界中の人にプロダクトを届けたいという気持ちがありました。そんな自分たちのプロダクトを持つまでに何ができるのかを考えました。その結果として、自分たちのバックグラウンドを活かし、世界中の優れたプロダクトを日本に紹介しようという考えに至りました。例えば、SurveyMonkeyやbitlyといったプロダクトの日本での代理店となりました。それが数年間続きました。

2010年。ついに、モバイルによるチケット販売のプラットフォームというコンセプトに出会いました。当初はアメリカや他の国で外部のパートナーと協働し、プロダクトが成長してから日本に持ち込もうと考えていたのです。ですが、またもやその計画はうまく行きませんでした。だからといって今回のアイデアは諦められませんでした。ミュージシャン、パーティオーガナイザー、これらのすべての人たちのためになるような、幅広いニーズに応えて支援するというアイデアは捨て切れなかったのです。

そして私たちは再び、思い切って起業することに決め、エネルギーと資金の全てをPeatixの起業に注ぎ、ついに2011年5月にPeatixを立ち上げました。

約200万人のユーザーを獲得するまで。

Peatix創業の日から、約200万人のユーザーを持つまで、どうやって成長してきたのでしょうか。

私たちは、明確なビジョンとストラテジーを持って、過去5年間成長し続けました。カスタマーサービスはスタートアップする中であまり重きを置かれていませんが、私たちは非常に重要なことだと考えています。多くの起業家、特にテクノロジー企業の人たちはプロダクト開発に力を注ぎ、カスタマーサービスは二の次になりがちです。しかし私たちは、リテールの経験から、コインの両側が重要であることを知っていました。私たちは、日本であれ、ニューヨークであれ、シンガポールであれ、初めからカスタマーサポートに焦点を当てた行動を継続しようと取り組んできました。

最終的に2年ぐらい前に、同時に多くのイベントがオンラインのプラットフォームで行われているかたわら、志を同じくする人々がリコメンデーションやサーチなどでお互いに繋がることをサポートすることに、エネルギーを注いだのです。

今年は5年目の年に当たるのですが、オンラインでチケットが売れる単なるイベントプラットフォームから進化していきます。私たちは世界中のコミュニティイベントオーガナイザーをさらに支援していきたいのです。

竹村詠美さん

シンガポールという小さな国に秘められた可能性。

私たちのプロダクトは27の国で提供されていますが、過去3年間は東南アジアでのビジネス拡張に力を注いできました。私は、特にシンガポールにフォーカスしていました。東南アジアは、広範な地域に6億人の人が住み、一人当たりのGDP成長率は日本のそれより高いです。一人当たりのGDPはまだ低いですが、長期的に私たちに良い影響を与える要素がいくつもあります。

東南アジアの中でもインドネシアでもフィリピンでもなく、なぜ人口の少ないシンガポールで事業を開始したか、それはインターナショナルなビジネスを展開するための様々な条件が揃っているからです。外資企業として設立の容易さ、法体系、会計手続きが比較的簡便であることなど、会社運営に関する事などです。そして英語と日本語でプロダクトを発表するため、大部分で英語が使用されている市場である。オルタナティブカルチャーやオルタナティブライフスタイルへの嗜好があることも大事です。これらすべてを考慮し、シンガポールは小さいけれども、東南アジアを網羅し、また世界中からシンガポールへの巨大なハブになると確信したのです。

会社設立からシンガポールの最初のコミュニティイベントをスタートするのに9カ月かかり、マレーシアでも10カ月ほどかかりました。これらは容易に成し遂げられたことではありませんでした。

日本ではある程度のビジネスができていたのに、未踏の地を開拓するのはとても困難でした。シンガポールには知り合いもなく、チームもなく、現地での信用獲得が問題となりました。そして、どこでイベントオーガナイザーを探せば良いかも知らず、開始当初は予算もほとんどありませんでしたので、地元のコンサルタントも雇えず、雑務まで何でもしました。それは大変な時期でしたが、明確なビジョンを持って、一歩一歩、一生懸命やって進んで行けば、ある日、到達できるものなのだとわかりました。

独りでやればバカなことでも、周りを巻き込めばムーブメントに。

世界的にも国内にもライバルとなるプロダクトがたくさんあるけれども、私たちのプロダクトは新しい視点を取り入れた競争力があります。モバイルにフォーカスされていて、素晴らしいローカルカスタマーサポートがあって、さらに魅力的な価格です。最初のユーザーを獲得できたら、参入できるマーケットがそこにあると感じます。

そしてまた良いニュースとしては、当時シンガポールにはそれぞれののイベントオーガナイザーコミュニティを繋ぐ人がだれもいなかったのです。それをチャンスだと感じ、手を挙げてその役割をすることにしたのです。私たちはコミュニティに適したスタートをしました。このようなポジティブな情報を頭に入れて、友人を作り、コミュニティを構築していきました。そしてチームとなっていきました。

その時、私はどのようにムーブメントを起こすのかを学びました。Derick Silverの有名なTEDスピーチがあります。もしご覧になったことがなければ、観ることをお薦めします。そのスピーチの要点を言いますと、あなたが裸で一人で踊っていたら、ただの頭のおかしい人です。でも、ファンが周りにいて、踊り出したら、その時あなたは意味のあるムーブメントを起こしたことになるのです。3人が5人になり、10人になって、突然ムーブメントが起きて、他の人も参加したがるのです。それこそが私が描いたビジョンです。私は最初の数人を得るためにコミュニティの構築を始めました。

竹村詠美さん

今では、整ったコミュニティがあり、過去2年半の間に、シンガポールで14のローカルイベント、ペナンとクアラルンプールで4つのイベントを開催しました。この小さな異なるコミュニティで最初に踊る2人を見つけ続け、集まったら大きなムーブメントになるよう、毎回、違ったオーガナイザーイシュー、異なるコミュニティを調整します。2年半後、シンガポール、マレーシアだけで500の同時開催イベントがあり、パーティであれ、NPOであれ、学校であれ、テクノロジーであれ、建築であれ、チームのサイズを大きくしなくとも継続的に成長しています。

長期的なブランドを構築することだけを考えて。

Peatixというプロダクトを成長させてきた経験からお伝えしたいとがあります。

「企業文化にフィットした人を雇いなさい」と強く言いたいです。もし、学歴は劣るけれども、文化的フィットが優れている人がいたとしたら、学歴だけはすごいが、文化的フィットがゼロの人よりも、その人を雇うべきです。全然違ってきます。

そして、コミュニティの構築はコントロールが難しいような響きがありますが、私の経験では、長期的な価値を提供することがブランドの構築に役立ちます。そして、私たちはユーザーに喜びを与えることを徹底しようと努力しています。

つまり、ユーザーが何度もリピートしたくなるような素晴らしいユーザー経験を提供し続けるということが必要です。それを長期的に何度も何度も繰り返せば、次第に皆があなたのプロダクトことを他の人に薦め始めます。口コミは最も影響力があります。直接会ったことのない人が、あなたのプロダクトを周りの人に話してくれるのです。

最後に、みなさんにこの言葉をお送りしたいと思います。

“Every great dream begins with a dreamer. Always remember, you have within you the strength, the patience, and passion to reach for the stars to change the world.”
「訳)偉大な夢は、夢見る人から始まる。あなたの中には強さと忍耐と世界を変える大きな情熱があることを忘れてはいけない。」

“忍耐”と“希望”は会社を始めて成功するための最も重要な資質のうちの2つです。みなさんに希望は夢を叶えるのを手助けしてくれるものだということを覚えていてほしいです。

私は、今後もインターナショナルな領域で仕事を続けたいと思っていて、2つのプロジェクトにチャレンジしています。1つは、21世紀の子どもプロジェクトです。私は2児の母で、私の国際経験をコミュニティに還元することで新しい世代の子どもたちに対する支援にフォーカスすることで社会に還元したいと考えています。そして、社会起業家のアクセレレーターにも取り組んでいて、日本のテクノロジーから出発して世界の大きな問題を解決する手助けをしたいと思っています。

竹村詠美さん


いかがでしたでしょうか。数多くのビジネスを経験し、今も尚、新しいチャレンジを続けている。そんな彼女も、「自分の目で確かめたい」という小さな好奇心からスタートされています。私たちも、好奇心を忘れず日々チャレンジしていきたいものです。

(※2016年4月9日一部訂正)

文 = CAREER HACK
編集 = 瀧澤和也


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