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話題の教育系WEBサービス《schoo》開発チームが、“サイトリニューアル”から得た手応えとは[前編]

2013-03-25

話題の教育系WEBサービス《schoo》開発チームが、“サイトリニューアル”から得た手応えとは[前編]

ここ最近、schooの勢いがすごい。オンライン授業数を増やすなどサービスとしての充実度は日増しに高まっており、ユーザー数も着実に拡大している。この躍進のもとをたどると、行き着くのが昨年10月の大幅なサイトリニューアルだ。彼ら自身に、そのリニューアルを振り返ってみてもらった。

schoo躍進のきっかけとなった、“サイトリニューアル”を紐解く。

“WEBに誕生した、学校の新しいカタチ”を標榜する、教育系スタートアップ《schoo》。2010年の「プレハブ校舎版」立ち上げ時から、古川健介氏(nanapi)やシモダテツヤ氏(バーグハンバーグバーグ)をはじめ、WEB業界のトップランナーが、そのサービスをこぞって絶賛していることで知られている。

以前、CAREER HACKで代表の森健志郎さんにインタビューしたのが、2012年の6月。それから一年弱ほどたって、schooの状況は驚くほど変化している。

オンライン授業の数は一気に増え、録画授業もスタート。最近では、あのインテル社の協力を得て、自社スタジオをオープンさせた。各授業の閲覧数を見る限り、ユーザー数も着実に増えてきている。

この躍進のきっかけとなったのが、WEBサイトの大幅なリニューアルだ。彼らはいかにして、自分たちのサービスを進化させていったのか?

WEBサイトリニューアルを成功させるためのヒントを掴むべく、代表の森さん、副社長でコンテンツ企画を担当する中西孝之さん、CTOの篠原祐貴さん、デザイン・グロースハック担当の上羽智文さんという、《schoo》チームの皆さんに集まってもらい、リニューアルを振り返っていただいた。


左から 篠原氏(CTO)、森氏(社長)、上羽氏(デザイナー)、中西氏(副社長)

サイトリニューアルは、“チームのリニューアル”から始まった。

― 今回は、schooの皆さんに、昨年のサイトリニューアルについて伺いたいと思います。


森:
僕らの場合、実はサイトのリニューアルの前に、“チームのリニューアル”がありました。もともとschooは、僕と有志のボランティアメンバーが立ち上げ、2012年3月に入社した中西と半年間運営してきたサービスなのですが、僕は前職がリクルートで、中西は雑誌の編集者。2人とも、エンジニアでもなければデザイナーでもない、“企画畑”の人間なんですね。

立ち上げからしばらくの間、サイト制作に関しては、僕が素人ながらに仕様を決めてワイヤーを描いて、ボランティアの方々に手伝ってもらっていました。

ただ、それだとユーザーさんの要望にスピーディに応えることは難しいですし、僕らとしてもサービスの理想形になかなか近づけないもどかしさがあって。

そんな中、昨年の8月に篠原と上羽の2人がジョインしてくれたんですね。


― お二人はもともとはどちらにいらっしゃったんですか?


森:
2人ともYahoo! JAPANです。


中西:
schooの生放送授業は昨年の4月から始めたんですけど、当時は理念だけが先行していて、サービスの構成なんてほとんど考えきれていなかったんですよね。例えば次の授業の告知ページも、そのつどボランティアのデザイナーさんに依頼して、HTMLを書いてアップしなければいけないという具合で。運用面ですら手いっぱいな状態で、そもそも僕らがやりたかった“WEBの学びを変える”ためのアクションがほとんどできていませんでした。

schooをより良くしていくためには何をするべきなのか、本格的に考えられるようになったのは、正直、2人がジョインしてからです。


篠原:
初めてschooの裏側を見たときの印象は、今後の拡大を見据えたサービス構成にはほど遠かったというのが正直なところです。サーバ構成やシステムに関しても、先ほど中西が言っていた運用体制に関しても。とにかく“簡単に運営できるサービス”というか、“WEBサービス”としての形を確立するのが先決。森や中西もリニューアルしたいという考えを持っていましたし、僕のほうからも「リニューアルさせてほしい」と申し出て、お互いの要望をすりあわせて進めていきました。

“静的な学校”から、“みんなでつくる学校”へ。

― UIやデザイン面に関してはいかがですか?


初期トップページ

初期のトップページ

上羽:
他のみんなが言っているように、まず第一段階として“サービスとしての確立”があったので、まずはそのための情報設計や構造整理を行ないました。

ただもう一つ、大きなテーマがあって、schooを“みんなでつくる学校”にしたいと考えていたんですね。

最初のバージョンを見ていただくと分かるかと思うんですが、すごく静的なんですよ。

schoo側から、「この日にこの授業やるので来てください!」という情報を出して、あとはチャットがあるくらい。情報の出し方として、すごく一方的だなと感じていたんですね。

そうした状況を踏まえてリニューアルしていったわけなんですが、僕が一番大きな変更だと思っているのが、この「受けたいボタン」です。


現在のトップページ

現在のトップページ。各授業の告知欄に「受けたいボタン」がついている。


― 授業の告知を見て「受けたい」と思った人が押すボタンですね。


上羽:
そうです。機能的には、ボタンを押すと「メールでのリマインド」が受け取れて、かつ任意でコメントを書き込むこともできる。書いたコメントは、授業ページの右側にニュースフィードのような形で流れます。


中西:
schooの場合、生放送中の授業ページに来訪してもらうことが最も重要なんですよ。マーケティング的な目線でいくと、やはりユーザー自身に“予約”をしてもらって、メールでリマインドできるのは非常に大きいです。

ただ上羽とはそれだけでなく、“授業が、学校が盛り上がっている感じを出すにはどうすればいいか”という観点で、めちゃくちゃ議論しました。


上羽:
そうそう。で、いろんなアイデアを試したのですが、全てが上手くいったわけでもなくて。実は当初、受けたいボタンとは別で、授業に対する質問を事前に書き込める「この授業に期待すること」という機能を付けてリリースしたのですが、これがなかなか上手くいかなかった。


― 上手くいかなかったといいますと?

中西:
投稿数が伸びなかったんです。ボタンはかなり押してもらえたんですけど、質問は全く集まらなかった。


上羽:
その反省を経て行き着いたのが、事前質問ではなく、「受けたいボタンを押した人の中でコメントしたい人はしていいよ」という形。すると、事前質問はゼロだったにも関わらず、コメントは一気にバーッと増えたんですよ。


― それはすごい!


中西:
受けたいボタンそのものに関しても、ちょっとずつ変えているんだよね?

上羽:
そうなんです。最初にリリースしたとき、ボタンを押された数が一気に伸びたんですよ。それこそ、300も400も押されて、「これはすごい!」と。


「受けたいボタン」リリース時

リリース当初の「受けたいボタン」。押された数にバラつきが少ない。


でもよくよく考えてみて思ったのが、「本当に“受けたい”と思った人が押しているのか?」ということ。schooがWEBの生放送授業だと知らず、このボタンを押して次のページに遷移するんだと勘違いした人が多いんじゃないか、と。

実際、だんだん押される数が減ってきたんですよ。で、「ああ、ユーザーさんが、ボタンを押してもすぐに生放送授業を見られるわけじゃない、と気づいたんだな」と確信して(笑)

それで今のバージョンに落ち着いたわけなんですが、授業一覧ページを見ていただくと、全体的に数字がバラついてきてますよね。


現在の受けたいボタン

こちらは現在のバージョン。授業によって「受けたい」の数にバラつきが出ている。


― たしかに。


上羽:
本当に“受けたい”と思った人の声を、ある程度は適正に反映できているのかなと思います。この成功を応用しようと思って作ったのが「着席ボタン」です。


授業配信ページの下部には、「チャット機能」と「着席ボタン」が。


― 押すと、授業配信ページのタイムラインに「着席しました!」って表示されるやつですね。


上羽:
受けたいボタンがうまくいったことによって、簡易的な共同意識みたいなものが求められているんだと確信できました。でも、チャットでテキストを打ち込んだりするのはハードルが高い、という感覚を持っている方も少なくないと思っていて。

LINEもスタンプだけでコミュニケーションできるじゃないですか。それと同じように一つ敷居を下げて、ワンクリックで簡単なコミュニケーションがとれるようにした、と。


中西:
実は最近、受けたいボタンにもこの考え方を応用していて。受けたいボタンを押すとコメントの記入欄が表示されるんですけど…

受けたいボタンを押すとコメントスペースが出てくる。

この顔文字をクリックすると、「出席します」「できれば参加します」といったコメントが自動で入力されるんです。もちろん、任意で追加テキストを記入することも可能です。


上羽:
「着席」なんて押すかなって思う人もいるかもしれないですけど、意外とみなさん「設定」を理解した上で、のっかってきてくださるんですよね(笑)


森:
これは、コミュニケーションの簡略化という面だけじゃなく、将来的にマルチデバイスを視野にいれる中でも、すごく重要な機能だと思っています。結局、スマートフォンとかタブレットになると、タイピングってしづらいんです。それでもきちんと輪の中に入っていけて、自分の感情を画面の中で起こっていることと同期させられる方法というところでは、ボタンでのアクションというのが、ライブストリームの特性を活かした相性のいい機能の一つになるんじゃないか、と。




(つづく)
▼インタビュー第2回はこちら《schoo》開発チームがサイトリニューアルで得た、リアルタイム配信系サービスの勘所とは?[後編]



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