WEB/ITやゲーム業界で注目を集める都市・福岡。そこに居を構える《アラタナ研究所》には、様々なジャンルのクリエイターが集っているという。彼らに、仕事環境としての福岡の実情やそこで働く魅力、そして現状の課題を伺った。
▼福岡取材レポート第1弾はコチラ
福岡で何が起こっているのか?《アラタナ研究所》から見る九州・福岡の盛り上がりとイマ。
WEB・IT、クリエイティブ領域で、新しい潮流が生まれつつある福岡。今回取材した《アラタナ研究所》もその一つだ。
宮崎発のITベンチャー「アラタナ」の福岡支社兼研究機関である同所だが、単にオフィスとして使うのみならず、社外のクリエイターにスペースを開放しているという。実際にアラタナの社員だけでなく、全く違う分野を手が書けるクリエイターが集まり、有機的なつながりが生まれてきているのだそうだ。
研究所に集うクリエイターたちが感じている、福岡での仕事の魅力やメリット、抱えている課題とは何か?
アラタナ社員として、ソーシャルメディア運用ツール『Zeeble』を開発する宮崎真也さんと、研究所に“間借り”しているWEB制作・デザイン会社《CGFM》の金内透さん・和子さんにお話を伺った。
― 宮崎さん自身は《アラタナ研究所》で何をされているんですか?
宮崎氏(アラタナ研究所・エンジニア):
いまは主にRubyを使って『Zeeble』というソーシャルメディアの運用ツールの開発を行なっています。以前はWindowsのアプリケーション開発やフリーランスとしてiPhoneアプリの開発をしてきました。
― アラタナ研究所ではシェアオフィスならぬ“間借りスペース”として社外の方にもデスクを提供しているそうですね。
宮崎氏:
はい。シェアオフィスとは呼ばず、間借りスペースとして、フリーアドレスのデスクを提供しています。入居しているのは夫婦でWEB制作を手掛けているディレクターやデザイナー、フィジカルコンピューティング・インスタレーションなどを手掛けるエンジニアからイベントのオーガナイザーまで。様々なバックグラウンドや専門性を持った人たちが空間を共にして、それぞれ仕事をしているんです。
― 福岡でWEBの仕事をするメリットとは?
金内和子氏(合同会社CGFMデザイナー):
東京の方がよく仰ってるのは、仕事が効率よく分業化されすぎていて、一貫して仕事を請け負いづらいということです。その点、福岡ではトータルで仕事を手掛けられることがかなり多い。
金内透氏(合同会社CGFMコンテンツプロデューサー):
僕たちが制作させて頂く多くのクライアントは、中小企業のみなさん。もちろん東京でそういう仕事を受けておられる方も多いと思いますが、クライアントと直に話をしながらイチからWEB制作できるというのは、仕事を受ける上では非常に大きなメリットですね。
― アラタナ研究所に入居する理由は?
金内透氏:
抜群の立地(※アラタナ研究所は福岡・天神の中心部に位置する)もそうですが、ここにいることで生まれる、ヒトとの繋がりでしょうか。
フリーランスのクリエイターや僕たちのような小さな会社からすると都心部に一つ拠点を持つだけで行動の幅が一気に広がるんです。また、間仕切りもないフリーアドレスの研究所なので、コミュニケーションが非常に活発で、そこから新しいつながりが生まれる。
例えば、研究所に来客があったときには気軽に紹介し合ったり。特に理由がなくても、入居者同士で近況を報告したり、仕事関係で自分の専門外のことが出たら、近くにいるその分野の専門の人に、直接アドバイスを貰うこともあります。
宮崎:
福岡のWEB・IT業界全体でもそうなのですが、アラタナ研究所の中でも、アメーバのような有機的なつながりや動きが生まれていると思います。
― 逆に、福岡のクリエイティブ業界や企業が抱えている課題とは?
宮崎:
関東からドッと企業がやってきたり、元々福岡で活躍していた人たちがどんどん起業したりと、業界自体はかなり盛り上がりってきましたが、一方でアタマ一つ突き抜けた企業やサービスは、まだまだ福岡から出てきてはいません。
盛り上がりが実績を伴って新しい形になっていくことが必要だと思いますし、個人的には、アラタナ研究所・福岡発の《Zeeble》が…!という思いで開発をしていますね。
― 福岡発の突き抜けたWEBサービスの登場に期待しています!ありがとうございました。
(おわり)
[取材・文]松尾彰大
編集 = 松尾彰大
4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を参考にしてみてください!
経営者たちの「現在に至るまでの困難=ハードシングス」をテーマにした連載特集。HARD THINGS STORY(リーダーたちの迷いと決断)と題し、経営者たちが経験したさまざまな壁、困難、そして試練に迫ります。
Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。