駆け出しPMが、まず最初におさえておくべきこととは?LINE の執行役員兼プロダクトマネージャーを務める二木祥平さんに伺いました。PM1年目に向けて、必読書2冊とスキルアップの心得をお届けします。
全3回の連載でお送りいたします。
[1]なぜ君は仕事を任せてもらえないのか。新米PMが最初に身につけたいマストスキル|LINE 二木祥平
[2]雑談することも、PMの仕事。メンバーと対立しないプロジェクトマネジメントの心得|LINE 二木祥平
[3]納期ってムリに引く意味ありますか?LINE 二木 流 プロダクト開発論
― 新米PMに向けて、ファーストステップとしてオススメしたいことを教えてください!
Webサイトやアプリに関する基礎知識は必ずインプットしておいたほうがいいと思います。自分がこれから企画するプロダクトがどうやってできているのかを最低限知っておかないと、仕事がつとまらないと思っておいたほうがいいかもしれません。
私の部署の新人には、この2冊を課題図書にしています。
・『プロになるためのWeb技術入門』
・『考える技術・書く技術』
とくに仕様書の作成は、プロダクトマネージャーの重要な仕事のひとつ。自分が描く理想のプロダクト像を伝えるための、ラブレターみたいなものです。僕自身が1年目の頃は、QA*をしながら、先輩たちの仕様書を見て書き方を盗むように心がけていました。
どんな書き方がわかりやすいのか。逆にわかりにくいのか。仕様書を見比べながら、自分だったらこうやって書こうと引き出しを増やしていました。
あと、ひと通りの開発フローを学ぶのに、自分でアプリをつくっちゃうのもオススメです。
僕の場合は、大学生のときに友だちと一緒に遊び半分でつくっていて。ヒットしたわけではないけれど、アプリをつくる一連のプロセスや必要な知識は自然とインプットできていたんだと思います。当時の経験は活かされていると思いますね。
QA*...Quality Assuranceの略で、ソフトウェアの品質保証を目的とした計画の立案、動作仕様のテストなどの業務を意味する。
ー プロダクトマネージャーというと、求められるスキルや知識の幅が多様ですよね。二木さんの場合は、テクニカルスキルをどうやって習得していきましたか?
新卒でリクルートに配属された当初は、インターネット人材の採用が始まったばかり。なのでインターネットに明るい人間は、社内では比較的重宝されたんです。「開発が必要そうなら二木に聞こう」「新プロダクトのミーティングに二木呼ぼう」と、声をかけてもらいやすかった。
僕自身は戦略的に考えていたわけではないですが、「みんなのできない」ことを極めるのは新人が価値を発揮できる近道なのかもしれません。そもそもなにも強みのない人に、仕事を任せにくいじゃないですか。ひとつでも武器があれば、声をかけてもらいやすくなると思いますね。バッターボックスに立てるチャンスが増えるので、他のことも学べる機会も同じように増やせる。
― ひとつの武器を尖らせていくと、仕事を任せてもらえるチャンスも増えると。
そうですね、ただ、プロダクトマネージャーって総合格闘技のようなもので。ひとつのスキルに固執していても、発揮できる価値が少ない。だから、意識的に新しいことにチャレンジして、できることの幅を広げていくことも大事だと思います。
たとえば最初に任された仕事がQAだったら、次は企画書を書かせてもらうとか。開発会社に常駐させてもらって開発を学ぶとか。
いままでやったことないからやらないんじゃなくて、むしろやったほうがいい。”少し勉強すれば大体はキャッチアップできる”くらいのテンションで、まずは引き受けちゃう。やりながら必要なことを学んでいくのがいいと思います。
(つづく)
>>>[2]雑談することも、PMの仕事。メンバーと対立しないプロジェクトマネジメントの心得|LINE 二木祥平
取材 / 文 = 野村愛
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