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大企業を飛び出して成功するために必要な、たった一つのマインド。《ドリパス》五十嵐壮太郎氏のルール。

2013-05-15

大企業を飛び出して成功するために必要な、たった一つのマインド。《ドリパス》五十嵐壮太郎氏のルール。

博報堂の営業マンからWEBの起業家へと転身し、わずか3年未満でYahoo! JAPANへのイグジットを果たすなど、着実に実績をあげている五十嵐氏。博報堂時代から意識していたという、キャリアチェンジを成功させるためのマインドセットとは?自身のビジネス観やビジョンの話も含め、語ってもらった。

▼《ドリパス》CEO・五十嵐壮太郎氏の取材レポート第1弾
《ドリパス》を作った男 五十嵐壮太郎氏は、なぜ博報堂を辞めてWEB業界を志したか?  

▼《ドリパス》CEO・五十嵐壮太郎氏の取材レポート第2弾
広告マンが、WEB業界で勝てる理由。《ドリパス》五十嵐壮太郎氏が語る、広告業界の強み。  

キャリアチェンジを成功させる、適正なマインドセット。

― 改めて、立ち上げから3年未満でYahoo! JAPANにイグジットというのは、WEB業界の中でも非常に大きなニュースでした。何が評価されたのでしょう?


O2Oで、劇場というリアルなハコをきちっと空けることができる、というところだと思います。そのモデルを実現できていることが、ドリパスの最大の強みです。

とはいえ、全国的にはまだまだ認知されていないサービスです。最もスピーディに、かつ面白いスケールのさせ方をするためのパートナーとして、Yahoo! JAPANという会社は最適だと感じています。Yahoo! JAPANの圧倒的な認知度があれば、全国規模での集客も可能になりますからね。


― 博報堂をお辞めになってからの経緯をたどっていくと、「Startup Weekend」で優勝、「Open Network Lab」の第4期生に選出され、きっちりサービスを作り、運営して、Yahoo! JAPANへ。スタートアップとして、ある意味エリートコースを歩んでおられる印象です。


いやもう、運がいいですよ。運としか言いようがないです。有名な経営者の方々の本を開くと、「私は本当に運が良くて…」みたいな話ってよく出てくるじゃないですか。僕自身まだまだ自分が成功しているとは思っていませんけど、正直な話、いま感じるのはやっぱり運なんですよね。



ドリパスに関しても、リリースのタイミングが1年早くても遅くても、きっと箸にも棒にもかからなかったと思います。それに、ただただ直感だけで参加したStartup Weekendで、Open Network LabやYahoo! JAPANの方と出会ったりもしていて。いろんなタイミングや運や人の縁、その積み重ねでしかないなと思います。

このような場で恐縮ですが、あえて名前をあげさせてもらうと、今も一緒にYahoo! JAPANにジョインしているチームの、岡崎駿介、浅海剛、山下恭平、川原仁人。この4名がいなければ僕は何も出来ません。最高の仲間です。


― ただその運や縁を掴めたのも、五十嵐さんがチャンスに貪欲だったからこそ、とも言えますよね。


そこは唯一、自分で努力できるところなので。チャンスがきても、棒に振っちゃうことって実は多いと思うんです。とにかくチャンスに貪欲に、アンテナを高めていけば、結果的にヒットを打てる確率は上がっていくわけで。日々そういうマインドでいないと、チャンスなんて活かせません。その意識改革は、重要かもしれないですね。


― 五十嵐さん自身は、その意識改革に自覚的でしたか?


そうですね。博報堂にいたときも、いい意味でずっと勤めるつもりはありませんでした。博報堂の看板がなくなったときに、自分は一体どういうバリューを出せるのか、それこそ毎日、自問自答していましたね。

看板がなくなったら、基本的に発揮できるバリューはマイナスになります。そのマイナス分をどうやって補完して、変わらないレベルにまで持っていくか。その問題に、日々向き合うのが大事だなと思っています。

例えば、広告代理店にいると人脈が広がるとよく言われたりしますが、博報堂の○○さんという枠を超えた、自分ならではの付加価値を出していかない限り、本当の人脈なんて作れません。

今も、Yahoo!グループに入ったことで、いろんなご縁をいただくんですが、そこは僕自身、Yahoo!という看板がなくても繋がれるのかっていう勝負ですよね。下手すれば、「お前なんて、そのキャリアがなかったら会いたくもない」って思われてしまいかねないわけで。そんな関係性だと、自分が何か失敗してゼロベースになってしまった時点で二度と活かせないものになってしまいます。

会社の看板や功績といった“受け身でもらっているタグ”をはずした上で、目の前の人と向き合えるか。それはビジネス以前に、人としてとても大事なことです。自分で何かをやりたい、起こしたいという欲求がある人なら、特にそうだと思います。



― 自分を客観視する、ということですね。ただ、得てしてそういう作業はラクじゃない。


そう、ツラいんですよね(笑)だからこそ、ダメな自分と向き合う時間が増えるほど、強くなれるんだと思います。

ヘンな話、博報堂みたいな会社に一度入って慣れてしまうと、調子に乗ろうと思えば、いくらでも乗れちゃうんです(笑)だんだんと、素の自分よりも、勝手に与えられているだけのプラスイメージに依存していくんですよ。

で、依存したら終わりなんですね。どうしようもない人間になっちゃう。「このプラスイメージに頼って生きてるのに、今さら捨てられないよ」って。僕の場合、そういう環境に身を置いていたからこそ、逆に捨てられたのかもしれません。

O2Oサービスとしての、ドリパスの未来。

― 最後に、ドリパスの今後についても教えてください。そもそもドリパスって、O2Oの領域にカテゴライズされるモデルだと思いますが、O2Oって今特に注目されていますよね。


バズワード化しているフシもありますよね(笑)僕自身は、O2Oって決して新しい概念ではないという認識です。例えば「HotPepper」とか「じゃらん」とか、リクルートがずっとやってきているビジネスは、O2Oだと言えますし。

実際、O2Oの基本的なモデルは、すでに世の中にあふれているんですよね。そんな中で、これから新しく旋風を巻き起こそうとするのであれば、“インターネットの力で、リアルをより良く変える”という視点がカギになると思います。

自分の例で恐縮ですが、例えばドリパスでいえば、事前にチケット予約ができるサービスというのは、すでにたくさんありました。ただそこに「インターネットで人を集めて普段は観れない作品を観ることができる」という付加価値がついたことが、明確に新しかったわけです。

その観点でいくと、インターネット的な力でリアルをプラスに変化させる、何らかの付加価値をつけることができたら、O2Oビジネスはさらに広まっていくでしょうね。むしろ、そうなってほしいと思っています。


― 言い換えると、「どんな仕掛けで人をリアルに動かすか」ということでしょうか。“人を動かす”って、それこそ広告業界が得意とするところでもありますよね。五十嵐さんは、人を動かすためのキーポイントをどう考えていますか?


あくまで僕が主戦場としているエンターテイメントの領域に関してですけど、人が動くきっかけって、「便利」か「ワクワクする」か、どちらかなんですよね。

ドリパスで意識したのは、特に後者です。ドリパスは、まずユーザーから上映リクエストが出て、賛同者が集まれば劇場との上映交渉へ。上映が決まったらチケットが販売され、期限内に購入者が一定数を超えたら上映決定、という仕組みになっています。

このプロセスが、めちゃくちゃ盛り上がるんです。一種のゲーミフィケーションとも言えるかもしれませんが、「リクエストが通った!」「上映決定まであと1人!」って、オンライン上でユーザー同士が一体になる。だから、チケットを購入して上映が決定すると、もう満を持して映画館に向かうわけです。



このワクワク感というか、エンターテイメント性を醸成し、劇場のようなリアルな場所に出かける必然性・理由を作ってあげることで、初めてO2Oが成り立つんじゃないのかな、と感じています。

パッと思いつくところで、旅行というカテゴリーでいえば《trippiece》。安くて手軽という価値でユーザーを動かそうとしているのが、楽天トラベルやH.I.S.だとすると、trippieceは圧倒的に”ワクワク感”で動かそうとしていますよね。


― まさにそうですね。ドリパスも、その”ワクワク感”のほうをより突き詰めていく方向で進化していくのでしょうか?Yahoo! JAPANとのシナジーは?


一つは、”場所”の横展開。映画館だけでなく、演劇場やライブスペース、スタジアムといったところにも展開できるんじゃないかと考えています。

もう一つ、映画という軸で考えていくと、Yahoo!グループには「GyaO!」という映像配信サービスや「Yahoo!映画」というメディアがありますから、そことの連携は大いに有り得ますよね。

Yahoo!JAPANの圧倒的な集客力を活かせば、ユーザーの企画に対してクラウドファンディングで制作資金を集めて、実際に作品化し、それをGyaO!で配信しつつ、ドリパスで劇場上映する…みたいな。そんなモデルも、考えられるんじゃないかなと。


― それは面白いですね!


Yahoo!グループのトラフィックがあれば、企画次第では制作資金も1億円くらい集まったりするんじゃないかな(笑)簡単に資金を集められて、簡単に劇場で流せて、簡単に配信できてって、映画製作者もお客さんも、みんなハッピーじゃないですか。

もっと“インターネット的に映画で遊ぶ”というか、Yahoo!グループと組んだからこそ可能な“大きなこと”を仕掛けていきたいですね。


― 今後の展開が楽しみです。本日は貴重なお話、ありがとうございました!


(おわり)



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