大学院を中退し、起業という道を選んだ『ドウゲンザッカーバーグ』CEO檜垣さん。仕事で成果を出すことが人生の目的と語る。その根底にはどのような仕事観があるのか?スタートアップでの成功を目指す24歳、その「今」に迫ったインタビュー最終回!
▼ドウゲンザッカーバーグCEO・檜垣雄介氏の取材レポート第1弾
普通の人が起業する、そのモデルケースをつくる。ドウゲンザッカーバーグ 檜垣雄介氏の挑戦。 から読む
▼ドウゲンザッカーバーグCEO・檜垣雄介氏の取材レポート第2弾
自分だけの「企画の教科書」を作る。ドウゲンザッカーバーグ 檜垣雄介氏が語る、成功への道筋。 から読む
「売れるアプリ」を企画しなければ倒産ーーそんな危機的な状況から、企画の成功メソッドを編み出し、売上を確保できるようになったという『ドウゲンザッカーバーグ』。
CEOである檜垣さんは、「起業は決して特別なことではなく、あくまでもプロセスの一つ」と語る。
檜垣さんが考える「起業」と何か?そして、今後、何を成し遂げようとしているのか?
24歳でスタートアップに挑んだ檜垣さん、そのキャリア・仕事観に迫るインタビュー最終回!
― 学生時代のシェアハウスからスタートした『ドウゲンザッカーバーグ』ですが、現在、生活できるくらいの利益は出ていると伺いました。今後は何を目指していくか。ビジョンがあれば教えてください。
まさにいま、一番悩んでいるのが、ビジョンや長期構想の部分なんです。
もともと「理想的な社会をつくりたい」とか「世界を変えたい」とか壮大なビジョンがあってスタートした会社じゃないので、コレといったビジョンは、正直ありません。
半年位前にメンバー全員でビジョンを考えたこともあったんですけど、やっぱり全部ウソくさくなってしまいました。
でも、今では「ビジョンはなくていい」とも思っています。そういう普通の人でも、分析して考えて仕掛ければ成功できる。そんなモデルケースを作ってやろう、と。
― だから、企業理念も「一例をつくる」なんですね。
そうですね。
特に学生や僕たちの後輩となる世代が、「あの人たちが起業して上手くいったから自分たちにもできそう」と思ってほしいです。
だから、若い世代にも分かりやすいよう、自社アプリの開発にこだわっていて、社名も取っ付きやすく『ドウゲンザッカーバーグ』にしました。「ふざけた社名でも、ちゃんとやれば成功できる」という見本になりたくて。GREE、DeNA、サイバーエージェント、ドウゲンザッカーバーグと社名が並んだら、すごくおもしろいですよね。
― 事業として、単発のアプリを数多く仕掛ける選択もあると思うのですが、あくまでもスケールするアプリにこだわっていくのでしょうか?
「ドウゲンザッカーバーグといえばコレ」という分かりやすい看板サービスをつくっていきたいです。
後輩たちに認知されるためにも、売上規模は大きくしたいですし、核となるサービスに成長させていきたいと思っています。
ここ1年くらい、その大きなサービスの企画にも試行錯誤していて、出しては失敗しての繰り返し。いつも大きな落とし穴があります。それでも新しいモノは作り続けますので、ぜひ注目してほしいです。
― 抽象的な質問になってしまいますが、檜垣さんにとって「起業すること」の意味とは何でしょう?
起業というプロセスを通じて成長していくこと、そして、仕事として成果を残すきっかけですね。
起業って一般的には「凄い人がやること」というイメージがあるかもしれませんが、そういった感覚はありません。
実際にやってみたからこそわかるのですが、起業するのは、凄いことでも、難しいことでもないんです。
みんながみんな起業する前から「凄い人」なわけじゃない。起業という道を歩むことで、成長し、成功した時にはじめて「凄い人」になるのだと思います。
極端にいえば、別に「起業」という手段をとらなくても、好きなことをとことん突き詰めて、それを通じて成長していければいいというのが考えです。
中学1年の頃からプロゲーマーの梅原大吾さんが好きなんですけど、最近著書を読み、好きなことをストイックにやり抜く姿勢に感動しました。
「好き」を突き詰めて、その先に成長があり、仕事となり、お金がもらえる。自分が「これがやりたい!」と思った時、その道でご飯が食べられる。
こんな世の中になっていけばいいと思っているんです。だから、まずは自分たちが最初の一歩を踏み出す、といったら格好つけすぎでしょうか(笑)
― 一方で、好きなことはプライベートで充分という人もいますよね。「好きなことを仕事にする」にこだわる理由とは何でしょうか?
僕が人生を通して、好きなことを仕事にしたいし、それで絶対に成果を残したいと思っているからだと思います。
人生で「家庭の幸せ」を目標におく人もいるとは思いますが、個人的な人生のアジェンダとして、仕事では必ず成功したい。極論ですが、それで結婚ができず、子どもがつくれなくても、しょうがないと思っています。
日本だったら起業に失敗したとしても、何かしら仕事はあるし、自分の好きな道にチャレンジするリスクはそこまで高くありません。だったら、自分の好きな道で生きてみてもいい。
同期で就職した人は「好きなことを仕事にして羨ましい」と言うのですが、そう思うなら、今やってしまったほうがいいかなと思うのです。
よく言われることですが、死ぬ時に「あーやっておけばよかった」と後悔したくないんですよね。
― いま、起業して後悔はしていないですか?
まったく後悔していません。起業することはすごく楽しい、ここだけは間違いないです。
深夜によくメンバーと代々木公園へバスケットボールをしにいくんですけど、プラプラと帰り道に歩きながらみんなでアイデアを出し合っていたら、「もしかしたらすごいサービスかも」という案が出てくることがあります。
みんなで一気にテンションがあがって、帰ってモックを作ってみたりして。
ずっと看板となるようなサービスを探しているので、 またどこかに落とし穴があるのかもと思いつつ、夢中になってサービスを作る。起業していなければ、こんな楽しい事は経験できなかったと思います。
― 正直、「起業」というキャリアを選択するハードルは高いと思っていましたが、檜垣さんのお話から「起業」も当然の選択肢になりつつあるのかもしれないと感じました。核となるサービスの企画、楽しみにしています。本日はありがとうございました!
(おわり)
文 = 白石勝也
編集 = CAREER HACK
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