2019.09.12
「ヤバい」と「狂ってる」に痺れてしまう|櫛野展正の企み

「ヤバい」と「狂ってる」に痺れてしまう|櫛野展正の企み

櫛野展正さんは、専門的に美術を学んでこなかったアーティストたちの作品を世に広める日本唯一の『アウトサイダー・キュレーター』。中にはコミュニケーションに難しさを抱えている表現者たちも。その声にならない声に光をあてていく、彼の覚悟とはーー。

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全3回の連載でお送りいたします。
[1]「面白い人がこの世の中にいる」を伝えたい
[2]作家たちが展覧会場で大暴れ

[3]「ヤバい」と「狂ってる」に痺れてしまう

>>> 最初から読む[1]「面白い人がこの世の中にいる」を伝えたい

アーティストの人生も背負っていく覚悟

僕が作品を判断する基準は「ヤバい」と「狂っている」の2つです。

具体的にお伝えすると、まず僕が生きてきた中でまだ見たこともない表現(=ヤバい)かどうか、そして人生の大半を賭けて無駄とも思えるようなことをしている(=狂っている)かどうか。ここにマッチする時、僕のアンテナが反応し、取材に出かけます。アウトサイダー・アーティストのなかにはコミュニケーションに難しさを抱えている人も多くいます。なかなか自分の考えを言葉で伝えることができない。だからこそ表現をする。そして、その自己表現の手段が一つしかないからこそ、そこから放出されるエネルギーもすごい。僕はもともと人見知りだし、誰かと喋るのは得意ではないんです。

中学・高校なんて本当に暗黒期で当時の記憶が全然ないくらい。当時はラジオにネタを書いて送ってみたり、漫画を描いてみたり、あの頃の僕にとっては何かを表現することが小さな自己主張の手段だったんですよね。だからこそ、表現で自分のことを主張しようとする人の気持ちがよくわかる。「アウトサイダー・キュレーター」と名乗るのは、アーティストの人生も背負っていく覚悟を示すためでもあります。住所も電話番号も公開して、知らない人からかかってきた電話にも対応するし、勝手に送られてきた作品も受け取る。しかも1回限りじゃなくて、その後も関係性が続いていきますから。

そこまでしてこの仕事を続けているのは、一番最初にその人の表現を目にした時が一番嬉しいし、テンションが上がる。「自分が見てしまった、知ってしまったものを他の人にも伝えたい」、そんな個人的な動機が根底にはあります。

そうした作品を通じて、世間の人々の固定観念をいかに覆していくか。僕のなかでは、企画ってやはり常識をアップデートしていく「企み」なのだと思います。

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<<<[1]「面白い人がこの世の中にいる」を伝えたい

<<<[2]作家たちが展覧会場で大暴れ

※本記事は、大人のための街のシェアスペース・BUKATSUDOにて開催されている連続講座、「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)の講義内容をキャリアハックにて再編集したものです。
*「企画メシ」の記事一覧はこちら

撮影:加藤潤


文 = 千葉雄登


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