2015.07.24
シュールな貧乳動画でブレイク!ナゾの映像制作集団 「東京倉庫」って?

シュールな貧乳動画でブレイク!ナゾの映像制作集団 「東京倉庫」って?

『全くエロくないユニクロブラトップCM〜not吹石一恵ver.〜』や『涼子の育乳』…これらのシュールな映像を制作しているのが、東京倉庫というナゾの映像制作集団だ。東京倉庫とは、一体何者なのか?代表の瀧さん、ディレクターの安江さん、そして出演者の齊藤さんにお話をうかがってみた。

0 0 54 15

東京倉庫ってどんな会社?

まずは、こちらの映像をご覧いただきたい(職場や家庭での閲覧注意!)。


無表情の美女が体を張り、淡々と「育乳メソッド」なるものを紹介する『涼子の育乳』シリーズ。なんともいえないシュールな気持ちになる不思議な映像だ。2015年7月に放送100回を突破。つまり、100以上の「育乳メソッド」が世界中に配信されている。

この映像を制作したのが、映像制作会社 東京倉庫。貧乳動画だけかと思いきや、HPを見ると、『ホリエモンチャンネル』や『バーグハンバーグバーグTV』なども手がけている。…ナゾは深まるばかりだ。

はたして東京倉庫とは、どんな会社なのか。そして、なぜ『涼子の育乳』をつくったのか。代表の瀧祐夏さん、『涼子の育乳』のディレクター安江陽子さん、出演者の齊藤涼子さんにお話をうかがった。

なぜ『涼子の育乳』は誕生したのか。

― なんともいえない気持ちになる動画ですが…なぜあの映像をつくろうと思ったんですか…?


安江齊藤
社長がおっぱい好きなんですよ。


そうですね。僕がパイオツ好きなんで、これで何かできないかなって。YouTubeで、「これをやったらどうなる?」みたいなドキュメンタリー系の視聴数が伸びていたので。で、世の中にあるメソッドを1個ずつ実践していって、本当に大きくなるか試そうというのが発端でした。

もともと東京倉庫のチャンネル自体、うちの認知拡大のためにやっている映像版コンテンツマーケティングのようなもので。映像をつくって、世の中をザワつかせたいなと思っていたときに、パッと横を見たら、すごい乳のない人がいたので。あ、これはいいんじゃないかなと。

齊藤
「いいんじゃないかな」じゃないですよ!企画会議で、いきなり「涼子ってさ、胸ないよね」って言ってきて、アイデアをポツリポツリと話し始めたんです。周りも「いいねぇ」みたいな。一瞬で周囲の同意を得てしまって…。


― すごいスピード感ですね!演出は安江さんが手がけているんですよね?


安江
大枠は瀧が決めるんです。中身をディレクターが練り上げていくんですけど、私が映像の背景に額縁入りの絵画を置いたらどうかって提案したら、周りが「いいじゃん」と。その流れで私がやることになりました。


YouTuberっているじゃないですか。ああいう笑わせ方が、うちは得意じゃなくて。いわゆる、シュールな感じがすごい好きなんです。何となく、その動画にしかない世界観とかそれを見ないと味わえない没入感みたいなものをつくりたくて。安江は元々アートの畑にいたので、独特の世界観をつくれる印象があって。育乳というわかりやすいテーマと結びつけたらいい感じになると思って、彼女にお願いしました。

東京倉庫 瀧祐夏

代表取締役 瀧祐夏さん

― 出演されている齊藤さんはどうだったんですか?最初は抵抗があったと思うのですが…。


齊藤
エロを売りにしたいわけではないという点が、私にとって安心できる部分でしたね。確かに、視聴者にはいろんな受け止め方があって、エロと捉える人もいればそうじゃない人もいる。でも、エロ全面じゃないっていうテーマは、胸がない人がやるから守っていけることだと思っていて。私の身体的特徴が武器になることって人生でなかったので、「それならできるかな」と。


― やってみて、何か生活に変化ってありましたか?


齊藤
女性としての人生には大きく影響していますよね。合コンとかで「何やっているんですか」って聞かれること、あるじゃないですか。で、一緒にいる友だちが「この子、育乳っていうのをやっててね」みたいなことを言っちゃうんですよ。しょうがないから洗いざらい話すと、合コンは盛り上がるけど、その時点で私、お笑い要員になるんですよね(笑)。男性は自分よりも女性が面白いとあまり心象がよろしくないらしく、結婚にすごい影響しています。


結構ツンとした感じで出演しているんで「この人にもてあそばれたい」みたいな人は、ファンになる傾向が強いと思います。そういう人と恋愛すればいいんですけどね。

齊藤
ちょっと!無責任ですよ!

違和感を演出する。

― 確かに、100回以上も配信していればファンもできると思うんですね。でも、100回も続けるってスゴイ大変だと思っていて。あのネタってどうやって考えているんですか?


安江
何かネタ元があるわけではないんですよね。居心地が悪そうなことをやっているだけです(笑)。メソッドを紹介してくれるはずの映像なのに納得感がないという…。違和感みたいなものは意識しています。


映像の「現実を切り取って非現実の世界をつくる」というところを、どんどんやっていきたいと思っています。でも、現実の風景をそのまま切り取っても現実にしかならないので、ちょっとした非現実の要素を入れるんです。日常の見慣れた風景のなかにある、薄い違和感みたいなところは狙っていますね。違和感が大げさになりすぎるとギャグになっちゃうので。この手法がハマれば、すごい面白くなると思います。視聴者の記憶に残すためにも大事だと思いますね。

東京倉庫 齊藤涼子

“育乳家”こと出演者の齊藤涼子さん

― そういうスタイルって、数を重ねるなかで確立されてきたんですか?


安江
だいぶ実験を重ねてきましたね。今よりもう少しファニーなテイストのときもありましたし。全体的に守っていることは、ドヤ感がないこと。「つまんない」って言われてもいいんですけど、「つまんない」って言われること自体が面白くなる世界観と言うか。「退屈」って言われても成り立つ魅力を意識していますね。


最近僕は、単純にやりたいことをやるという考え方に変わってきていますね。今までは再生回数上げるためにいろいろ考えていたんですけど、約2年間やってきてチャンネル登録者が2万5000人ぐらいいるので、もう、好きなことをやってもいい土壌ができたかなとか思っています。結論、YouTubeで見てもらうためには、おっぱいしかないんですけど(笑)。


将来はディズニーランドのような非現実を味わえる空間をつくりたい!

― そういえば、元々テレビ業界で働いていた瀧さんは、なぜ東京倉庫をつくったのですか?



テレビの表現ってある程度の型があります。型のなかで、アイデアが求められるんですけど、できる人って一流の売れっ子作家、プロデューサー、チーフディレクターというレベルなんです。年齢も40歳、50歳。そんなに待てないし、誰かがやったことをなぞるということも好きじゃなかった。

上司の説教にも納得できないことのほうが多くて。社内の企画コンテストがあって、出したものが寸評されるわけですよ。でも、「いやいや、ただ古臭くなるだけじゃねぇか」って。テレビの視聴率は下がっていたので、こういうときだから何か新しいことをやりたいと思って退職し、東京倉庫をつくりました。


― 安江さん、齊藤さんはなぜ東京倉庫に?


安江
大学で美術を専攻していて、瀧とは内定者時代に知り合ったんです。私は別の制作会社に入って、途中で海外へ行って仕事としてのものづくりからは離れていたこともあったんですけど、映像は薄く続けていて。その縁で声をかけてもらいました。

齊藤
私はアパレルで働いていたんですけど、元々声優とかナレーターとか声の仕事をしている人たちへの憧れがあったんです。一度アパレルの仕事と並行してブライダルのMCをやったことをキッカケに、自分の音声を事務所にばらまいて。たまたま拾ってくれるところがあったので、アパレルを辞めて、ラジオパーソナリティを目指すことになりました。

いろいろあって、結局ラジオパーソナリティは辞めたんですけど、表現することにはすごい興味があって。そんなときに東京倉庫を立ち上げる前の瀧に出会ったんです。でも、最初瀧は私のこと嫌いだったんですよ(笑)。


アメリカ行ったことないのに、アメリカナイズされてるみたいな感じがイヤでした(笑)。自信満々で上から目線の感覚でしゃべってくる人が嫌いなんです。

齊藤
私は嫌われていることを知らなくて(笑)。瀧が1人で映像をつくっていて、すごい大変そうだったんです。だから、「手伝うね」と言って、その足でパソコンを買いに行って、映像編集を教えてもらったのがきっかけです。微力ながらずっと手伝っていて、1年くらいで正社員になりました。


― 齊藤さんが映像に出演し始めたのは何がキッカケだったんですか?



出演力があったので、それを活かして何かつくりたいと思って。すっぴんの女性が、一つひとつ化粧をしてキレイになっていく様子をスローモーションで撮るという作品をつくったんです。僕らの処女作みたいな感じだったんですけど、結構再生されたんですね。それで、一緒に面白いものをつくれるかもしれないと思いました。

当時会社を立ち上げたばかりで、すぐに雇えなかったんですけど、なんとなく今後も一緒にやっていく空気はできていたんですよ。ただ、この子が一番輝ける働き方を考えたときに、出演だけだと芸人的になり、それは本人の望むところではなさそうだった。だったら、編集がメインで、出演もしちゃうというスタイルのほうが見え方がいいと思って。それで、すぐに編集を覚えてもらいました。


― 見え方まで計算して、キャリアを設計していたんですね。最後に、東京倉庫について教えてください。東京倉庫ってどんな会社ですか?



僕もよくわかっていなくて(笑)。ただ、今後は、広告ではなく映像自体でお金が取れるものをつくりたいと思っています。人間がお金を払ってまで体験するものって、ストーリーがないとだめなんです。現実世界からトリップすることが楽しくてお金を払うわけで。ネットフリックスとか出てきてますけど、自分たちもそういう映像制作プラットフォームをつくれたらいいなとは思っています。そして、ゆくゆくはディズニーランドのように非日常の体験ができる空間をつくってみたいですね。

東京倉庫

― 映像制作会社なのに「ディズニーランドをつくりたい」というのは新しいですね!東京倉庫がどんな会社なのか、少しだけわかったような気がします。今日はありがとうございました!


文 = 田中嘉人


関連記事

特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから