2013.07.08
福岡で何が起こっているのか?《アラタナ研究所》から見る九州・福岡の盛り上がりとイマ。

福岡で何が起こっているのか?《アラタナ研究所》から見る九州・福岡の盛り上がりとイマ。

日に日に高まるクリエイティブ業界における地方都市への注目度。今回CAREER HACK編集部が向かったのは九州・福岡。WEB/IT/ゲーム業界で特に注目を集める福岡では、一体何が起こっているのか?宮崎を本拠地にするアラタナの福岡支所《アラタナ研究所》エンジニアの宮崎氏に話を伺った。

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最も注目される地方都市・福岡

WEB/IT/ゲーム業界で、特に注目を集めている都市・福岡。プロジェクト管理ツール“Backlog”や作図ツール“Cacoo”を手掛ける『ヌーラボ』、“レイトン教授シリーズ”や“ドラゴンクエストⅨ”を手掛けるゲーム制作会社『レベルファイブ』など、全国に名の知れた多くのクリエイティブ企業が居を構えている。

今回取材した《アラタナ研究所》もその一つ。宮崎を本拠地にECに特化したサービスを開発・提供する『アラタナ』の福岡支社兼技術・開発拠点だ。

今回は、研究所開設時にアラタナに参画し、現在、ソーシャルメディア支援ツール《Zeeble》をたった一人で開発するエンジニア・宮崎真也氏にインタビュー。九州・福岡で湧きだす、リアルな熱の根源を探った。


アラタナ研究所・エンジニア 宮崎真也氏

なぜ福岡はクリエイティブ業界にとって魅力的な街なのか。

― アラタナは宮崎発のIT企業で「宮崎に1000人の雇用をつくる」というビジョンを掲げてらっしゃいますね。貴社が福岡に進出した理由は?


正直に言えば、社長である濱渦のひらめきですね(笑)「宮崎も面白いけど、福岡にもアラタナ創っちゃおう」と。

宮崎本社も福岡研究所もeコマース領域に特化したテクノロジーとサービスを提供するアラタナであるという軸は変わりません。ただ、宮崎本社ではEC分野に特化した開発構築・運営、最近はインバウンドマーケティングサービスの提供にも力を入れているのに対し、研究所では本社とは少し別の軸で、ソーシャルメディア運営ツール「Zeeble」の開発を集中して行なっています。


Zeeble


アラタナでは「宮崎に1000人の雇用をつくる」という経営理念とは別に、「ネットショップの今と未来をアツくする」という企業理念を掲げているんです。いま提供しているサービスとしては、本社のECサイト構築に関する取り組みが「今をアツくする」主事業。研究所での開発は、未来に先回りして将来的な変化をチャンスにつなげるようなサービス開発・展開と位置づけられています。


宮崎に本社を構えるアラタナ。


― 近年、WEB/IT/ゲームやクリエイティブ関連の業界で、福岡の存在感が高まっているように感じます。


アラタナ研究所を設立したのが2011年の5月。福岡にWEB・IT系の企業がどっと押し寄せ始める、少し前でした。

もともと福岡は、クリエイティブ関連のさまざまな企業が集まる魅力的な街でしたが、東日本大震災以降、特に関東から福岡に拠点を構える企業が増えてきた印象です。例えばソーシャルゲームの企画・開発を手掛けるgumiさんもそうです。

2011年の終わりごろは、数多くの企業が視察に訪れたり、少し話を聞きたいと、福岡にやって来ていましたね。


― クリエイティブ企業を惹きつける、福岡の魅力とは?


街自体の魅力と立地、そして“人がいる”ということだと思います。東京のように都会過ぎず、かと言って他の地方都市以上に発展しており、住みやすい。働く場所、遊ぶ場所が近いコンパクトな街である一方、自然も豊か。山や海がすぐそこにあります。さらに、福岡の中心部から空港へのアクセスも抜群です。

震災以降は、関東地方で今後大きな震災が起こる可能性が高い、と大きく報道されたこともあってか、リスクマネジメントの一環として、福岡に注目が集まってきたのだと思います。

そして、人材が豊富というのも大きな理由だと感じています。福岡市は150万人以上の人口を抱えていますし、何といっても若者が多い。クリエイティブ業界の企業と共に、多くのクリエイター・エンジニアたちが、各地から集まってきているのだと思います。

福岡で起こっている、大きな流れと小さな流れ

― 福岡市がデジタル技術やコンテンツ、モバイルなどの分野において、「スタートアップ都市・ふくおか」という宣言を出し、支援に取り組み始めていますね。


はい。それ以外にも大きなイベントが毎年開催され始めています。例えば、テクノロジーとクリエイティブの祭典『明星和楽』やIT業界人が各地から集まるトークイベント『Future Sync』など。盛り上がりが定着してきた印象もあります。

聞いた話だと福岡の県民性ってお祭り好きらしいです(笑)だから大きなイベントも成功、定着するのかな。

また、大規模なイベントだけでなく、小さな勉強会などが、いたるところで開催されているのも福岡の特徴かもしれません。勉強会は新しい技術や発表を行なう場としてだけでなく、人と人を繋げるコミュニティの場にもなっているんです。そこからアメーバのような有機的なつながりが生まれて、WEB/ITやゲーム、広告などのクリエイティブ業界自体が活性化していく。様々な動きが、多方面に広がっているのが福岡の魅力だと思います。


研究所で開かれる勉強会の様子。


― アラタナ研究所としては、どういった形でコミットを?


アラタナ研究所では、“間借りスペース”と称して、アラタナ社員でない方にもデスクを提供しています。

集まっているのは、WEBディレクターや、デザイナー、イベントのオーガナイザーなど、みんなそれぞれ全く異なるジャンルの、すごく面白い人たちばかりですよ。


― いろんな方々がいるんですね。ちょっとお話聞かせてください!


(つづく)
▼福岡取材レポート第2弾はコチラ
WEBクリエイターを魅了する街・福岡。東京では得られない環境とこれからの課題とは?


[取材・文]松尾彰大


編集 = 松尾彰大


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