いいね数58[[CM]]000を超えるFacebookページ《コピーライターの目のつけどころ》の運営者、コピーライター・牧野圭太さんと、太田新二郎さんへのインタビュー第3回。前回に引き続きFacebookページを上手く活用するためのコンテンツ制作術を伺った。(全4回)
第1回
『 5万人のファンを集めた、たった二人のプロジェクト 』
『 そこに、Shared Value はあるか? 』
第2回
『 「思う」「感じる」、個人のキモチを書くことが、シェアにつながる 』
『 投稿する文章の長さによって、ファンの反応は変わるか? 』
第3回
『 ウケやすい話題、ウケにくい話題 』
『 投稿する時間や回数によって、ファンの反応は変わるか? 』
『 「いいね」する世代、「コメント」する世代 』
第4回
『 Facebookページとは、永遠の見込み客を生み出せる究極の媒体 』
『 Facebookページの弱点とこれからのWEBメディア 』
― 投稿する文章の中身の話でいくと、やはりウケやすい内容とウケにくい内容と、あるのでしょうか?
太田:
ファン数が5万人にもなると、何をやってもある程度の反応はありますね。
牧野:
ものすごく手段に偏った話をすると、やっぱり写真のほうがいいねされやすいし、広がりやすいというのはあると思います。
たぶん同じ内容でもきちんと写真を用意するか、単に外部リンクにするかで反応は絶対違う。単純にいいねを狙うなら、写真ですね。
太田:
写真はシェアしやすいんですよ。シェアする人って「主張そのものがいいね」っていう人と、「そのネタをもとに自分が思ったことを付け足してシェアする人」の2通りいるんですけど、しっかりした画像を作りこんでいると、その画像をシェアして「そう思う・思わない」のコメントつきで2次的に広がっていく。
要するに、画像がひとり歩きしても意味のあるコンテンツにするのも重要なのかなと思います。
単純に綺麗な人が写っていたらシェアされるわけじゃなくて、画像そのものがシェアされる理由を考えて作るというか。
― どちらかと言うと、情報提供というより何かオピニオンを投げかける感覚ですか?
牧野:
僕はそういう感覚に近いですね。名前も出しちゃってますし。
太田:
僕は《コピーライターの目のつけどころ》とは別に《今日は本を読もう!》という、短い書評とともに本を紹介するFacebookページを運営しているのですが、そこで友人に手伝って欲しいと頼まれて、とあるイベントの情報を流したところ、全然ヒットしなかったんです。
やっぱりほぼ毎日ペースで本の紹介をしている中で、「このページからはこういう情報が流れてくる」っていうのが多少なりとも期待されているんじゃないかと思うんですね。
牧野:
コンテンツの中身が写真であれ文章であれ、「このページはこういう情報を流しますよ」という設定というか、見てくれている人との約束から離れていないものであれば受け入れてもらえるし、そうでなければ無視される。
日々投稿するコンテンツ以上に、前提として Shared Value をどう設定するかが重要なんだと思います。
― 単に企業名でページを立ち上げたとしても、見てくれている人との間には何の約束もないですもんね。
太田:
企業名でページを立ち上げてヒットしやすいのは、STARBUCKS とか UNIQLO とか、企業自体が顧客との約束事を明確に打ち出しているところだと思います。
― もう少しミクロな話を。例えば投稿する時間帯はどうでしょう?
太田:
投稿時間については、今のところ夜中の1時から5時くらいの間を除けば、どの時間もそれほど悪くないですね。投稿した日に、何らかの形でタイムラインには表示されているとは思います。
海外の事例だと、仕事が始まった時間と休憩時間がいいって言いますけどね。僕らに関して言えば、今のところその差が明確に出ることはないです。
牧野:
うん、時間はほとんど関係ない。結局、1日経てばほとんどの人にリーチするから。それにしても、この「リーチ」という概念はかなり謎。どういう理屈で上がり下がりしているのか、未だに謎です。
― 一日の投稿回数は?
牧野:
もちろん企画次第なんでしょうけど、やっぱり一日1回くらいがいいと言われています。個人的に週5ペースでやるのがベストかなと。
太田:
ただ、サボっちゃうとリーチ数は下がります。一時期、投稿する期間を空けたときは30%くらい下がりましたよね?
牧野:
でも、一旦下がったとしても、次にヒットするものを出せばすぐに戻ったりする。
個人的な感覚で言えば、一日1回必ず流れてくるというのもそれはそれでウザいなって感じもするので…。
そういう意味では、三日くらい空けて久々に投稿するほうが、見ている人も「久々にいいね!」ってなるかもしれない。毎日同じところにいいねって押さないじゃないですか。そういう微妙な空気の読み方というか、そのあたりも突き詰めていけるのかもしれません。
あと、これは強く言っておきたいことなんですが、とにかく「自分の話を聞いてもらえる構造」をつくることを、意識しないといけないと思います。
自分たちが話している内容に共感してもらって、その上でいいねを押してもらう構造になっていない限り、いくら投稿数を増やしても意味がない。
だからアプリを使って広めるとか、「シェアしてね」って書いて広めるのも、僕らは絶対にやりません。
仮にいいねしたりシェアしてくれたとしても、それは自分たちの話に反応してくれているわけではないわけで。次に何か伝えたいことを書いたとしても、誰も内容を読もうとすらしてくれないと思う。
でも今はその流れでやってるところが多いみたいですけどね。診断系アプリとか、すごく多いですし。
太田:
診断系アプリって、一回ヒットしてそれで終わっちゃってるところが多いですよね。
牧野:
診断系とか「面白かったらシェアしてね」系のページって、どうやって次につなげようとしているんだろう。うまく活用できてるのかな…。
― ファン数が増えるにつれて、何か変わってきたことはありますか?
太田:
ファン数が5000から10,000くらいのときに、一度苦情をいただいたことがありました。やっぱりある程度の数になると、そこで傷つく人も出てくるんだろうなと…。
牧野:
何を投稿するにしても「意見」を投げかけることにはなるわけで。Facebookの場合、基本的にはポジティブに肯定されることのほうが多いです。でも、ある程度いくとそうじゃないことも出てくるようになる。
例えば、50人中45人はポジティブな反応なんだけど5人だけネガティブな反応だったとき、見ている人の印象としては「炎上してたね」っていうふうになるんですよ。ここは本当に怖いところで。たった1割だとしても、ネガティブな反応のほうが目立っちゃうんです。
正直にいうと、今はすごく投稿しづらいですね。やっぱりネガティブな声があがらないように書こうとすると、ファン数が増えれば増えるだけ緊張感は増します。
― 有名税というか、突き抜けて広まったものって、必然的にそういうのがついてくるものなのかもしれませんね。
牧野:
ファンのリアクションというところですごく興味深いことがあって、リーチしている人口分布をみると「東京の25~35歳男性」が多いんですけど、コメントしてくれている層はそことは全然違うんですよ。もっと年齢層が高い方、それこそ60代の方もすごく多い。
やっぱり、こういうところに世代間のコミュニケーションの違いが出ているのかもしれませんね。僕ら20代~30代前半の世代って空気を読むじゃないですか。だからFacebookみたいな場でコメントするのは、なかなかハードルが高い。でも上の世代の方は、ちゃんとコミュニケーションするものだと思っているのかもしれない。
太田:
20代・30代の人って、みんないいねしてそれで終わりにしてますよね。コミュニケーションが、いいねだけで完結しちゃってるというか。
だから、何かバズらせようとするのであれば、誰もが意見を言いたくなるようなものまでトガらせないといけないのかも。そうじゃないと、単に「うん、いいね」で終わっちゃうんですよね、きっと。
(つづく)
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編集 = CAREER HACK
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