2012.10.25
コピーライターの作ったFacebookページが、5万人に“いいね”されたワケ。[4]

コピーライターの作ったFacebookページが、5万人に“いいね”されたワケ。[4]

いいね数58[[CM]]000を超えるFacebookページ《コピーライターの目のつけどころ》の運営者、コピーライター・牧野圭太さんと、太田新二郎さんへのインタビュー第4回。最終回となる今回は、「Facebookページの利点と弱点」「これからのWEBメディア」について語っていただいた。(全4回)

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もくじ

第1回
『 5万人のファンを集めた、たった二人のプロジェクト 』『 そこに、Shared Value はあるか? 』

第2回
『 「思う」「感じる」、個人のキモチを書くことが、シェアにつながる 』『 投稿する文章の長さによって、ファンの反応は変わるか? 』

第3回
『 ウケやすい話題、ウケにくい話題 』『 投稿する時間や回数によって、ファンの反応は変わるか? 』『 「いいね」する世代、「コメント」する世代 』

第4回
『 Facebookページとは、永遠の見込み客を生み出せる究極の媒体 』『 Facebookページの弱点とこれからのWEBメディア 』

Facebookページとは、永遠の見込み客を生み出せる究極の媒体。

― 最後に、究極的な質問なのですが、つまるところFacebookページとは何なのか?何のためにあるもので、それが何になるのか。お二人の見解を伺いたいのですが?


牧野:
難しいですね…。ただ企業だったら、やっぱり何かしら利益につながらない限り、やる意味ないだろうと思います。ただ顧客とつながって「良い企業に見えるね」っていうレベルだと、あんまり意味がないんじゃないかな。

Facebookページの価値って、別の何かへの「流入元」になり得ることでしかないと思う。何か告知したときに、そのリンク先にどれだけの人を送り込めるか。単にファン数やいいね数だけ増やしたって、その数字自体には何の意味もないんです。

逆に、自分たちの声を聞いてくれるというベースが出来上がったら、それこそ何でもできるということでもあります。実際、僕らがFacebookページで紹介した本が、僕らのリンク経由でAmazonで500冊売れたりもしています。1万冊売れたらヒットと言われる中で、500冊。結構な数ですよね。

やっぱりそれも、自分たちの声を聞いてくれる状態を保ってこれたからこそ、できたことだと思います。本当に地道で大変だけど、その状態を作ることができさえすれば、企業にとっても意味のあるものになると思う。でも正直、企業でそこまでやっている、できているところはほとんどないですよね。



― 牧野さんたちの場合、個人だからこそできているという面もありますか?


牧野:
個人だからどうこうというより、企業がちゃんと1人2人、Facebookページの運営のためだけに人員を割けるかどうかの問題だと思います。しかもそこで発信する言葉は、企業を代表する言葉になるわけです。なかなか、末端の一社員ができることではないかもしれない。極論を言えば、会社によっては社外発信する情報はすべて決裁を仰がなきゃいけない、ということもあるかもしれませんし。

ただ逆に、中小企業や士業の方にとってはすごく使い勝手がいいし、うまくやれば意味のあるものにできると思う。そういう面では、世の中の活性化につながるというか、大企業ではない新しい芽が出てくる場として、できることはたくさんあると思います。


― スタートアップとか、もっと上手く活用してほしいですよね。


牧野:
そう。だから、どんどん出てきている日本のスタートアップの人たちには、ぜひチャレンジしてもらいたいと思いますね。


太田:
Facebookページって、永遠の見込み客を生み出せる究極の媒体だと思うんですよ。でも、そこにフォーカスして活用されていないですよね。自分たちの売りたいものはコレだからって言って、それをページで宣伝するっていう方向でしか活用されていない。


― 全体的に、短期的な利益になることにしか価値を見出しきれない傾向ってある気がします。


牧野:
分かります。といっても、別に僕らが特別なことをやっているわけではなくて。誰もがコストをかけずにマーケティングできる土壌が整っているんだから、本当はみんなできるはずなんです。やらないのはもったいないですよ。


太田:
でも、やろうと思ってちゃんと文章を書ける人って、そんなに多くないですよ。実は僕、他にも「一緒にFacebookページやりませんか?」って声をかけてるんですけど、最初の3記事を頼んでサッと書けた人は牧野さんくらい。僕自身も、2記事くらい作って、それから続かないことが多いです。


― 文章テクニックもそうですし、それ以前に自分の中に何かしらのオピニオンがなければできませんよね。


牧野:
でも、企業には絶対オピニオンがあると思うんですよ。士業の方なんて、価値のある専門知識がいくらでもあるわけじゃないですか。

なんでいまだに《今日の日経新聞》みたいなFacebookページが出てこないのかなぁとフシギに思います。一日1回、1記事だけピックアップして意見を書く。そういうのあったら、僕は普通にいいねしますよ。それこそ日経新聞が運営してもいいし、コンサルタントとかベンチャーの経営者の方とかがやれば、すぐに名前が広まるのに。

Facebookページの弱点とこれからのWEBメディア。


― 最近、ソーシャルメディアの力を疑問視する声も増えてきた感じがするのですが、それ以前にまだまだうまく使えてないだけだと?


牧野:
ホントにそう。実際、僕みたいな個人が、ほとんどの企業を超えるファンを獲得できるメディアなんです。きちんとShared Value を設定して、一つひとつ誠実に、感情を込めて素直に書いて。それを5ヶ月続けるだけで、それくらいのメディアが作れるわけです。

ただ一つ難点があるとすると、Facebookページは“フロー型”すぎるんですよね。せっかく作ったコンテンツが溜まっていかないんです。最初3ヶ月はいいんですけど、半年くらいたった時に「やばい、これストックしてないじゃん」って気づいて(笑)

ストックされないから永遠にやり続けなきゃいけない。これがブログだったら、コンテンツをためていけばSEOからの流入も増やせるんですけど。


太田:
あと、マネタイズを考えだすと、Facebookページの仕様は制限がきつすぎる気がします。写真は一つだけ、リンクもフォーカスするのは一つだけ。最初の段階ではその制限が魅力的なんですけど、ある程度育ってからはどんどんもどかしくなってくると思う。

Facebookページをあくまで最初の導入として使う分にはいいかもしれませんけど、例えば100万人のファンを獲得するまでやり続けるというのは…どうなんでしょう。例えばブログとか、もっと広いWEBの世界に出たほうが効果的だろうなとは思います。


― コンテンツを作り続けるって、そんなに簡単なことじゃないですもんね。むしろ、とてつもなくパワーがかかる。


太田:
そうなんですよね。いまちょうど、知人のやってるお店のブログを作っているんですけど、やってて感じるのが、今の世の中で求められているのって雑誌の編集長的なスキルなんじゃないかと。


牧野:
分かる! 雑誌の編集をWEBにどう適応させるか。意外と誰もできていないんですよね。仕事柄、雑誌を作っている方と付き合うことがあるんですが、あんなにクオリティの高いコンテンツを、あれだけの量で、しかもあのスピード感でよく作り続けられるなって。


― 紙メディアではコンテンツって、汗かいて必死で作るのが当然とされている感じがしますけど、WEBの場合、どちらかというとCGM的な発想というか、コンテンツ作りにお金とパワーをかけることに対して懐疑的なところがある気がします。


牧野:
今は、一人の人間がちゃんとコンテンツを作ればいくらでもスケール出来る時代です。「みんなで作る」じゃなくて、「誰かがちゃんと作ったものをみんなで広げる」そういうことができる時代なのにできている人はほとんどいない。だからこそ、自分がやってみたいという気持ちはあります。


― 《コピーライターの目のつけどころ》は、その足がかりでもあるわけですね。


牧野:
そうですね。ある意味、一人で6万人のメディアを作れることを証明できたのかなと。

あとは個人的に、WEBメディアで広告以外の課金モデルをいかに成立させるかということにも興味があります。

「メルマガにはお金払うけどWEBには払わない」「雑誌にはお金払うけどWEBマガジンには払わない」

ここにキャズムがある気がするので、何かできることがあると思う。これからはWEBも、広告じゃなくてコンテンツ課金のほうが主流になる予感だけはあるんですよね。


― たしかに、徐々にコンテンツ課金のWEBメディアが出てきていますよね。また新しいプロジェクトを始めるときは、ぜひお話きかせてください!


(おわり)

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編集 = CAREER HACK


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