2013.12.03
海外から学び、海外とわたり合う決意 | レターズに訊く、日本と海外のWEBデザインの差。

海外から学び、海外とわたり合う決意 | レターズに訊く、日本と海外のWEBデザインの差。

日々移り変わるWEBデザインのセオリー。今、日本国内でトレンドとされていることも、世界的な潮流から見るとすでに時代遅れかもしれない。先鋭的なWEBデザインを常にウォッチし、自らのクリエイティブに取り入れてきた株式会社レターズのお二人に、お話を伺った。

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▼株式会社レターズへのインタビュー第1弾「So Crazy!」と評された日本発のWEBデザイン | 株式会社レターズに訊く

世界で勝負するために、日本のWebデザイナーに足りないこと。

変化の激しいWEBのトレンドを、キャッチアップし続けてきた彼らから見て、日本のWEBデザインの水準とは、どの程度のものなのだろう。

「世界を相手に戦える」レベルに達しているとは、言えないだろう。そもそも、世界に目を向けるクリエイター自体、まだまだ少ない。

日本の優秀なデザイナーたちが、今よりももっと世界に目を向けたら。国内のWEBデザイン業界はどんな変化を見せていくのだろうか。

※株式会社レターズ(Letters Inc.)の「CSS Design Awards」受賞ページ 受賞ページ1 受賞ページ2 

海外と日本。そのWEBデザインに見る「差」とは。

CEO の野間氏 (右) と CCO の利倉氏 (左)

― 日本語と英語。言語の違いがデザインにも影響を及ぼすとのことですが、もう少し詳しく伺ってもよろしいですか?

利倉:
たとえば文字の形状ひとつとっても、デザイン的に英語よりも複雑です。タイポグラフィなど記号的な使用においても、英語に比べると使いにくかったりしますよね。

また、デザイン面だけでなくWEB上で使用する言語としても、英語のほうがコミュニケーションが容易だったり。日本語にはひらがなも、カタカナも漢字もあります。だから理解するためのプロセスが、英語より複雑化してしまうんですね。

一方で、そういった「和」の要素が武器になる可能性もあるわけです。エキゾチックなイメージをつくりあげる場合など、英語よりも訴求力が強い。ただ、それが今のスタンダードではないことはネックですね。

― なるほど。WEBデザインのトレンドといった部分で見ると、日本と海外とで違いはあったりするのでしょうか?

利倉:
残念ながらこれはもう明確にあるかと思います。やはり海外で流行っていることと、日本で流行っていることには、往々にしてタイムラグがあって。

たとえば、フラットデザインは、海外では2年以上前に話題になりスタンダート化していたし、パララックスは4年以上も前の話ですよね。それが、今の日本ではわりと先鋭的な扱いになってスタンダードになろうとしている。

リアルタイムで最先端を追いたい自分としては、「やっとか」と思うことも、正直なところ少なくないんです。

「海外 = 良い」とは言いませんし、目的によって見方も変わってきますが、サイトの見栄えや使い勝手は、やはり海外の新しい技術のほうが優れているように思います。それは流行の回転数や表現の場、機会が多いからなのか何なのか、定かではありませんが実感としてはあります。

― そういった溝というか、ギャップを埋めるために大事なことってなんでしょうか?

野間:
実際にサイトをみることじゃないですかね。利倉を見ていると、本当に驚くほどたくさんのサイトを毎日見てますよ。

利倉:
自分のアンテナに引っかかったものは、徹底的に調べて、どういった概念で構成されているのか、応用はできそうかなど検討します。機能や動きで気になるところがあれば、構造を解析してみる。理解できないところも、自分の能力の範疇で再現できないか、まずは試してみます。

良いセオリーは必ず自分のものにして、次に活かす。自分から情報をキャッチアップする姿勢って本当に重要だと思います。

野間:
僕のように構造がわからないひとでも、新しい表現の仕方など見栄えに反映されるものはわかります。そういう意味では、「日本でいまトレンドとされているものが、すでに時代遅れのものになっているかもしれない」ということに意識を置いて、注意しながら情報を取りに行くことは必要かもしれません。

「レターズらしい」、先端を行くクリエイティブを目指して。

― それこそ1日に何千、何万というサイトが生まれているわけですよね。その動向を追い続けるのは、なかなか大変な努力ではないかと思います。それでも、「海外に通用する」デザインは目指す価値がありますか?

利倉:
あると思います。そもそも、そこに挑戦すること抜きに、日本発のデザインなんて生み出しようがないわけですから。

私たちが心を魅かれ、優秀だと思ったデザインは、やはり海外のものが多い。まずはそこから学びとり、自分たちのデザインに活かすという過程が必要じゃないでしょうか。

また、実際に海外に目を向けて実感したことですが、「美しさ」や「かっこよさ」といった感覚そのものには、国境の隔たりなんてないのでは?と思います。

洗練されたデザインは、誰にとっても、どの国の人にとっても、変わらない強い訴求力がある。だからこそ、求められるんです。

野間:
「求められるデザイン」「先端を行くデザイン」を提供できることは、大きな差別化の要素になると思います。当社のようなスタートアップ段階の企業にとっても、WEBデザイナー個人のスキルとしても。

そういった“レターズならでは”のデザインを生みだすためにも、「海外で通用する」ことは重要な指標です。まずはWEBデザイン先進国の水準に達しなければ、同じ土俵で戦えないですからね。

先駆者として、道を切り拓きたい。

― 道のりは決して平坦ではなさそうですが、これからのレターズのビジョンについて聞かせてください。

利倉:
前例があまりなく、モデルケースも簡単には見当たらない。似通ったカタチでのアプローチを思いつかない。だから、日本のWEBデザイナーも積極的に挑戦していけない。そういった現状を、まず自分たちが打破したいんです。

野間:
そういう意味では、おこがましい話ではありますが、僕たちがモデルケースになることで、日本のWEBデザインが海外でも通用することを証明していきたいんですよね。

海外を相手にしたクリエイティブワークがしたい。でもどうしたらいいのかイマイチわからない。そんな日本のデザイナーの方たちに方法論を示すことができる。優秀な日本のクリエイターたちが世界を相手に競い合うようになれば、さらに切磋琢磨して、今までにないものを生みだすこともできるかもしれません。

10年先か、20年先かはわかりません。海外の企業が普通に日本のWEBデザイナーに仕事を発注したり。日本のWEBデザイナーのデザインセオリーが、世界のスタンダードになったり…。

そんなことが、当たり前のように起きたら面白いですよね。

レターズが、そのひとつのモデルケースになれればと思いますし、「あいつら、なにやってんだ!?ぼくらもやってみるか!?」という具合で、国内のWEBデザイナーさんたちを活気づけられるような存在になれれば嬉しいです。

(おわり)

[取材・構成] 城戸内 大介 [文] 白濱 久史


編集 = CAREER HACK


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